〈食べログ3.5以下のうまい店〉
巷では「おいしい店は食べログ3.5以上」なんて噂がまことしやかに流れているようだが、ちょっと待ったー!
食べログ3.5以上の店は全体の3%。つまり97%は3.5以下だ。
食べログでは口コミを独自の方法で集計して採点されるため、口コミ数が少なかったり、新しくオープンしたお店だったりすると「本当はおいしいのに点数は3.5に満たない」ことが十分あり得るのだ。
点数が上がってしまうと予約が取りにくくなることもあるので、むしろ食通こそ「3.5以下のうまい店」に注目し、今のうちにと楽しんでいるらしい。
そこで、グルメなあの人にお願いして、本当は教えたくない、とっておきの「3.5以下のうまい店」を紹介する本企画。今回は、餃子のスペシャリスト、塚田亮一さんが教えてくれた、お取り寄せ半年待ちの伝説を持つ、あらぎり肉入り餃子の専門店を紹介。
教えてくれた人
塚田亮一
「餃子は完全食」のスローガンのもと、おいしい餃子を求めてどこまでも。首都圏、宇都宮はもとより、浜松、宮崎などの日本全国の餃子タウン、さらには世界中の餃子風料理を日々食べ歩く餃子のスペシャリスト。「マツコの知らない世界」などTVやラジオにも多数出演。番組で披露したオリジナルレシピの自作餃子も評判。
駅近の商店街で気軽に立ち寄れる餃子専門店
渋谷から10分以内とアクセスのいい立地ながら、閑静な住宅地が広がる京王井の頭線・東松原駅。駅からすぐの商店街にある「羽根木餃子」は、もとは同じ世田谷区内の梅丘でお取り寄せとテイクアウト専門の餃子店として2012年にオープン。2018年に現在の場所への移転を機に、本格的にイートインもスタートした。お取り寄せ餃子の大人気店である一方で、地元では気軽に立ち寄っておいしい餃子を楽しめる店としても愛されている。
塚田さん
越谷レイクタウンで2015年に開催された「ぴあ餃子博覧会2015 in 越谷」で見つけて初めて食べました。その後、東松原に移転をして、イートインができるようになり、また生産能力も上がりお取り寄せもそれほど待たなくなった(以前は半年待ち)ので、お店に通い、お取り寄せもするようになりました。最初に食べた印象は、ゴロゴロッとした豚肉の食感に驚きました。また、大きなサイズの餃子なのですが、皮、キャベツ、豚肉の食感や味付けのバランスが繊細だった印象を受けました。
塚田さん
カウンターがとても広く、ゆったりした雰囲気で餃子が楽しめます。また店主が研究熱心で、久しぶりに行くと餃子が改良されていたり新しいメニューが出てきたりと、驚きがあります。
趣味で焼いていた餃子に偶然が重なり大人気商品に
同店の看板メニューであるゴロゴロのあらぎり肉が詰まった餃子が誕生したのは、偶然のハプニングからだったそう。
店主は、もともと飲食とは無関係の仕事をしており、趣味で焼いていた餃子をホームパーティーなどで振る舞っていた。ある時ひき肉を買い忘れてしまい、仕方なくブロック肉を切って使ってみたところ、予想外においしく仕上がり大好評。
以来、店主の手作り餃子を「また食べたい」という人がどんどん増えていく。そのうちの一人だったフードコーディネーターの知人から「お店を出した方がいい!」と強くすすめられ、お取り寄せ店を出店することに。
開店当初は、アパートの一室で1日数十件の注文でお取り寄せ餃子を細々と作っていたが、ホームパーティーの出張サービスを始めてから少しずつ評判が拡大。さらに、テレビ番組で取り上げられたことをきっかけに、一気に注文が殺到。全国各地から1日1万数千件もの注文が来るようになり、生産が追いつかないほどの人気店となった。
また、各地のフードフェスや百貨店の催事にも出店したことで、固定ファンも多い。お取り寄せやテイクアウトに利用客が分散しているため現状の食べログは3.22(※2023年9月現在)だが、3.5を超える日もそう遠くないと予想される。
ゴロゴロ肉の存在感、変わり種と魅力的なサプライズが
塚田さん
何と言ってもゴロゴロ肉の存在感。豚ひき肉を使わずにダイス状にカットされた豚肉を、旨みを出す発酵調味料に漬けています。食感の強さもさることながら、豚肉の旨みの強さに注目してください。変わり種の餃子もおすすめで、特に「とまと餃子」が私のお気に入りです。また、お店では美しい羽根をつけて焼いてくれます。味だけじゃなくビジュアルでも楽しませてくれる餃子です。
同店ではあらぎり肉入りの「羽根木餃子」のほかにも「とまと餃子」「カレーチーズ餃子」「お好み焼き餃子」、季節ごとの限定餃子など、変わり種餃子も多数ラインアップ。自分の好みに合う餃子や、新たな味わいを発見できるのも大きな魅力だ。