京都の中華は他都市とは一線を画します。花街でお座敷ににおいを持ち込まぬよう「ニンニク、油控えめ」なマイルド中華や、昆布だしを活かした京料理風中華など、味付けにも京都らしさが感じられるお店ばかり。そして伝説の名店の系譜を受け継ぐ「鳳舞」系と「盛京亭」系の二大流派があるのも特徴と言えます。そんな京都ならではの食文化を体感できる町中華5店を地元ライターがご紹介します。

教えてくれる人

猫田しげる

グルメ誌、旅行本、レシピ本などの編集・ライター業に従事。現在はウェブライターとして関西を中心に活動。おいしい店はもちろん、それ以上に「クセの強い店」を愛してしまう。表向きは普通に会社勤めしているサラリーマン。あまり更新できていないブログ「クセの強い店が好きだ!」もよろしくお願いします。

1. 広東料理 鳳泉

京都初となる中華料理店「ハマムラ」初代総料理長だった高華吉氏が開いた「鳳舞」。2009年に惜しまれつつ閉店しましたが、そこで修業した料理人たちが「鳳舞楼」「廣東餐館 鳳飛」など高氏をリスペクトした店を開業しており、「鳳泉」もその一つです。鳳舞名物だった焼売、春巻、カラシソバはもちろん、オリジナルの京風広東料理を楽しめます。

虎太郎がゆく
エビカシワソバ(通称カラシソバ)。ツーンとくる辛子の刺激がクセになります   出典:虎太郎がゆくさん
殴られ兎
韮黄春巻も必食。卵を使った皮が特徴   出典:殴られ兎さん
さんタロー
背の高い焼売はまさに肉塊!というほどの弾力   出典:さんタローさん

「鳳」が付くお店は鳳舞系だと考えて良いでしょう。カラシソバもお店によって違うので、いろいろ食べ比べていただきたいです!

2. 盛華亭

「鳳舞」が広東料理ベースなのに対し、もう一つの流派である「盛京亭」系は北京料理ベース。1951年に祇園の路地奥に開店しましたが、2022年に惜しまれつつ閉店。しかしその弟子とも言える店主が1982年に銀閣寺そばにオープンしたのが「盛華亭」です。もともとラー油を使わないように考案された「胡麻餃子」が名物で、全体的に油も塩味も控えめ、まさに京都的中華と言えるあっさり系です。

よっこいごはん
皮は煎りゴマを加えて練られ、ほんのり香ばしい胡麻餃子   出典:よっこいごはんさん
nom.nud
五目やきめし。脂っぽくなくてペロッといけます   出典:nom.nudさん
せくれたりー
座敷は家のようにアットホーム!   出典:せくれたりーさん

季節限定の蟹身あんかけチャーハン、蟹の卵巻き揚げなどもあります。どれもニンニク不使用なのでノンマスクのご時世になっても安心(笑)!