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気分はまさにプロヴァンス。大木さんを別世界へと誘った正統派料理
桃色の軽やかソースに浮かぶホワイトアスパラとハーブの共演
ホワイトアスパラの味付けは、通常はオランデーズソースと、赤ワインとグレープシードオイルを加えたもの。非常に軽やかな口当たりと酸味が、ホワイトアスパラの柔らかな食感と甘みを際立たせる。複雑かつフレッシュなハーブは、チャービル、アネット、フヌイユ(ウイキョウ)の葉などを使用。こちらはフランスから空輸で取り寄せているという。
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大木さん
国産もおいしいんですがと言いながら、フランス・ロワール産のものを繰り出します。こういうフランス料理店が僕は大好きです。ソースは卵黄ではなく卵白を使って、ホワイトアスパラの良さをより引き出しているそうです。
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大木さん
トラディショナルなフランス料理好きなら絶対はまります。丁寧な下ごしらえがされているからこその、多彩かつ深い味わいは、ワインとのマリアージュでさらに増幅します。
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セットになっているのが、コッパという豚の首肉を熟成させた生ハムに、ホタルイカをのせた焼きたてリュスティック(フランスパンの一種)。品質の高い辛口のオリーブオイルを「じゃぶじゃぶとかける」ことで一段と贅沢な味に仕上げているそうだ。
パリッとしつつもフカフカの白身魚が口の中で舞い踊る
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大木さん
スズキはもちろん素晴らしいんですが、付け合わせに、しっかり焼き色のついたウイキョウを、無造作を装ってのせるセンスに打たれました。剛毅でありながら美しい一皿です。
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この日のスズキは宮崎県産。フライパンの温度を一定に保ちながら、中火でパリッと香ばしく皮目だけを焼き、身はふっくらと仕上げている。ソースの秘訣は、未熟な葡萄を圧搾したヴェルジュ デュ ペリゴールという調味料。フルーティーかつ柔らかな酸味により、スズキとフヌイユのフレッシュ感が引き立つ。
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牧歌的フランスの恵みそのまま巧みな技術で焼き上げた仔羊肉
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アニョー・ロゼールとは、南フランスの山岳地帯であるロゼール固有種の仔羊のこと。自生する牧草やハーブを食べた母羊の乳で育つため、羊肉らしい個性はありながらクセのないピュアな味わいだ。付け合わせのプティポワ・ア・ラ・フランセーズは、古くからフランスで愛されているプティポワ(グリーンピース)の軽い煮込み料理。食感豊かに焼き上げたメークイン、発芽して伸びたプティポワの新芽も添える。
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ラム肉は廣田さんが修業時代に過ごしたプロヴァンス地方の名物だけあり「脂が乗っているカレダニョは、生肉の段階で余分な香りになる脂や筋を取り除き、焼く際は肉の温度を保ちながら脂や筋の生焼けにならないよう丁寧に焼く。そうすると表面から中心にかけてコントラストのように食感が変化して、断然おいしい!」と扱いに長けている。
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大木さん
あめ色に輝く肉を見て、さらに漂う香りを吸って、一同唾を飲み込みました。肉の焼き方のコツを教えてくれながら切り分けてくれるので、食べる前からおいしい気分に。仔羊ってこんなに旨いんだなと、改めて感じ入る一皿です。4名で訪れたのですが「少し余ったのでどうぞ」と“追い羊”をしてくれました。そういう幸運に巡り合ったら、躊躇せずにお代わりをしましょう!
心地よい苦味の中からとろけだすチーズの甘くない誘惑
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大木さん
締めのスイーツとは思えない、お酒が合いそうな濃厚な味です。まだ飲めというのかと思いつつ、うれしくなってグラスの赤ワインとのマリアージュを堪能しました。
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クリームチーズ、生クリーム、卵、レモン、砂糖少々と素材はシンプル。ビターな味わいの焦げ目がアクセントとなり、チーズの輪郭がはっきりと浮かび上がる。「超高温、短時間で焼き、膨らんできたタイミングで休ませ余熱で火を入れる、お肉に通じるような火入れ加減」が味わいの秘訣という。
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「ここで作るのは星付きレストランのような芸術的料理ではありません。原点はフランスでの修業中にシェフたちから褒められた、まかない料理。休日の料理人が自宅で作るような、ごちそうをイメージしています」と廣田さん。素朴な郷土料理を手掛けても、洗練された技術や多彩な経験によるものか、どの皿も重層的でレベルの高い味わいばかり。南フランスの暖かな風まで感じさせるのは、廣田さんの温かな人柄も影響しているのだろう。幅広い層に響きそうな普遍的なおいしさも兼ね備える、大木さんの言うとおり、まさに、すごい店なのだ。