〈極上のうま辛グルメ〉

グルメな人が愛してやまない“うま辛”な逸品を紹介する「極上のうま辛グルメ」。刺激的な辛さのその先にある旨みこそが食べ慣れた大人たちの心をとりこにする秘訣なのかもしれない。

グルメライターの金成姫さんのおすすめは、辛党が歓喜する本格派の激辛火鍋だ!

教えてくれる人

激辛料理専門家 金 成姫

調理師免許やフードアナリスト1級等の資格を取得後、さまざまな商品開発に関わり、イベントやメニュー監修などを手掛ける。特に、得意ジャンルの旨辛や激辛料理やお店についてテレビ等のあらゆるメディアでコメントし、活動の場が広がっている。

横浜中華街を歩いた先に現れる、隠れた名店

日本最大の中華街「横浜中華街」は、言わずと知れた中華料理店の激戦区。一口に中華料理と言っても、地域によって異なる特徴があり、軒を連ねる名店それぞれの個性が光る魅力あふれる街だ。今回紹介する「成簽尚萬」は、この地にお店を構えて3年目を迎える四川料理の「串鍋専門店」だ。

食べ歩きグルメの誘惑が多い「中華街大通り」から一本入ったビルの3階

「成簽尚萬(セイセンショウマン)」というなかなか覚えづらい店名は、由来を知るとうなずける。もとは、千を超えて万まで上がる程の数の多さを意味する中国語「成千上万」から来ており、千客万来を祈念している。さらに串鍋専門店だから、中国語で串を意味する簽を同じ発音の千から変えたのだ。上は、尚にすることで、さらなる飛躍を願っているそうだ。

木のぬくもりのある家具を配したノスタルジックな雰囲気
 

金さん

串に刺さった具材を好きなだけ選べるワクワク感、そして串をスープに浸してピックアップすると、必ず釣れる釣りみたいに楽しい串鍋です。店内は、火鍋を快適に食べられるようお隣のテーブルとの間隔が程よく空いていて、串を取りに行く導線が良いです。お客様への細やかな配慮が、接客だけでなく内観からも伝わってきます。

棚に並んだ串揚げを好きなだけチョイス!

火鍋の具材が食べ放題のメニューがこの店の名物だ。前菜などの品数がコースによって異なるので、まずはどのコースにするか決めて、好きな火鍋のスープ(キノコ、トマト、海鮮、激辛)を選んで注文すると、卓上に鍋が設置される。そして、串コーナーから食べたい串類をセルフでチョイスすることができる。火鍋のスープに串をくぐらせたら、鍋底で具材を見失うこともなく、効率的に食べることができるのだ。

毎日直送の海鮮類、牛肉、豚肉、鶏肉など86品以上の串類

串類は食べ放題のため、毎日大量に仕込まなければならない。1人当たり平均約25本、最多は115本も食べた強者がいたようだ。串打ちは具材がずれたら台無しになるので、集中力がいる。それでも、スタッフは、1串あたり5秒位で仕上げ、手際よく楽しんで作業をしているらしい。

ニラの串打ちは幅が狭いため、1串刺すのに3~4分程かかるという

若きオーナーが語る「辛さ」へのこだわりとは?

店主の陳さんは、日本に来て10年以上経っており、日本語がペラペラ。中国美女の陳さんの美をキープする秘訣を聞くと、どうやら適度な辛さの麻辣を食べて代謝をUPしていることや、食後のデザートは美容のために果物をよく食べていることが当てはまりそうだ。お店を始めたきっかけは「本場四川の串鍋の味を伝えたい! 香辛料や薬膳食材を使って、免疫力を高め老廃物を出すなど、健康やダイエットを意識した料理を提供したい!」といった熱意から生まれた。

オーナーの陳さん

火鍋には、自家製牛脂の辣油と四川産の唐辛子をはじめ10種類の香辛料をふんだんに使用。唐辛子のカーッと熱くなる辛さだけでなく、四川花椒「貢椒」や「青麻椒」の豊かな香りとしびれも利かせている。

左上から時計回りに「唐辛子」「四川花椒」「老鷹茶」「貢椒」「青麻椒」
 

金さん

火鍋専門店は、セルフサービスのタレで辛さを調整できるお店は多いです。さらにこちらは、スープ自体や串類まで激辛を選べるところが、辛いもの好きにとってアツいです!