小池さんおすすめの「オーダー必須」のメニューとは?
まず食べたいホルモン盛りは、S、R、Lの3サイズからセレクト。新鮮さと高品質で定評のある「しばうらホルモン」から仕入れた、牛豚半分くらいの割合でミックスされたバリエーション豊富なホルモン焼肉が楽しめる。この日は、牛がシビレ、ハツ、シマチョウ、豚がガツ、ほほ(カシラ)のラインアップ。常時フレッシュな素材を、6~10種類ほどストックしているので、毎回異なるミックスホルモンが味わえるのもいい。もみダレは、サラッとしたタイプのみそダレを使用。仙台みそのほか数種類のみそ、コチジャンなどをブレンドし、食べ疲れない、焼いた時に焦げない、などを考慮して作られたオリジナルレシピだ。
フレンチシェフならではの秘伝のつけダレが、焼肉の味わいの幅を広げる一助に。焼肉、ホルモン、ジンギスカン、どれにも合うように開発され、フレンチのソースの概念で煮込んで作られるタレは、作ってから2、3日寝かせ、肉の臭みを消しつつ旨みを最大限に引き上げる。
小池さん
食べるラー油的なイメージで作られた、飲めるタレってなかなかない。おいしいお肉を引き上げるタレの存在って重要ですが、これが本当に旨くて感動。ホルモンもフレッシュなものを使っているから鮮度もよく臭みもない! 炭でじっくりと焼くから、ぼわっと炎が上がることもないし、焦げずにしっかりと火を通すことができて、誰にでも焼きやすいと思います。
和牛盛りは、3種の部位をミックスしたお得感のある盛り合わせ。この日は、イチボ、ランプ、ブリスケが登場。中間サイズのRで、各2切れくらいのボリュームだ。ステーキ店を営んでいた時代からの付き合いが長い「吉澤千種」からの仕入れで、東北一の生産者との呼び声高き、岩手県の佐々木さんのものと、小池さんもうなる、ルートも確かだ。
小池さん
僕の師匠とも言える「吉澤千種」の吉澤さんからのルートと聞いて、間違いないな、と確信しうれしくなりました。しっかり味が濃く旨みが増す、長く飼育した処女牛を使っているので、おいしさが違います。イチボの虎柄も美しい! 脂の甘みをじっくり味わいたいですね。
流通が安定している冷凍は使わず、鮮度のよい生ラムにこだわって厳選した、仔羊のランプと肩ロースの盛り合わせ。薄い肉は焼くと硬くなって縮まることから、ある程度の厚みがあるスライスしたラムを提供する。ラムに合わせて調合された秘伝のハーブスパイスと塩コショウで下味をつけたものを焼き、牛と共通のつけダレを絡めて食すスタイルだ。
小池さん
僕は牛ばかり食べているので、ラムは焼肉店にある時にたまに食べるくらい。牛と違って独特なクセがおいしいから、牛焼肉の間に羊を挟んでまた牛に戻る、みたいな食べ方が僕の理想。表面はパリッと、中はふわっと焼くことができるのは炭火ならではです。久々に食べましたが、臭みがなくて本当においしいですね。タレとの相性も抜群。
焼肉の最後の〆は、和牛テールを煮込んだ贅沢な出汁で作ったシャリシャリフローズン状のセミフレッドスープの冷麺がおすすめ。出汁を取ったテールからほぐしたほろほろの肉、白髪ねぎ、キュウリ、キムチと一緒に、喉ごしのいい麺を味わって。最後まで飲み干したくなる、どこか上品な味わいだ。
小池さん
和牛テールの骨って一番出汁が出る部位。そこを丁寧に一からきちんとスープを作っているから、おいしくないわけがない! さすがフレンチシェフの経験が活きていますね。
今回は、値段も手頃で通いやすく、個性がしっかりしている一軒。「オープンするにあたって内装や外装よりも、和牛、内臓など仕入れにしっかりとお金を使っているのが素晴らしい」と小池さんが太鼓判を押す。「今はひっそりとしている街だけど、このエリアや通りが、おいしい店であふれていけばもっと面白くなる。そんな発展の中心になれたらいいですね」と店主・服部さんは語る。まだオープンしたばかりだが、今後に可能性を秘めた焼肉に注目したい。
※価格はすべて税込