小関さんのイチオシ! ジューシーなうまみが広がる「和牛ハラミステーキ」

余分な脂や筋を丁寧に落とし、塩胡椒を振ったハラミの塊肉。サシの入り具合が絶妙

上質な肉がそろう中でも、食べ応えと味わいで特に人気なのが「和牛ハラミステーキ」5,500円。
赤身と脂のバランスがよく、焼肉でも人気の部位・ハラミを150gの塊のまま焼いていただく。目の前でスタッフが焼きあげてくれる演出も魅力的だ。

 

小関さん

塊で焼き方が難しいのでスタッフが最高の状態に焼いてくれます。無理をせず、ここはスタッフに甘えておきましょう。

まずは弱火で片面2分半ほど焼いて狐色の焼き目をつける。返す回数を少なくするのがうまみを逃さず焼き上げるポイントだそう

一般的にハラミをステーキにするのは珍しいが、実はメリットがあると中田さん。
「塊で焼くと表面しか直火が当たらない分、ローストビーフのように中は少しレアのままほどよく火を通すことができるので、うまみが閉じ込められてジューシーな味わいになるんです」
ある程度火が通ったら一旦キッチンに引き上げ、カットされた肉が再びテーブルに登場。ここからいよいよ仕上げにとりかかる。

チップ状のガーリックバターをバーナーで一気に溶かしていく

トッピングはガーリックバターとネギの2種があり、両方をハーフで注文することもできる。
ガーリックバターは、肉の上にたっぷりのせ、バーナーであぶって溶かしていく。ガーリックの香ばしい香りを漂わせながら、バターがジュワジュワ溶け広がっていく様子を見ているうちに、おのずと食欲はMAXに。

さっぱり系が好きな人におすすめのネギも、てんこ盛りにしてくれる
さっぱり系が好きな人におすすめのネギも、てんこ盛りにしてくれる   写真:お店から
 

小関さん

ハラミは食い千切るように食べるのが一番うまい、が持論。辛子醤油で味わうネギハラミと強い肉の味にも負けないガーリックバターハラミをまずは一切れずつ、食い千切るようにいただく。次に満を持して、白飯に登場してもらい、ハラミをバウンドさせながら白飯の真ん中に設置。個人的には、ハラミのガーリックバター味に醤油をたらし、ガーリックバター醤油でいただく。醤油数滴で香り、味わいが変わります。ジューシーなハラミのうまみと白飯を口内調理。控えめに言って最高です!

ガーリックバターハラミはそのままでもおいしいが、醤油を付けるとよりご飯がすすむ味わいに

こちらも必見! テッパンぞろいの前菜、締め、コース

肉のうまみをダイレクトに楽しめる「和牛ロースの塩たたき」

ロースの部位は仕入れ状況によって変わり、この日は希少部位のイチボを使用

小関さんが焼肉とは違う肉のうまみを堪能できると紹介してくれたのが、前菜メニュー「和牛ロースの塩たたき」2,400円。
塩胡椒とニンニクでマリネした塊肉を低温で焼き上げ、少量の醤油をたらしたローストビーフに、オニオンスライスと大葉、生の粒胡椒をあしらった美しい盛り付けで提供される。
しっとりした食感とともに優しく広がる肉のうまみを、野菜の食感と香りが引き立てる。さらに生の粒胡椒ならではの強すぎないピリッと感がアクセントになる上品な味わいで、お酒のアテにもぴったりだ。

 

小関さん

霜降り具合に色気さえ感じてしまうセクシーミートの代表格、ザブトンのおいしさが、ド直球に楽しめるメニュー。ザブトンは、塊のままじっくりと表面を焼き、セクシーなレアの状態をカット。玉ねぎと一緒にいただきます。焼肉とは違う肉のうまみを凝縮した食べ方で、ザブトンのうまみを再認識できるメニューです。

ヒレ肉がゴロゴロ入った贅沢締めメニュー「和牛ヒレ土鍋ごはん」

蓋を開けると、山積みになったヒレ肉がお目見え。ご飯は1合分ながら食べ応え十分

締めのおすすめは「和牛ヒレ土鍋ごはん」4,500円。
蓋を開けるとまずゴロゴロ入ったダイス状のヒレ肉に圧倒されるが、意外にも味わいはさっぱり。
「締めに召し上がっていただくので、しつこくならないように、赤身のヒレ肉を使っているのと、牛肉の出汁を使った炊き込みご飯には、香味野菜とともにしょうがを混ぜ込んであります」(中田さん)

混ぜた後もヒレ肉の存在感は十分
 

小関さん

締めメニューとしておすすめしたい一品。白髪ねぎ、ゴボウ、大葉など、たっぷりの香味野菜とレアに焼いたヒレ肉がゴロゴロと入っている土鍋ご飯。まずは土鍋の開封の儀式で、目で楽しんだ後、しっかり混ぜていただく。わさびをのせて食べると、一段レベルが上がります。余ったらお土産にしてくれます。

お好みで白胡麻やわさびを加えても。リンゴ酢とだし醤油に漬けて大葉と白胡麻を和えた大根の漬物もさっぱりしておいしい

華やかな前菜など人気メニューが目白押し「一七三コース」

年間通して人気のメニューを詰め込み、お得感もたっぷりで「これさえ頼めば間違いない」と店長の中田さんも太鼓判を押すのが「一七三コース」8,500円。
前菜12種から始まり、ご飯と海苔で巻けばキンパとしても楽しめる和牛ユッケ、出汁ポン酢と大根おろしでさっぱりいただく焼きしゃぶ、肉の盛り合わせ(塩の肉1種、タレの肉1種、ホルモン2種、本日の塊の肉。上タンや上ハラミなど、肉の部位は仕入れ状況により異なる)、包み野菜、締めに冷麺または、スパイスが利いたインド風の一七三カレー、デザートに白胡麻 杏仁豆腐とダンテルと、盛りだくさんの内容となっている。

色鮮やかなキムチやナムルを小皿で並べるスタイルは、韓国の高級料理に倣ったそう
 

小関さん

コースの前半から度肝を抜かしてくれる圧巻の前菜12種盛り合わせ。韓国人料理長が作った本気の前菜です。焼肉店で、ここまでの種類の前菜からスタートするコースは見当たりません。本格派と新進気鋭の前菜が入り混じっています。

小関さんのコメントにもある通り、多くの人が驚くのが「コースのはじめに韓国気分を感じていただけたら」(中田さん)という豪華な前菜セット。
辛いものが苦手な人も好きな人も楽しめるよう、あえて辛さに変化をつけた自家製キムチ4種のほか、ナムルは季節ごと、前菜メニューは日替わりとなっている。
この日の内容は、蓮根、白菜、枝豆、切り干し大根のキムチ、小松菜、もやし、なす、紅芯大根のナムル、クリームチーズの醤油漬け、ローストビーフ、タンの煮込み、韓国風卵焼き。ナムルは、日本で一般的なゴマ油と塩の味付けだけでなく、胡麻和えや甘酢和えなども含まれており、味わい豊かで前菜だけでもかなりの満足感がある。

 

小関さん

お客さんからの人気メニューをまとめたコースを食べれば「焼肉一七三 向山」の良さが伝わるはず。

上質な肉だけでなく、盛り付けにもこだわった繊細な料理とおしゃれで居心地のいい空間を備えた「焼肉 一七三向山」。洗練された雰囲気から、ハードルが高いイメージを持つ人もいるが、コースのコスパはかなり優秀なので、ぜひ気軽に訪れてみてほしい。本店の雑多な雰囲気が好きな人も、シーンに合わせて使い分けることで、焼肉の楽しみ方が広がるはず。ただし、個室は人気が高く、特に週末は埋まるのが早いので、余裕を持って予約の問い合わせをするのがおすすめだ。

※価格はすべて税込

文:當間優子、食べログマガジン編集部 撮影:ジェイムス・オザワ