浅草観音裏のフレンチ「ルディック」が、よりカジュアルに楽しめる「カフェブラッスリー ルディック」を東上野にオープン。伝統的なビストロ料理に大塚勝也シェフの遊び心がプラスされた“ルディック料理”のエスプリを受け継いだ居酒屋メニューは早くも絶賛の嵐! 1階の立ち飲みスペースには外国人客も多く活気に溢れています。
〈今夜の自腹飯〉
予算内でおいしいものが食べたい!
食材の高騰などで、外食の価格は年々あがっている。一人30,000円以上の寿司やフレンチもどんどん増えているが、毎月行くのは厳しい。デートや仲間の集まりで「おいしいものを食べたいとき」に使える、ハイコスパなお店とは?
教えてくれる人
高橋綾子
フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレスとして従事した中で肥えた“食”へのこだわりは、その後の素晴らしい人々との出会いと相まっていつしか人生そのものに。その間に培った食のデータと人脈を武器に“喜ばれるレストラン”の発掘に勤しむ日々。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。
「ルディック」の2号店は“居酒屋ブラッスリー”
上野駅からも稲荷町駅からも徒歩5分ほどとは思えない静かで落ち着いた東上野に、パリの下町にあるブラッスリーを彷彿とさせる「カフェブラッスリー ルディック」がオープンしました。浅草にあるカジュアルフレンチの「ルディック」の2号店とあって、5月中はランチとテイクアウトのみにもかかわらず、賑わいをみせていました。
1階はテイクアウトと立ち飲みスペース。夜になるとひときわ明るいネオンサインと明かりに呼ばれるのか、通りすがりに訪れる人や、浅草や上野から流れてくる外国人も多く見られます。
2階のテーブル席は、まるでパリのビストロにいるかのように明るくて朗らかな雰囲気を醸し出しています。かしこまらず、時には相席したりしてワイワイガヤガヤと居酒屋ムードで楽しめそう!
「フランスではビストロやスタンディングバーで『キャロットラペ』や『シャルキュトリー』をつまみにワインを飲むのが日常。『ルディック』がコース料理なのでそんな気楽なフランス料理の良さを味わってもらえる場所をいつか作りたいと思っていた」と話すのはオーナーシェフの大塚勝也さん。
「ルディック」の味がアラカルトで!
メニューを見ると「キャロットラペ(300円)」「ラタトゥイユ(500円)」「トリュフオムレツ(900円)」「牛ステーキフリット(2,400円)」など、なじみのビストロ料理もあれば「鴨肉のメンチカツ(900円)」「牛すじと大根のデミグラス煮込み(800円)」といった変化球もありでそそられます。
ヨーロッパではポピュラーな白いんげん豆。豚の煮汁でコトコト炊いてオニオンコンフィとトリュフマヨネーズで和えています。メニューにも記載していますが、まさに“フランスのポテサラ”。トリュフも香り高くありそうでなかった懐かしくも新しい味わい、これは必食です!
海老と蟹の共演なんて贅沢すぎるコロッケにはなんと「煮干し」が入っています。まさかのアイデアは大塚さんの得意とするところ。苦味のない煮干しは独特な食感と味わいに深みを増す名脇役となっています。ソースはニンニクと玉ねぎの香りが利いたトマト味。
熱々のおいしさは格別ですが、このコロッケ、時間が経っても衣はサクサク、冷めてもおいしいから不思議です。聞けばデパートの催事での惣菜販売のノウハウがあるからだそう。
「ルディック」の看板メニューである「フォアグラムース」、こちらでは最中に挟んだり、ディップしたりと自分好みのスタイルで楽しめます。フォアグラのなめらかさは極上で、フランボワーズソースとの相性はいわずもがな。本店ではソースが何種類かありますが、フランボワーズソースはその中でも人気だそう。ワインが進みます。
メニューにあれば食べたくなるのがカレーではないでしょうか。本店で提供される「ひと口ブイヤーベースカレー」と違い、こちらは王道の欧風カレー。野菜はゴロゴロとしていますがクッタクタになるまで煮込んであってやわらかい。
見た目はサラリとしていますが、赤ワインのコクと香りに挽肉と野菜のうまみが相まって辛味が穏やか。また白飯ではなく鶏や野菜のエキスをたっぷり含んだブイヨンライスにするのがニクイ! 〆ではありますが、ついワインをもう一杯頼みたくなります。
プリンも「ルディック」の看板料理です。しっかりと硬めでみっちりとしているのにクリーミー。テクスチャーはテリーヌのよう。この独特な食感と唯一無二の味わいは砂糖ではなく練乳を使っているから。プリンマニアが浅草No.1と絶賛するこのプリン、どんなにお腹がいっぱいでも食べずには帰れません。