【肉、最前線!】

数多のメディアで、肉を主戦場に執筆している“肉食フードライター”小寺慶子さん。「人生最後の日に食べたいのはもちろん肉」と豪語する彼女が、食べ方や調理法、酒との相性など、肉の新たな可能性を肉愛たっぷりに探っていく。奥深きNEW MEAT WORLDへ、いざ行かん!

 

前回(平成29年(肉イヤー)総括。“肉”食界では何が起こったか。)に続いて、今回は2018年の肉ブームについて、小寺さんに予想していただきました。

Vol.14「2018年の肉ブームについて」

前回は「2017年の肉ブーム」を振り返ってみましたが、今回は2018年以降の肉トレンドについて考えてみようと思います。ここ数年、熟成肉に赤身、骨付きの塊肉など、毎年大きなブームがありました。2017年は動きの少ない1年にも見えましたが、その分ほかの店にはないオリジナリティを追求した店が多く見られた年でもありました。

ユーゴ・デノワイエ/出典:お店から

 

カジュアルな肉ビストロやイタリアンの人気は相変わらずですが、そこにプラスαの要素を盛り込んだレストランが増えたのは前回でもお伝えした通り。ただ上質な肉を仕入れ、シンプルに焼いて提供するというだけではなく、新たに生まれ変わった恵比寿の「ユーゴ・デノワイエ」や西麻布の「肉割烹 上」のように、新鮮な魚介と肉を融合させた、ひとひねりある“サーフ&ターフ”料理をコースのひと皿に盛り込む店が増えたのも興味深いと思います。

肉割烹 上/出典:Chocottoさん

 

先日、韓国グルメに詳しいライターの先輩に、いま現地では若い世代を中心にチーズタッカルビが空前のブームを巻き起こしていると聞きました。確かに、東京一のコリアンタウン、新大久保でもチーズタッカルビを売りにしている店が人気を集めている様子。肉は単体で味わう時代から、ほかの食材と合わせることで“組み合わせの妙”を楽しむ時代に突入した感があります。

写真:食べログマガジン編集部

 

濃厚なチーズをソースがわりに楽しむチーズタッカルビのほかにも、グリル料理に熱々のラクレットをかけた肉料理を提供する店も増えており、食材の掛け合わせで肉本来の美味しさを倍増させるという、ムーブメントが起こりそうな予感がしています。

 

魚介系で言えば、雲丹と霜降り肉を合わせる贅沢な“うにく”が脚光を浴びていますが、これからは、旨みたっぷりの蟹と肉を合わせる“かにく”を出す店も増えるかも!?

門崎熟成肉KABCO/出典:*あんこ*さん

 

六本木の「門崎熟成肉KABCO」では、ミネラルたっぷりの牡蠣と肉を合わせた牡蠣×熟成肉のローストビーフなど“海と山”の融合をテーマにしたコース料理を提供しており、新しい“サーフ&ターフ”を提案しています。オーナーの千葉祐士さんによれば、牡蠣などの魚介が持つアミノ酸と大地のミネラルの結合体である熟成肉が合わさることで、牛肉の新たな可能性を引き出せると思ったとのこと。

 

2018年は、見た目の斬新さや話題性だけにとらわれるのではなく、食材との相性を真摯に追求したうえで、新しい肉の魅力を提案する店に注目が集まる気がしています。