時代の空気を読みながら新世代イタリアンとして飛躍を
カウンター10席の店とあって、予約はすでに11月まで埋まっているが「一度来ていただいたお客様に何度でも足を運んでもらえるように切磋し、工夫する心を大切にしたい」と金子シェフ。なにせまわりはベテランから若手まで、多くのイタリアンの猛者ぞろい。そのなかでどのようにオールを漕ぎ続けるか、というのは今後の課題のひとつだ。

「メグリヴァ」で人気のスペシャリテもオンメニューしながら、オリジナルのおいしさと心地よい時間を過ごしてもらいたいという思いでメニューを考案。「イタリアンの基本である、食材を生かしてシンプルなおいしさを引き出すということに力を注ぐのはもちろん、自分が長く学んできたフランス料理のエッセンスを加えることも意識している」というように、フュメ・ド・ポワソン(魚の出汁)や帆立を使ったクレーム・ド・サン・ジャックといった古典的なフレンチの技法も巧みに取り入れるのは強み。

スペシャリテのオムレツトリュフやレモンバターパスタなど「メグリヴァ」のレシピを受け継いでいるとはいえ、そこに甘んじるというヤワさだけではない覚悟が、料理からもしっかりと感じることができる。たとえば奄美マザービーフの経産牛を使ったタリアータはオリジナルで提供する料理のひとつだが、強火で手早く表面を焼き固め、蒸気で加熱するヴァプールという技法を用いてしっとりと仕上げられており、こちらもワインがすいすいと進む。

ワインと料理をしっかり楽しむイタリアンが大人の琴線に触れる!

「お店に行ってみたいけれど、お酒がそんなに強くない」という場合は、ワイン好きを誘うというのもひとつの手。アルコールが苦手な人のために味わい豊かなぶどうジュースなどの用意もある。食べて、飲んで、語らって。港区イタリアンの超新星で美食の時を謳歌すれば必ず、この店に帰ってきたいと思うはず。当面のあいだは紹介制での営業となるが“水先案内人”を探してでも訪れる価値は大いにある。



