焼酎に合う熊本県産の馬刺しや、旬の野菜から選んで楽しめる天ぷら

「特上ロース刺し」(3,800円)

「焼酎場」という店名にもう一つ込められているのが「食事場」という意味だ。コースは7,500円から20,000円まで6種類が展開され、アラカルトメニューも肉料理、魚料理、天ぷら、酒の肴、麻婆豆腐やカレーなどの食事ものまで幅広く揃う。

序盤でオーダーしたいのが熊本産の馬刺しだ。蔵元から紹介されたという畜産業者から熊本のブランド牛「あか牛」とともに仕入れており、九州の甘露醤油を添えている。赤身の多い部位ながら、上品に広がる脂の甘さが心地よい。

馬刺しに合わせて、同じく熊本県球磨郡相良村産米「ひのひかり」で仕込んだ繊月酒造の純米焼酎「川辺」を一献。いわゆる米焼酎の味と言われる日本酒のような趣ではなく、骨太で黒麹のどっしりとした味わいだ。ロックであれば少し氷が溶けてきた塩梅の方が、甘みが増しておいしく味わえる。

天ぷら以外にも、焼き野菜や煮物などお好みの食べ方をオーダーできる

「焼酎場 近どう」で来店客の心を躍らせるのが、カウンターに並ぶ旬の野菜たちだ。訪れた際は、春の1カ月程度しか出荷されない糖度10度以上にも及ぶ長崎県「たかしま農園」のトマト「ハートの女王」や、特大サイズの福岡県産「王様アスパラ」などが並んでいた。これらの野菜から好みのものを選び、好みの調理法で味わうことができる。

 

山本さん

天ぷらがおいしくて、カジュアルに楽しめる天ぷらとしては最高峰ではないかなと思います。アスパラの天ぷらは衣の雰囲気も上質で素敵です。ビールや日本酒ももちろん合うと思いますが、やっぱり焼酎と合わせて。

山本さんも太鼓判を押すアスパラの天ぷらは、この時期各種コースでも登場する。富澤商店の天ぷら粉と薄力粉のスーパーバイオレットで作った衣をアスパラにまぶし、綿実油をメインに香り付けに太白ごま油をブレンドした揚げ油でカラリと揚げた。実は近藤氏、以前勤めていた焼酎バー時代から、天ぷらの調理を担当していたベテラン。同店では入口を入ってすぐ、カウンター横にガラスで仕切られた揚げ場があり、ライブキッチンとして天ぷらが揚がる様子を間近で眺められる。

アスパラの天ぷらには、沖縄県産の淡雪塩が添えられる。一般的なアスパラガスよりも太く、大きな王様アスパラの天ぷらは、サクサク軽やかな衣と、穂先までやわらかくジューシーな食感のコントラストが美しく、青さの残るほろ苦さが焼酎を誘う。