〈New Open News〉
毎日、たくさんの新しいお店が登録されている「食べログ」。そんな「食べログ」のデータベースの中でも、オープン早々、高い評価の口コミがあったり、多くの「保存」をされたりしている『注目のお店』を食いしん坊ライターが紹介します。
La couleur d’ete(東京・乃木坂)
2023年5月、乃木坂駅から徒歩2分のところにオープンした「La couleur d’ete」。フランス語で「夏色」を意味するフレンチレストランは、鮮やかなブルーのサインが目印です。
シェフの藤井智大氏は、高校卒業後、大阪阿倍野辻調理師専門学校へ入学。卒業後は大阪中之島リーガロイヤルホテルへ入社し3年間勤務した後、ビストロなどでの修業を経て25才で渡仏。シャンパーニュ、アルザス、ニーム、アルボワ、リヨン、パリなどの地方料理をハイシーズンのタイミングで4カ月ごとに回り、研鑽を積みました。帰国後は恵比寿「カーエム」(現在は銀座に移転)や代官山「メゾン・ド・スリジェ」で働き、2009年に独立。都内で14年間のビストロ営業を経て、現在に至ります。
コロナ禍で心臓の大病を患い、何度も心肺停止を経験したという藤井氏。ペースメーカーのおかげで現在は回復しましたが「一度も二度も死んだ身だし、人生のテイク2は自分らしい料理とサービスを楽しんでもらえるお店を作りたい」と、14年間続けていたお店を閉めて心機一転、新たな地でのリスタートを決意します。
新天地を見つけるにあたってこだわった条件は、自宅から通いやすく、美術館のあるエリアで10坪程度の物件–––。いくつかの候補エリアの中から、静かで文化的な乃木坂の地に絞り、こちらに決めました。
お店のコンセプトは「〜la cuisine nostalgique et le vin〜」“ノスタルジックな料理とワイン”。藤井氏がフランス各地で修業をしていた2000年前後の、地方色の濃い料理やクラシカルな料理のテクニックを料理全般に生かしています。
「“温かい料理は熱々で、冷たい料理はしっかり冷たく”その時々のライブ感あるおいしさを大切に、お客様一人ひとりと向き合い“オートクチュールの料理”を提供していきたいと思っています。調理はもちろん、料理やワインのサービスやお店の掃除、皿洗いまでを一人でこなしています。大変ですが、やりがいもあり、すべて自分の責任というところも気に入っています」–––並々ならぬ料理への情熱とこだわりを持つ、藤井氏ならではの境地といえるでしょう。
メニューは、四季折々の食材を楽しめるランチ限定のショートコース「ムニュ レジェ」(全5品・5,500円)と、好きなメインを選べるランチ&ディナーの通常コース「ムニュ クルール」(全7品・12,980円)の2種類が用意されています。
前菜のおすすめは「大地のブルーテ 68℃の卵と」。マッシュルームとキャラメルオニオン、香ばしく焼きあげた地鶏の手羽元から取ったクリアなだし汁を加えて、仕上げにクリームとバターを加えたコクのあるソースが特徴。濃厚な卵の黄身とイベリコ豚のバラ肉で作った自家製ベーコン、パルメザンチーズを利かせた塩味のシフォンケーキに、カリカリの牛蒡のヌイユを食感のアクセントに添えた一皿です。
「修先の『カーエム』宮代 潔シェフの『マッシュルームのスープ フォアグラのフラン添え』をヒントにしました。生意気ながらも自分なりのアレンジを加えたメニューです」と藤井氏。
また、以前のビストロ時代より試行錯誤しながら完成形に仕上げた「山シギとフォアグラのトゥルト ポルトソース」もおすすめ。
サクサクに焼けたパイに香り高いファルス、油脂分と旨みを補うためのフォアグラ、ジューシーな山シギ。まさに足し算の料理であるフランス料理の技術とおいしさのメカニズムが詰まった一皿です(※3日前までに予約。通常コース価格+5,000円)。
店内では藤井氏のセレクトによる、料理とワインのマリアージュも。ランチにはお得な「ワインセット」(3杯・各90ml)3,000円も用意されているので、昼からゆっくり飲みたい休日ランチにもおすすめですよ。
「制限がある中でも、なるべく緑を取り入れたかった」という店先には、メニュースタンドの周りに鉢植えのオリーブや観葉植物を配置。看板のデザインにもエピソードがあり「今年、美術科の高校に入学した娘がフリーハンドでデザインしたものをベースに、看板屋さんに仕上げてもらいました」とのこと。
座席数は、テーブル(4名用、2名用、各1卓)6席、カウンター2席の計8席。グレーを基調とした落ち着きのあるシックな内装は、学生時代からの親友に依頼したもの。テーブル席は各自スペースが作れるように肘付きの椅子にこだわり、テーブルの引き出しには、料理の提供時にお客様をお待たせしないようカトラリーセットが収納されています。
細かな気配りが随所に見られるアットホームなフレンチレストラン。気のおけない仲間と訪れたいですね。なお、来店の際は電話での事前予約が必要となりますが、当日でも席に空きがあれば予約可能とのことなので、まずは問い合わせてみてくださいね。
※価格はすべて税込、サービス料別