【肉、最前線!】

数多のメディアで、肉を主戦場に執筆している“肉食フードライター”小寺慶子さん。「人生最後の日に食べたいのはもちろん肉」と豪語する彼女が、食べ方や調理法、酒との相性など、肉の新たな可能性を肉愛たっぷりに探っていく。奥深きNEW MEAT WORLDへ、いざ行かん!

 

今回は三軒茶屋に誕生した、半分以上が肉メインの店という肉好き必見のビルに注目! 名店の新業態が一斉にオープンした新たなランドマークの魅力とは?

Vol.24 “肉ビル”が誕生!肉とハシゴ編

東京のあらゆる場所が急激なスピードで変化している。東京ミッドタウン日比谷がオープンし、街の流れがはっきりと変わった日比谷・有楽町エリア、駅前周辺を中心に大規模な都市開発が進む渋谷エリアなど、いま東京は大きな変革期を迎えている。そして、その活発な動きは、主要ターミナル以外にも。

 

迷路のように入り組んだ路地に飲食店が軒を連ねる三角洲をはじめ、個性豊かなレストランや酒場が密集する三軒茶屋は、年代を問わず、コアなファンが多いが、今月オープンしたばかりの「GEMS三軒茶屋」は、その裾野をますます広げていきそうだ。

 

地下1階から9階まで、ワンフロアに1店舗が入っているが、そのすべてが飲食店で、その内容はかなり濃い。しかも、10店舗のうち、半分以上が肉メインの店という、肉好き必見のビルなのだ。

1階「TEN FINGERS BURGER」

ハンバーガー好き必見!サイズまで選べるカスタマイズバーガー

TEN FINGERS BURGER店内

 

まず、1階には、アメリカンダイナーのようなポップな内観が目を引く「TEN FINGERS BURGER(テンフィンガーズバーガー)」が。こちらはグルメハンバーガー人気の火付け役ともいえる三宿「FUNGO(ファンゴー)」が手がける新業態。

左から8フィンガーズバーガー(800円)、10フィンガーズバーガー(1,000円)、6フィンガーズバーガー(600円)。ハンバーガー、ドリンクともにテイクアウトも可能(一部メニューをのぞく)。ハンバーガーはキュートなデザインの専用ボックスが用意されているので、こちらも要チェック!

 

シーンに合わせて、子どもから大人までハンバーガーを楽しんでもらえるよう、10本の指を使わないと持つことができない10フィンガーズバーガー(1,000円)をはじめ、8フィンガーズバーガー(800円)、6フィンガーズバーガー(600円)も用意する。

 

姉妹店である恵比寿のクロスロードベーカリー特製の香ばしいバンズにUSアンガス牛を使った肉肉しいパティ、トッピングを自由にカスタムしながら自分好みのハンバーガーをオーダーすることができるのが楽しい。

ミルクシェイク(左からバナナ、ストロベリー、チョコレート)各680円

 

豊富に揃うアルコール類に合う4フィンガーズ チキンウィング(4ピース600円~)など、サイドメニューも見逃せない。

チキンウィングプレート(16ピース2,200円~)

 

2階「Buffet Monchant」

名店の焼鳥が、ブッフェになって登場!

Buffet Monchant店内/写真:GEMS三軒茶屋より

そして、2階はこれまたオープン前から話題を集めていた「Buffet Monchant(ブッフェ モンチャン)」。三軒茶屋の“予約が取りづらい人気焼鳥店”、「床島」が新たに展開するのはなんとブッフェ式の焼鳥店。

ねぎま

 

サラダや鶏スープ、カレー、そしてアルコール類はすべてセルフ。まず、ディナーブッフェ5,000円(110分・土日祝は6,000円)を注文。焼鳥はタブレットでオーダーするシステムで、部位は20種を揃える。大ぶりの焼鳥はしっかりと食べごたえがあり、3人の焼き手が厨房でフル稼働するため、焼きたてアツアツが食べられるのが嬉しい。

ハツ

 

お酒好きはプラス2,300円(土日祝は2,500円)で飲み放題の追加を。ビールもワインも焼酎もセルフだが、いずれも厳選銘柄を揃えており、満足度が高い。

サラダコーナー

※ランチタイムブッフェでは焼鳥の提供なし

 

6階「さつま福永牧場直営 牛串 ギュウドウ!」

東京初出店!鹿児島黒牛のカジュアルな牛串

さつま福永牧場直営 牛串 ギュウドウ!店内

 

6階の「さつま福永牧場直営 牛串 ギュウドウ!」は、なんと東京初出店。和牛オリンピックでグランプリを受賞し、注目を集める鹿児島黒牛をカジュアルな肉串で提供している。鹿児島では焼肉やビストロ、すき焼きの店を展開しており、肉質には定評が。

本日の熟成赤身ステーキ(100g=1,590円〜)

本日のおすすめ牛串盛合せ(5本1,680円~)

 

何を頼むか迷ったら「本日のおすすめ牛串盛合せ」(5本1,680円~)を。サーロインやクリ、イチボなど、入荷によってさまざまな部位の食べ比べを楽しむことができる。穀物メインの炊きエサを食べて健やかに育つ牛の肉は脂がさらりとしており、赤身は旨みがたっぷりだ。

エントランスのショーケース

 

7階「香辣里」

人気店の次なる一手は、湖南料理で新境地を開拓!

お次は、エレベーターが開いた瞬間に“美味しい気配”に包まれる「香辣里(シャンラーリー)」。何を隠そう、ここは神田で大人気の「味坊」の最新店。現在は神田・御徒町界隈に4店舗を構えるが、世田谷進出は初。

上から、バーボンを紅茶で割りレモンと干梅で風味を加えた香辣里茶(1,160円)、燻製豚三枚肉と葱の炒め物(1,000円)、醤油漬け干豆腐と香り野菜の和え物(680円)

 

味坊では羊肉料理を中心とした中国東北料理を提供しているが、香辣里では中国料理のなかでも辛いことで知られる湖南料理で新境地に挑む。

 

湖南料理は“辛い中華”という印象を持つ人も多いが、辛いだけではなく、丁寧に分解していくと“発酵中華”であり、“ハーブ中華”であり、“燻製中華”であるという特徴が現れ、豊富に揃うメニューに未知なる食文化を見ることができる。大繁盛店のDNAを持つ店とあって、ここも人気に火が付くのは時間の問題だ。

香辣里店内/写真:GEMS三軒茶屋より

全体的に人気店をそのまま誘致したのではなく、各店の新たな魅力に出合える新たな業態が多い印象。気軽に各フロアへ移動できるので、軽く牛串をつまんでから旨辛中華に舌鼓を打ち、焼鳥をたっぷり堪能して、お土産にハンバーガーをテイクアウトするなど、1カ所で濃密なハシゴ肉を満喫することができる。三茶に誕生した新たなランドマークは、早めにマークして間違いない。

 

※すべて税別価格

 

写真:大谷次郎
取材・文:小寺慶子