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すべてのメニューを制覇したくなる! 小寺さんおすすめ料理とは?
ポテンシャルの高さを物語るアミューズに冒頭から心をつかまれる
初めて訪れるレストランの場合、アミューズは「名刺」的な役割を持つが、あまり仰々しすぎてもプレッシャーを感じるし、とは言えなんの変哲もないと気持ちがトーンダウンしてしまう。そういう意味では、塩味と甘みが絶妙な季節のムースは適解。さらに最中の皮にのせた玉ねぎ炒めを食べると、飾り気はないが丁寧に調理された一品からシェフの人柄が伝わってくるようだ。自家製のくるみパンはふかふかと香ばしく、胃袋がゆるやかに広がっていく感覚がすでに心地よい。
何から食べようと悩むのも幸せな前菜盛り合わせにお酒がついつい進む!
少しずついろいろ食べられる前菜の盛り合わせは、ただでさえ食いしん坊の心をときめかせるが「umedaya」は、一品一品がさりげない存在感をもって一皿に盛られており、一口ごとに楽しい驚きがある。サフランリゾットを詰めたイカ飯やペコリーノチーズと枝豆のキッシュなどを味わい、心の中で歓声をあげながら、気づけばワイングラスが空に。膨大な仕込みを想像すると頭が下がるが、手塚さんの料理は押しつけがましさが皆無で「シンプルにおいしい料理を食べてほしい」という気持ちが舌と心に伝わるから、うれしくてつい飲みすぎてしまうというのは、もちろん自分への言い訳だ。
たっぷりうまみが凝縮されたトリッパに思わずワインも飲みっぱ!
主にフレンチ歴が長いシェフだが、ジャンルレスなメニュー構成も魅力的。トリッパトマト煮は内臓を使う料理とあって、臭みをいかに除き食感にハリを出すかがおいしさのポイントだが、内臓と玉ねぎ、トマトの量を同じ比率で作るという煮込みはトマトのまろやかな酸味や玉ねぎの甘みがぎゅっと凝縮しており、濃厚な風味。ハチノスのしゃきっとした歯ざわりも際立っており、ほろ酔い気分になるにつれ「1人ずつのポーションだと、トリッパぐれがない」などとウキウキとした気分になる。
あおさのりの香りに食欲が刺激されるパスタは何度でもリピートしたくなること必至!
適度にお酒も回ってきたら恋しくなるのが、炭水化物。メニューを見るとオイル系、トマト系、クリーム系とだけ記されており、その日ある食材で手塚さんが手際よくパスタを作ってくれるという。自身が「思い入れがある」というベーコンあおさのりのスパゲッティは、神泉の「Italian Bar Jurio」の名物でもある。「昔からお世話になっている先輩」へのリスペクトを込めた一皿は、カリカリに焼いたベーコンの塩気とコクのある生クリームとあおさのりの香りがパスタに絡み、白ワインはもちろん、人気のレモンサワーとの相性も抜群だ。
肉のうまみを丁寧に引き出し、しなやかな食感に仕上げる火入れはもはや、神業!
前菜盛り合わせで飲み、トリッパで飲み、パスタでも飲んですっかりいい気分になったところにお待ちかねの締めの肉料理が。皿上にどんと鎮座した津軽鴨のローストは美しい色みをおびて、皮目もぱりっと焼き上がっているのが一目瞭然。この店ではすべての料理において、出し惜しみをしない優しさがある。ありがたく噛み締めながら食べる肉料理も良いが、できれば最後まで食を謳歌しているという感覚に包まれたい。厚みをしっかり持たせて焼いた鴨肉にナイフを入れると、しなやかな弾力が手に伝わり、それを口に運べば力強いうまみが一気に広がる。本当においしい肉を食べた時にだけ感じる“ニクスタシー”に包まれながら、あらためて「大久保に驚旨店あり」と強く思う。
飲み口すっきり! こだわりのレモンサワーは無限におかわりしたくなる!
ワイン好きであれば、もちろん最初からそれで通すのもいいが「umedaya」を訪れたら、ぜひ名物のレモンサワーを。定番からジンベースのものまでさまざまな種類のレモンサワーが、ご機嫌な夜をさらに盛り上げてくれる。
エリア的にこれまであまり縁がなかったという人も、韓流グルメ以外の選択肢を持っていたい人も。一度でも足を運べば、東新宿はもちろん大久保エリアで“驚旨体験”をするなら、これ以上の店はないと実感するはずだ。
※価格はすべて税込