最後まで技が光る、満足度の高さはこの上なし
そして、いよいよ鮪の中トロ。取材日の鮪は鹿児島で揚がったもので、夏の鮪らしい鉄分の香りと酸味を有し、さっぱりと食べさせる。そして誰もが好きないくらの軍艦をはさんで終盤へ。
締めの前の穴子は、つぎ足しつぎ足ししてコクを増したたれの中で柔らかく煮含めた、煮穴子。江戸前の技術が光る一貫だ。
そして文字通りの締めは玉子。ふわふわに焼き上げたそれは、スフレのようだ。つなぎを一切使わずに仕上げる技は見事としか言いようがない。ほんの一口のすし飯を挟んだ、船のような造形が美しい。
多くの人に、江戸前寿司を楽しんでほしい
それにしても銀座でよくこの価格で切り盛りできますね、と聞くと「江戸前寿司はもともと庶民のもの。多くの人に、気持ちよく楽しんでもらいたいから、価格を守ることを大切にしています。つけ場には一人で立っていますし、毎日、河岸に行くことで、なるべくいいものを安く仕入れる。ランチ時間は設けていますが、夜までの通し営業なので、小腹がすいたというような人にも気軽に来てもらえるようにしています。そんな努力の甲斐あって、今年で6年目になりますが、銀座という土地にしっかりと根付いたように思います」と三橋氏。
夜もおまかせ(刺身、にぎり)15,400円〜と、銀座にしては格安。ただし7席しかないから予約は必須。
ぜひ、本物の江戸前を味わいに出かけてみよう。