【カレーおじさん\(^o^)/の今月のカレーとスパイス】2023年3月を振り返る

ここのところ飲食店に行くと満席で入れなかったり行列ができていたり、以前のような雰囲気が戻ってきたなと感じることが増えてきました。コロナ禍による飲食業界の長すぎた冬がようやく終わろうとしているのかもしれません。とは言えウイルスが無くなったわけではありませんから引き続き各自で対策は必要ですが、それと同じくらい気のおけない仲間達とおいしいものを食べることも大切なことだと個人的には考えています。

今月はそんな仲間を誘って行くのにもおすすめなお店を5店舗紹介しました。

  1. 神奈川県屈指の人気スリランカ料理店が関内に2号店をオープン
  2. 老舗名店の料理長を務めたシェフによるお酒も楽しめるインド料理店
  3. 創作中華も王道中華も最高! 東の中華カレー横綱が移転オープン
  4. 三軒茶屋のビストロがリニューアル。ランチ限定のスープドポワソンカレー
  5. シーフード好き必見の新感覚モダンタイ料理店

以上です。もちろんそれぞれ一人で行くのも良いですが、おいしさとその幸せをわかちあえる仲間と一緒に行けば、より味も良く感じられますし心にも残るものですよね。

【第1週のカレーとスパイス】神奈川・南林間の百名店「シナモンガーデン」が横浜に待望の2号店をオープン!

南林間駅近くに「シナモンガーデン」というスリランカ料理店があります。アクセスが良い場所ではないにもかかわらずカレーマニアも多数訪問する「食べログ アジア・エスニック EAST 百名店」にも選ばれている名店です。僕も行ったことがあるのですが、ワイルドさと上品さの止揚を感じる絶品スリランカ料理の数々で、また行きたいと思いつつも都内在住の僕としてはなかなか行きにくい場所だなと感じていた中、関内駅近くに2号店を開店しました。関内であれば何かのついでに足を延ばして行きやすいです。これはうれしい!

雑居ビルの2階にお店はありました。店内は木材を基調とした内装でスリランカを感じさせるアイテムや絵画が飾られていて良い雰囲気。南林間のお店は今時のスリランカのバーといった雰囲気ですが、関内はカフェに近い感じもあります。

「カレー3種類おもてなしプレート」

ランチメニューからいただいたのは「カレー3種類おもてなしプレート」1,500円。チキンカレー、豆カレー、日替わりカレーの3種に、スリランカの副菜が色々と盛り付けられた華やかなワンプレートです。

写真左から、鰤のカレー、パリップ、チキンカレー

チキンはスモーキーな香りと味わいが印象的。程よい辛さでご飯がすすむおいしさ。この日の日替わりカレーは鰤。スリランカは島国なので魚の扱いも上手。こちらも酸味と辛味のバランスが良く、クオリティの高いフィッシュカレーとなっています。豆カレーはパリップというスリランカ料理。滋味深さとだしのうま味も感じます。スリランカ料理はモルディブフィッシュなどのだしを使うことが多く、日常的にだしを味わっている日本人の味覚にもよく合うのです。

副菜で彩られたご飯の上にカトレット

副菜は野菜メインで見た目にも健康にも良い彩り豊かなもの。特に真ん中にのるカトレットはスリランカ料理を代表するものの一つで、わかりやすく説明すると鯖のコロッケなのですが、これをのせることによって日本人に本物のスリランカ料理を伝えるんだという心意気を感じました。

混ぜながら食べるとおいしさアップ

本店と比べるといくらか上品な仕上がりに感じたのでスパイス慣れしていない方にも食べやすいのではないかと思います。カレーはものによって多少の辛さがありますが、副菜やパリップと混ぜながら食べていくと辛さも和らぎ、新たなおいしさも生まれます。

デザートには「ワタラッパン」

食後には「ワタラッパン」400円と「スリランカミルクティー」200円(ランチセット価格)も。ワタラッパンとはココナッツプリン。黒糖の深い甘味にレーズンがたっぷりと入っていて酸味も調和しています。紅茶の産地としても有名なスリランカのミルクティーと一緒に食べることでカレーの辛さも程よく引いていき、心地よく癒やされました。

「スリランカミルクティー」

2月にオープンしたばかりなのですが、既に昼は開店時間と共に満席になる人気ぶり。関内はカレーの名店が多く、隠れ激戦区の一つだと思っているのですが、スパイスカレーやスープカレー、インド料理の名店はあってもスリランカ料理はここが初。今回行ったのは昼だったのですが、夜にはアラックやナリケラなどスリランカらしいお酒やおつまみメニューもあり、飲み利用にも良さそうです。

シナモンガーデンの登場によって、より関内のカレーレベルが上がったと言えるでしょう。

【第2週のカレーとスパイス】その名も「本格インド料理 クマールダバ」。新宿ボンベイの元料理長が西巣鴨に新店をオープン!本格インド料理 クマールダバ」

新宿の老舗インド料理店として長年親しまれ、惜しまれつつ閉店した「新宿ボンベイ」で料理長を務め、他の人気店でも腕をふるってきたシェフが西巣鴨でお店を構えました。その名も「本格インド料理 クマールダバ」。

西巣鴨駅からすぐ近くにあるお店に入ってみるとインド料理レストランというよりはもっとくだけた食堂といった雰囲気。そもそもダバとは食堂を意味する言葉。そしてシェフの名前はクマールさん。つまり、その名の通りクマールシェフの食堂なのです。

「ジャルフレージ」

ランチのカレーセットも良いのですが、こちらのお店はお酒に合う料理が色々とあるので夜がおすすめです。まずはレギュラーメニューから「ジャルフレージ」500円、「チーズクルチャ」600円、「パラクティッカ」(2個)400円を注文。

「チーズクルチャ」

ジャルフレージはわかりやすく言うならドライな野菜カレー。単体でおつまみにもなり、薄めでチーズの量が程よいチーズクルチャとの相性も良いです。

「パラクティッカ」

パラクティッカはほうれん草ソースの骨なしチキンのタンドール焼き。インド現地ではしっかりと火入れをすることがほとんどなので、インド人シェフのお店では火入れがしっかりしている場合が多い中、こちらは日本人の味覚に合う絶妙な火入れでジューシー。ほうれん草ソースの味も良し。添えられた緑のミントソースと赤のタマリンドソースにつけて食べると味も変化が出て良し。これもお酒のおつまみとして非常に良い一品です。このあたりは日本の人気インド料理店で腕をふるってきたからこそのバランス感ですね。

「鯖のタンドール焼き」

レギュラーメニューの他に限定メニューもあります。限定メニューからは「鯖のタンドール焼き」400円(ハーフ)と「マトンビリヤニ」1,300円を注文。

鯖はシンプルに塩焼きしたものに緑と赤のソースが添えられていました。タンドールでふっくらと焼き上げられた鯖。これはインド料理慣れしていない人にも食べやすいメニューです。居酒屋的であり、食堂的。さすがクマールダバ。

「マトンビリヤニ」

そしてマトンビリヤニ。通常ビリヤニにはライタというヨーグルトサラダが付くことが多いのですが、こちらのビリヤニにはサンバルという南インドの野菜カレーが付いてきました。これはなぜかと聞いてみると、クマールシェフによればビリヤニにライタを合わせるのはパキスタンが多く、インドではスープを合わせることもポピュラー。こちらのビリヤニの味との相性を考え、スープ的な意味でサンバルにしたとのことでした。

食べてみれば納得。サンバルとしてはかなりさっぱりとした爽やかな仕上がりであり、しっかり味がついたマトンとの相性がとても良いです。ビリヤニ自体も軽やかで引き算のおいしさなのですが、サンバルが合わさると完成するような、他ではなかなかないタイプのビリヤニでした。

シェフが腕をふるってきたお店の味というよりは、それをどこか感じさせつつもシェフのオリジナルの料理の数々。どれを食べてもおいしいです。食べて良し飲んで良しの、インド料理好きならチェックしておくべきお店ですよ!

【第3週のカレーとスパイス】名物「皿しゅうまい」もカレーも全部うまい! 予約必須の下町中華が移転&リニューアル「緑町 生駒」

中華カレーの名店としてカレーマニアに愛され、地元の方々には町中華の名店として連日予約で満席の人気店「台湾料理 生駒」が、すぐ近くの場所で「緑町 生駒」として移転リニューアルオープンしました。

開店当初は台湾料理も多かったものの時代と共にメニューが変わっていき、今は台湾料理に特化せず様々な中華、あるいは創作中華を提供していることもあって地名の緑を店名に冠し、気持ちも新たにリスタート。

店内は以前のお店より広く、明るく綺麗な雰囲気になりました。まずは前菜としてレギュラーメニューから「クラゲときゅうりの冷菜」950円と、イレギュラーメニューから「茄子の山椒揚げ」800円を注文。この2つ、それぞれ単体でおいしいのですが、一緒に食べるとおいしさの掛け算が生まれるのです。

「クラゲときゅうりの冷菜」
「茄子の山椒揚げ」

茄子の山椒揚げは茄子のフリットのような仕上がりで、衣をつけて揚げることによって茄子のジューシーさが衣の中に閉じ込められます。その上にかかる唐辛子と山椒の麻と辣。箸が止まりません。これにクラゲときゅうりの爽やかな酸味のあるタレをつけて食べると止まらない箸が加速して気づくとすべて平らげているような状態。たまりません。

「咸魚(ハムユイ)のせ皿しゅうまい」

カレーの前にもう少し他のものを。何しろこちらはすべてがおいしいのです。まずは生駒名物の皿しゅうまい。粗挽き肉のシュウマイを小さくせず大きなまま蒸しあげたボリューミーな料理なのですが「咸魚(ハムユイ)のせ皿しゅうまい」1,400円をいただきました。ハムユイとは魚の発酵食品。皿しゅうまいの豚肉のうま味に加えて、発酵した魚によるナンプラーにも似た風味が加わっておいしさが深まります。これも素晴らしい逸品。

「ソフトシェル海老のガリチリえびマヨ」

「ソフトシェル海老のガリチリえびマヨ」1,600円も。予想よりかなり大きなソフトシェルシュリンプがマヨネーズソースをまとい、フライドガーリックにチリペッパーがかかることによって食感と刺激が生まれ、唯一無二の海老マヨとなっていました。最高です。

「スペアリブのマドラス風中華カレー煮込み」

カレーも忘れてはいけません。「スペアリブのマドラス風中華カレー煮込み」1,500円。こちらは生駒の2代目が創作カレーメニューを作ってできたものが、開店当時の生駒にあったマドラスカレーというメニューの味に似ていると初代が言ったことからついたネーミング。カレーパウダーをベースに独自にブレンドした、どこか懐かしく、かつ個性もあるスパイスの香り、さらにしっかり煮込まれたスペアリブのうま味が見事に調和して深い味わいとなっています。何度食べてもおいしいです。

「回鍋肉カレー焼うどん」

以前あったメニューで復活した「回鍋肉カレー焼うどん」1,000円は、カレー味の回鍋肉が平打ちの太麺と絡み合い、他にありそうでないおいしさとなっていました。

「麻婆カレー飯排骨のせ」

さらにもう一品「麻婆カレー飯排骨のせ」1,300円も。豆鼓がきいた重厚感ある中に花椒の程よい痺れで重すぎない仕上がりとなった絶妙な麻婆カレーに、甘味とスパイス感が印象的な排骨がのるというわんぱくな料理。お腹いっぱいです。

生駒の料理は甘味の使い方のレベルが非常に高いものが多いように感じます。だからこその老若男女に愛される味。カレーマニアはもちろん、地元の常連さんも数多く、移転したばかりということもあってなかなか予約が取れないお店ですが、一人であればタイミング次第では入れることも。昼は予約なしで入れますが、今回ご紹介したメニューの多くは夜のメニューなので、4人くらいで予約して色々と食べるのがおすすめです。また、先述したようにレギュラーメニューとイレギュラーメニューがあり、行く度に違うものを食べられるのもうれしいところ。通い甲斐があるお店なのです。

相変わらずのおいしさに大満足。沢山食べたにもかかわらず会計してみるとお値段もお手頃でびっくり。下町の町中華だからこそのリーズナブルさがありながら、味のレベルは高級中華に負けません。初代と2代目、今も二人で手を取り合って厨房で腕を振るっているのも素敵。親子ということもあって時々言い合いながらも2代目は初代をリスペクトし、初代も2代目を認めているのが伝わってきて、下町ならではの関係性だなとほっこりするのです。

僕の大好きなお店。ますますの発展をお祈りしています。いや、僕が祈らずとも既に発展を見せていましたし、今後さらに多くの方に愛されるお店となっていくことでしょう。