Best New Entry受賞店をご紹介
2025年1月29日に発表された「The Tabelog Award 2025」。初めてノミネートされた店舗の中でも特に「食べログユーザーから注目されている店」に贈られる「Best New Entry」を受賞したお店を紹介していく本連載。今回はオープンして1年で初ノミネート、そして「Best New Entry」と「Silver」を受賞した注目の寿司店「鮨 めい乃」をご紹介。
あの名店から独立! 期待の集まる新店
銀座「鮨 あらい」で2番手として活躍し、個室カウンターを任されていたのがこの店の店主・幸後綿衣さんだ。今や女性の進出が目覚ましい寿司の世界にあって、最も注目を集める寿司職人のひとりでもある。実力としなやかな感性を兼ね備えた待望の新人が独立とあって、2023年11月のオープン以来、ここは話題を呼んでいる。

店に一歩足を踏み入れると、その穏やかな佇まいにホッとさせられる。壁は卵色の漆喰、ゆるやかな丸みを帯びた天井に、椅子のマスタードイエローが温かい雰囲気を放つ。

内装のイメージは、実は幸後さんの実家のリビングだという。その理由は寿司職人の厳しい修業の果てに「自分のルーツを大切にしたい」という気持ちが強く芽生えたから。高い技術はもちろん必要ではあるが、その上で“自分らしくあること”もまた欠かせないと気付いたという。
「未来の職人たちに背中を見せていきたい」。そう語る若き寿司職人が見据える先は?
約10年の修業を経て、満を持して自身の店を持った。そこから1年が過ぎ、「鮨めい乃」はThe Tabelog Award 2025へノミネートされ、「Best New Entry」はもちろん、初年度にして「Silver」に輝いたのだ。
「特にノミネートを意識はしていなかったのですが、授賞式にお声がけいただいたとき、何かあるのかな、もし何か話さなければいけなくなったらどうしようとは考えてはいました」。

「寿司職人もいいのではないか」。父のその一言で、寿司の道を目指したという幸後さん。「将来は世界に通用する仕事がしたい」と考えていたこともあり、意を決して寿司の世界へ飛び込んだ。大学卒業後に鮨アカデミーを経て、名店「すし匠」の門をたたく。その後、「西麻布 拓」での修業、ソムリエ取得を経て、新井祐一さんの「鮨 あらい」のオープニングスタッフを志願し、鮨 あらいで働くこととなった。

今、自身の店を持って思うことは“親方”という言葉の重みだ。「うちで働く若い子たちもそうですが、ベーシックな基礎を身に付けられるように教えるのはもとより、自分が親方から学んだように、人としても背中を見てもらえるようになりたい」と語る。