炭と薪調理の京地どりを満喫

料理は一斉スタートのコースのみ。スープから始まり、薪焼き野菜や焼き鳥、ご飯ものやデザートまで、10種以上が15,000円で楽しめる。

コースのスタートはスープで。「まずはスープでほっこりしていただきたいですね。胃にもやさしいですし」と秋山さん。メニューは時期によって変わり、白湯やサムゲタンのときも。今回は、鶏ムネのミンチを2時間程度じっくり煮出しただしをこした清湯を醤油で味付けしたやさしいスープ。具材は聖護院大根と針ショウガ、あさつきが入る。

 

笹岡さん

炭と薪を駆使した繊細な鶏料理が味わえます。スープが格別。私がうかがったときは、松茸入りの鶏清湯スープでした。一口ひと口、味わっていただきたいです。まずはスープでおなかを温めると、焼き物への期待が高まりますよね。

焼き鳥は炭で調理。福知山産京地どりの「モモ」は、皮目はばりっと、中は驚くほどみずみずしい。薬味として添えられたのは、秋山さんが創り上げた粉末調理料「うま味さん」の焼鳥七味と青唐山椒。焼鳥七味は華やかな香りで、青唐山椒は刺激的な辛さ。どちらも鶏のモチベーションをぐっと引き上げる。(「うま味さん」は祇園の店舗やオンラインショップで購入可能)

 

笹岡さん

モモは皮目の香ばしさが秀逸です。

「鴨のつくね」は、鴨と鶏のモモ肉のミンチを塩で練り、薪で焼き上げ、仕上げに玉ねぎのソースを合わせる。

 

笹岡さん

玉ねぎのソースの甘さが鴨のつくねによく合います。

薪焼きの鶏は、骨付きのままの京地どりを薪火で時間をかけてじっくりと焼き上げる。水分を飛ばし、皮目はパリパリに。きれいな焼き色に仕上がっている。発酵させた大豆をベースにしたタレと奈良漬けを添えて。

「そぼろご飯」は、京地どりのいろんな部位をミンチにし、ざるに入れて、薪火で水分と脂分を飛ばしていく。ときには炎が上がるダイナミックな火入れに目を奪われてしまう。いただくと薪の香りがふんわり。適度に脂分が落とされており、いままで味わったことのない、あっさりと食後感も心地よいそぼろだ。

また、京都・綾部の蓮ヶ峯農場の純国産鶏「もみじの卵」は滋味深く、秋山さんの友人が無農薬で作った米・丹波篠山の「旭」は大粒で甘い。食感の変化を狙って忍ばせた玉ねぎがよいアクセントになっている。

 

笹岡さん

締めのご飯ものは大盛でいただきたいくらいのおいしさです。

コース内では薪で燒いた京都産の地野菜も。「薪では水分を保ちながらうまく野菜を焼くことができます」と秋山さん。デザートは「マールブランシュ」のシェフとコラボし、季節のブランマンジェや、薪の香りをまとったフィナンシェなどが味わえるとのこと。

ワインも豊富にスタンバイ。ソムリエが鶏の脂分とほどよいタンニンを合わせることをテーマにセレクトしている。

左から、ピエモンテのネッビオーロ ガヤ。オレゴン州のピノノワール ケリーフォックスワインズ。カリフォルニアのピノノワール オクシデンタル。ボトルワインは8,000円から用意

特別な日に、貸し切りもおすすめ

今後の展開を聞いてみると「今後は真鴨を焼いてみたいですね」と秋山さん。とにかく炭火と薪火に夢中な様子で、まずは何を焼きたいかという返答だった。続けて「ご家族の大切な日などにお使いいただけるとうれしいですね。もちろんお二人のお客様も大歓迎ですが、貸し切りにしていただけると、プライべートな空間として満足度が高いと思いますよ」と。炭火と薪火で調理された京都の鶏や野菜を緩急あるコースで味わいに、ぜひ訪れてみてほしい。

※価格は税込。

撮影:福森クニヒロ
文:木佐貫久代