【第4週のカレーとスパイス】スープドポワソンをカレー仕立てに? 三軒茶屋の人気ビストロがカレー&昼飲みも楽しめるお店にリニューアルザ ケンタローネ

三軒茶屋のビストロ「ドイーニョケンタローネ」が「ザ ケンタローネ」と名前を変えてリニューアル。2月からランチのカレー営業もスタートしました。

こちらのカレー、スープドポワソンをカレーに仕立てたというビストロらしい珍しいカレーなのです。スープドポワソンとは南フランスの郷土料理で、魚介や香味野菜を使ったスープ。それをスパイスでカレーに進化させたというもの。

ランチメニューは「本格スープドポワソンのカレー」1,320円がメイン。鶏肉入りか野菜入りか選べます。今回は野菜入りにして「いのししカレー」660円も追加。さらにトッピングで「パテドカンパーニュ」550円と「濃厚ウフマヨ」220円も加えて豪華なランチとなりました。色々と頼んだのでご飯は少なめでオーダー。

「本格スープドポワソンのカレー」

まずスープドポワソンカレー。魚介や香味野菜の風味がしっかりと溶け出して融合したスープに、シンプルかつ的確なスパイス使いでギリギリカレーになっています。これが実に面白い。スープカレー的でもあり、出汁カレー的でもあるのですが、そのどちらとも違い、何かと言われればやはりスープドポワソンカレーと説明するのがベストであるような。それをあえてわかりやすく説明するなら、新感覚の出汁カレーとも言えるような、そんな料理です。

野菜入りということで大きくカットされたズッキーニやビーツ、じゃがいも等の野菜がたっぷりと入り、スープカレー的なサラサラ感と出汁カレー的なシャバシャバ感のどちらも感じられるサラシャバな舌触り。魚介のクセの部分がコリアンダーなどのスパイスで爽やかに隠されており、しみじみとおいしいです。

「いのししカレー」

いのししキーマも猪肉ならではの味わいが感じられ、やはりそのクセの部分がスパイスで程よくマスキング。どちらもちゃんと素材の味を残しつつ、それを活かしたスパイス使いなのです。

ライスと、トッピングの「濃厚ウフマヨ」「パテドカンパーニュ」

トッピングしたパテドカンパーニュもウフマヨもビストロ料理らしいクオリティの高いもの。副菜も手抜きなく、満足度の高い一皿となりました。

ランチのカレーとしては決して安くは無い価格ですが、フレンチと考えれば激安であり、フレンチのミニコースに負けない満足感とおいしさで、むしろお得だと言えます。

ディナーにはこのカレーは無く、ワインに合う料理を色々と用意しているとのこと。お昼はカレーのみならずお酒とおつまみで楽しみ、〆にカレーという形でリーズナブルにビストロの昼飲みを楽しめるメニュー構成となっており、しっかりカレーを食べるのも、昼飲みに行くのも良いお店です。

「スープドポワソンの魅力を一人でも多くの方に伝えたくて、カレーという形にして広まれば良いなと思って作ったんです」とシェフは語ってくれました。

スープドポワソンをカレーに仕立てたお店、他にもいくつかあるのですが、その中でもこちらは丁寧な仕事とあえてワイルドな部分も残した個性が感じられる味です。シェフに聞いたところカレーは独学とのことですが、だからこその自由さと、元々持っているセンスが感じられるスープドポワソンカレー。

気になった方は是非お昼に行ってみてください。

【第5週のカレーとスパイス】シーフード好きにも刺さる! 代々木上原の住宅街にモダンタイキュイジーヌの新店が誕生「thalee ling (タレーリン)」

代々木上原の住宅街にモダンタイ料理のお店「thalee ling」がオープンしました。こちらは「Fresh Seafood Bistro SARU」の姉妹店ということもあり、魚介系を中心とした食材をタイの調理法に合わせて作ったオリジナル料理を味わえるお店です。

入り口から隠れ家感のある雰囲気。店内に入ってみれば、タイのリゾート感もある落ち着いた空間で非常に居心地が良いです。

平日ランチメニューから「魚介と野菜のグリーンカレーと山形の香り米」1,500円をオーダー。

「魚介と野菜のグリーンカレーと山形の香り米」

ランチには前菜2種盛りとミントティーも付いてきます。まず前菜。ソムタム(青パパイヤのサラダ)と北海ホタテのタルタルの2つ。ソムタムを食べてみれば予想以上にしっかりとした酸味と辛味で、シャキシャキした食感も良くこれぞソムタムというおいしさ。

前菜2種盛りとミントティー

ホタテのタルタルはチコリにのり、フィンガーフードの感覚で手でいただきます。ホタテのミルキーで柔らかい自然な甘味と上品なうま味が口の中にとろけるように広がり、刺激的なソムタムと真逆のベクトルだからこそそれぞれのおいしさが際立つような前菜で、その後のメインへの期待が膨らみました。

続いてカレー。この日の魚介は海老とホタルイカ。ふわっとした火入れで上品な仕上がりの海老と、ホタルイカならではの複雑な味わい。これがタイのゲーンキョウワンになることによってどちらも調和し、食感の変化も相まっておいしくいただけます。野菜もさまざまなものが入って食べ応えがあります。カレーの味はしっかりと青唐辛子の辛さとハーブの香りが立ち、山形産のジャスミンライスがそれを受け止めます。

オーセンティックな料理そのままではなく、それを日本の食材と合うように考えられたスタイルのモダンタイキュイジーヌ。他にありそうでなかなか無い形です。

せっかくなのでデザートもいただきましょう。デザートとドリンクを選べる「デザートセット」800円はホットバナナケーキ、パンダンリーフのアイス添えにドラゴンフルーツティーを合わせて。

「デザートセット」のホットバナナケーキ、パンダンリーフのアイス添え

バナナケーキはシンプルかつバナナの甘味が凝縮した味わい。これにパンダンリーフを使ったアイスがのるわけですが、パンダンリーフ自体の持つバニラにも似た甘やかな香りが全体の味を包み、こちらも他にありそうで無い仕上がり。

ドラゴンフルーツティーも程よい酸味と控えめに感じる優しい甘味で、素敵な食事の最後をまとめるのに良いものでした。

どの料理もしっかりとタイを感じながらも、日本ならではの良さが共存するものばかり。接客も上品であり、特別な日の食事にも使えるお店です。オーナーは20年ほど前にタイ料理を中心としたアジアンカフェで働き、その頃にタイ料理の素晴らしさに気づいたそうです。時を経て今、新たな形でタイ料理の魅力を伝えたいとこちらのお店を開いたとのこと。SARUでも研鑽を積んだ若きシェフと共にスタートしたモダンタイキュイジーヌの新店。タイ料理好きの方、シーフード好きな方は要チェックですよ。

※価格はすべて税込。

写真・取材:カレーおじさん\(^o^)/

文:カレーおじさん\(^o^)/、食べログマガジン編集部