パティシエとは違う「シェフが作るデザート」
その後、コースは「蛸」「瓜」「石鯛」と続き、最後は「鹿肉」となる。さらにコースの締めとして、3つのデザートが登場する。そのうちのひとつが「檬果(マンゴー)」だ。
マンゴーのカスタードをアイスクリームマシンにかけることで、クリーミーなマンゴーアイスのような食感を演出。マンゴープリンのような味わいのデザートになっていて、ジャスミンの香りを移したクリームとの相性も良い。ジャスミンの淡い香りの使い方は、スパイスを巧みに操るシェフだからこそと言える。
自然派ワインやグランヴァンが楽しめるペアリング
料理に合わせるアルコールペアリングは、世界各国のワインから竹内さんが厳選したワインが中心だ。その結果として自然派ワインが多くなっているが、中にはクラシックなワインやビール、さらには日本酒などもあり、シェフのつくるコースの世界観に合わせて8種類のアルコールが提供される。ノンアルコールペアリングもあり、こちらも同様に8種類ほどとなる。
互いの感性を信頼し合い生まれるコース料理
独立にあたりオーナーの竹内さんは、カジュアルなビストロではなくレストランを目指したと言う。「Kabiの登場以降、多くの店がこれまでの常識やスタイルにとらわれない革新的な店づくりをしていると感じました。しかし、自分で店をやるならば同じスタイルではつまらない。万人が評価の基準のひとつとする格式や星の有無にも、改めて目を向けたいと思うようになりました。そこを踏まえた上でさらなる挑戦をしていきたい」
オープンから1カ月半。すでに舌の肥えた地元の客も増え始めている。現在は魚と野菜が中心だが、今後は変わってくることもあるとのことだ。9月になれば秋ならではの野菜も出てくる。斬新なスパイス使いと、旬の野菜の持つ素材力を存分に活かした料理たちが登場するだろう。
目指すは星付きレストラン。これからの展開が楽しみな店がまたひとつ増えた。