〈ニュースなランチ〉

毎日食べる「ランチ」にどれだけ情熱を注げるか。それが人生の幸福度を左右すると信じて疑わない、編集部員や食いしん坊ライターによるランチ連載。話題の新店から老舗まで、おすすめのデイリーランチをご紹介!

今回は、東京・西麻布の交差点近くにあるラーメン店。夜は高級日本料理店という同店のラーメンとは?

教えてくれる人

小林孝充
TVチャンピオンラーメン王選手権第8回・第10回優勝。歴代ラーメン王によるラーメン大王決定戦で優勝し初代ラーメン大王に。ラーメンの食べ歩きは全都道府県に及び、これまでに食べたラーメンの杯数は16,000杯を超える。ラーメンに限らずうまいもの好きで、他のジャンルも積極的に食べ歩く。ラーメンWalker百麺人。TV・雑誌登場多数。

高級和食店が昼だけラーメン店へ

黒塗りに白の暖簾が映える

長年にわたり「万豚記」「紅虎餃子房」など、数多くの繁盛店を世に送り出し、ラーメンマニアはもちろん他ジャンルのグルメからも一目置かれる存在である「際(きわ)コーポレーション」。
その「際コーポレーション」が2023年11月にオープンしたのが「食十二ヶ月 中島武 西麻布」です。完全予約制で素材からこだわった3万円以上の高価格帯のコースを提供し、代表の中島武氏自らが腕を振るう集大成とも言えるお店となっています。

夜は予約のない日のみ「らぁー麺なかじま」になる

そしてその「食十二ヶ月 中島武 西麻布」が、なんと昼の時間を利用しラーメン店を始めました。それが今回紹介する「らぁー麺なかじま」です。
そのような経緯があり、ラーメン店とはいえその佇まいは完全に高級店。知らずに入るには少し勇気が必要なので、今回は同店で提供されているメニューの中から、ラーメン3品とご飯もの1品を紹介します!

こだわりすぎた贅沢ラーメン

らぁー麺 特製

基本は上湯(シャンタン)仕立ての「らぁー麺」。
スープは丸鶏、もみじ、胴がら、げんこつ、背骨がらといった一般的な食材に加え、なんと黒毛和牛の骨まで使われています。こちらはステーキを提供している系列店もあるからこそ使える食材。

うまみが凝縮されたスープと特注の麺

そして普通はラーメンにはとても使えない最高級の羅臼昆布を使用。そうしてでき上がった琥珀色のスープはいわゆる中華の上湯の味わいに近いですが、非常に分厚いうまみがあり多少のアレンジでも受け止める力強さを持っています。

2種類の麺

麺は国産小麦を使用した2種類を特注で用意しています。通常の麺は、かん水が少量使われており、断面が長方形でスープとより絡み合うものですが、もう片方の麺は、かん水を全く使わずに作り上げた麺。そのため、一般的なラーメンの麺とは食感が異なるので好みは分かれそうですが、中島氏としては無かん水の麺をぜひ試してみて欲しいとのこと。

タイミングが合えば、中島氏が自ら説明もしてくれる

当然、具材にも妥協は許さず。
3種類のチャーシューはとんかつなどにも使われる林SPFの豚肉などを使用。中央に鎮座するメンマはタケノコから1カ月以上かけて、複数の工程を経てできあがったもので存在感がバツグンです。スライスされたどんこも、これまたうまみが素晴らしい。

立派などんこ

そして特製になると付いてくる海老ワンタンがまたおいしいので、ぜひとも特製で注文して欲しいところ。海老をペーストにして入れている他に、ぶつ切りの海老も入っておりプリッとした食感がたまりません。
「らぁー麺 」並で1,380円のところ、特製になると1,800円。少し高めですがその分の価値は十分にあります。