同じ場所で生まれ変わった「コルシカ」

小窓が以前の店を彷彿とさせる

「コルシカ」は1970年にオーナーシェフ、重本一夫さん夫妻が恵比寿に創業した小さなイタリア料理店です。当時はまだピッツァやパスタなんて言葉は一般に認知されておらず、「ナポリタン」や「ミートソーススパゲッティ」といった日本人の味覚に合わせた洋食がイタリア料理とされていました。

使用していたメニュー

そんな時代にメニューには「ペスカトーレ」「ラザニア」「仔牛のカツレツミラノ風」「若鶏小悪魔焼き」など聞いたこともないような料理名が並び、ハードルが高い店かと思いきや、テーブルクロスは赤と白のチェックというカジュアルな空間。これに時代を象徴する著名人や文化人たちが足繁く通い、イタメシブームの1990年頃には席が空くのを待つ客の列が100m以上になったほど。こうして「コルシカ」は1954年に誕生した「シシリア」、1960年に誕生した「キャンティ」と並ぶ、超人気店となったのです。

「一番忙しい時は7回転していました」と話す北村シェフ

数十年経ち、老朽化による建て替えが決まると、重本さんも2代目シェフの篠田孝行さんも高齢を理由に店を閉じることに。その話を聞きつけた人々で、緊急事態宣言中で席数を減らしアルコール提供なしの時短営業にもかかわらず連日満席。どうしても予約が取れず、せめて挨拶だけでもと訪れる人もいたほど閉店が惜しまれました。

新しくなったロゴは秋山具義氏デザイン

それから2年半が過ぎた2024年2月14日、 “コルシカイズム”を継承した北村 新さんが3代目シェフとなり、待望の復活を遂げたのです。建物もロゴの字体も変わったけれど同じ場所に「コルシカ」の名前があることを発見した人がSNSにアップし、口コミだけでオープン直後から予約困難店となりました。