【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレーとスパイス#100】「タンジャイミールス」
カレー激戦区にも色々とありますが、幡ヶ谷もかなり多くの有名店や隠れた名店がひしめき合うエリアです。そんな街に新たな名店が生まれました。その名は「タンジャイミールス」。
ミールスの名前がつくことからもわかるように、南インド料理のお店です。実はこちら、祖師ヶ谷大蔵の名店「スリマンガラム」にいたシェフが新しくスタートさせたお店なのです。
商店街にあるビルの2階に上ってお店に入ればなかなかの広さ。キッチンも広いのが見え、だからこその幅広い料理が期待できます。
ランチタイム、せっかくミールスと店名にあるので「ベジミールス」1,450円(ランチ価格)をいただきました。内容も豪華でサンバル、ラッサムをはじめ、カーラコロンブ、クートゥ、ポリヤル、アッパラムやピックルも付き、デザートのセミヤパヤサムも一皿にのる絢爛ミールス。ご飯がポンニライスなあたりにこだわりを感じます。
メインのカーラコロンブはタミルナードゥ州の伝統的な料理で、タマリンドを中心にスパイス感がしっかりと立った輪郭のしっかりしたカレー。野菜料理ですがメインをはれる存在感があります。他はそれぞれ混ぜることを前提としたバランスの取り方で、一つ一つ食べてみれば素材自体の味わいを感じ、混ぜればまたおいしさが重なり、増していくのです。
ポンニライスはふわふわに炊き上げられており、エアリーな食感で軽いのですが、食べ終わった後には十分な満足感を得ることができます。僕自身は肉料理が好きなのですが、野菜だけでこれだけ満足できる料理ってなかなかありません。
ディナータイムのメニューも見逃せません。「コングチキンチュッカ」1,100円はタミルナードゥ州の中のさらにコングナードゥ地方の料理で、生のココナッツを鶏肉とスパイスと炒め合わせたドライなカレーなのですが、これが実においしい! 生ココナッツはココナッツミルクのような甘みはそれほど感じないミネラルが豊富な食材です。これとチキンの相性が良いのです。チキンのプリッとした食感と生ココナッツのシャクッとした食感が合わさる面白さ。これにスパイスの香り。スターターとしても良いですし、おかずとしても良い一皿です。
また「ムッタイカラッキ」550円も珍しい仕上がり。わかりやすく言えばオムレツなのですが、インドでは卵の品質が日本とは違うので生や半熟で食べるということはほとんどありません。しかしこのムッタイカラッキは絶妙な半熟具合。
こちらのお店のビリヤニはタミル式でグレイビーが均一に米に行き渡ったものなのですが、このビリヤニにのせると南インド版オムライスのようになって最高です。
シェフはオーセンティックな料理をしっかりと作れる方でありながら、このように良い意味での日本ならではのアレンジもできる柔軟な方であり、様々なアイディアを持っているそうで、ある程度の人数で予約すれば予算に応じてオリジナルの料理も作ってくれるとのことです。気になりますね。
食後は「サウスインディアンフィルターコーヒー」500円を。シェフ自らエアブレンドしてくれました。甘さはインドのものと比べると控えめですが、これも日本人の味覚に合わせてのことでしょう。
時に優しく、時に激しく、変幻自在の南インド料理。新店でありながら既に都内の名店に負けずとも劣らないレベルの高さです。幡ヶ谷のカレーがますます盛り上がっていきそうです!
※価格はすべて税込