出世ごはん

デキるビジネスパーソンはこんなお店で食べている! 元銀座のホステス&開運アドバイザーの藤島佑雪が、かつての同伴その他の経験から見極めた「出世する店」を「おいしい理由」とともにご紹介!

No.8 バブルの夢よもう一度!伝説のイタリアンが2018年に甦る!?

テストキッチンエイチ

他人を見て、ちょっと羨ましいようなことがあっても、たいていのことは「自分は自分」と平静を保っていられるんです。でも、どうしても羨ましくて、なんで?なんで、わたくしは間に合わなかったの?と生まれた時代が悔やまれてならなくなるのが「バブルの頃は〜」と聞かされたとき。

 

当時は銀座のホステスと同伴するのにウェイティングリストがあったとか、チップだけで給料に手をつけずとも港区でそこそこいい暮らしができたとか、当時のホステスって本当に楽に儲かったんだな〜みたいなおとぎ話を聞かされて育ちましたから。その時代に対する憧れって激しくあるんですよ。

出典:浜田 岳文さん

 

その頃の話が出るたびに有名なバブル紳士(後に逮捕or破産)とともに名前が挙がるレストランというのがいくつかあってですね。ひとつは「どの客席からも見える階段があって、そこを降りないとテーブルにつけない造りだからさぁ、みんなどいつがどんな女を連れてくるかが丸見えなんだよ。だからオレもがんばってイイ女連れてったよ」というエピソードが語られ、「わたくしなら、どんな衣装を着たかしら」と夢想させてくれるイタリアン「マニン」。そして、こちらもイタリアンの「バスタ・パスタ」です。そう、初代料理長であった山田宏巳シェフをスターへと押し上げた伝説の店であり、劇場型とも呼ばれたフルオープンキッチンの派手な店。1985年〜2000年まで原宿にあり、多くのスターシェフを輩出し、これぞバブル!を体現した一軒らしいのですが、こちらも残念ながら生まれた年が追いつかず、経験できずじまい。そんな店、きっと数多のホステスが同伴に連れていってもらったに違いない!とずっとずっと羨ましく思い続けておったわけです。

 

その願いが通じたのでしょうか。人生の先輩方が「『バスタ・パスタ』の再来!」と興奮しまくりな「テストキッチンエイチ」が、このほど骨董通りのちょい裏手、路面にバーンとオープンしたのです。黒い床に赤い椅子、だだっ広いオープンキッチンのメタルな輝きが、めっちゃバブル! なぜ、前髪をおっ立ててこなかったか。なぜ、肩パッドに金ボタンのスーツでキメてこなかったかが悔やまれるような世界観。

出典:みすきすさん

 

供されるのは「2001年宇宙の旅」のようなインテリアとは対極にあるスローなお料理。手作りのハム、肉厚な椎茸を使ったパスタ、どーんと塊で焼くお肉など、大地の豊かさを感じる食材をハンドメイドで丁寧に仕上げた温かみのあるものばかり。それでいてパスタには「お好きなだけかけて」とカラスミがたっぷり添えられてきたり、贅沢な演出も忘れないあたりが「出世するひと御用達」な感じ。キッチンで働く料理人の方々はみんな山田シェフのお弟子さんなど、山田シェフについてきている方々でしょう。

出典:みすきすさん

 

「バスタ・パスタ」のオープンから30年以上経ちました。あの頃、もてはやされたシェフたちのうち、いったいどれだけの方が今も一線に立っていらっしゃるでしょうか。また、どれだけの後輩を育て上げたでしょう。山田シェフだって山だけじゃなく、谷間の時期もずいぶん経験しているはずですが、いろいろひっくるめて「テストキッチンエイチ」の価値にずっしりとした重みを感じずにはいられません。一瞬出世して栄華を極めるより、何十年とある一定のラインを維持して、なおかつ出世する後輩をたくさん育てて送り出す方がもっと大変ですから。

 

そんな力にみなさん惹かれていらっしゃるのでしょう。見渡せば、ゲストはお忍び芸能人をはじめ、長年、ブイブイ言わしてきたような方々ばかりで、華やかな美女多し! バブルを知るひと、知らないひともこちらに来れば、イケイケどんどんなノリを満喫できるはず。