【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレーとスパイス#99】「Spicier 神楽坂店」
インド料理好きならチャンドラニさんの名を知る人も少なくないでしょう。チャンドラニさんとは西葛西を中心にインド人が数多く住む江戸川区において、江戸川インド人会の会長を務める在日インド人の父とも呼ばれる方です。そのチャンドラニさんがカレーパンの監修をしていることを知っている方はまだそれほどいないのではないでしょうか。

今回ご紹介するお店は神楽坂の中間辺り、本多横丁を少し横に入った場所にできたカレーパンとチャイのお店「Spicier 神楽坂店」です。

以前は学芸大学駅の「GAKUDAI MARCHE」などに出店していたお店なのですが、2022年12月に神楽坂で独立店舗を構えました。イートインスペースもあり、注文してから調理を開始するのでいつでも揚げたてのカレーパンが味わえます。

パンのメニューは4種類。「もちもちキーマ」420円、「チキンバターマサラ」490円、「ほうれん草カッテージチーズ」440円。そして神楽坂に来てからの新メニューで、カレーパンではないのですが「チャイパン」290円というものも増えました。

まずは店内でもちもちキーマとチャイパンをイートイン。こちらのカレー、先述したチャンドラニさん監修とあって本格的なインドカレーをそのままカレーパンに入れてあり、キーマもしっかりとスパイシー。これを、でんぷんを使用しもちもちした食感のパンが包みます。

揚げたてですが、油切れが良く軽やかで上品な仕上がり。最初にサクッと、その後モチッとした食感の変化があり、しっかり辛口で香り高いキーマカレーが口内に広がります。あくまでインドカレーが主体でそれを引き立てるパンというバランスが良く、ありそうで無かったタイプの絶品カレーパンです。

チャイパンはチャイクリーム入りでデザート感覚。大人から子供まで楽しめる味だと言えるでしょう。

テイクアウトも可能ということで、ほうれん草カッテージチーズとチキンバターマサラをテイクアウト。ほうれん草カッテージチーズとは、インド料理で言うパラックパニールのこと。こちらも程よいスパイス感で、カレーパンを食べているのですがインド料理を食べている気持ちになります。チキンバターマサラはマイルド。こちらも期待通りのおいしさ。テイクアウトして温め直しても味がほぼ変わらない状態で食べられるのがとても良いです。
チャイも忘れてはいけません。チャイメニューも1月から増えました。カレーのみならずチャイもチャンドラニさんの茶葉を使用。定番の「スパイシアブレンド」520円はジンジャーやシナモンが利いていて、飲めば体の中からぽかぽかと温まるようなチャイ。これに泡だてたミルクをあしらった「チャイラテ」650円は見た目も可愛らしくて良いです。「カルダモン&フェンネル」580円は別皿でフェンネルが提供され、自分の好みでその量を調節しながら飲むという楽しさがあります。
カフェなどのメニューにある一般的なチャイはチャイシロップを使用したものが多く、インド料理のチャイとは似て非なるもの。インドのチャイは茶葉からしっかりと煮出すので非常に手間がかかるものなのですが、だからこそのおいしさなのです。カフェのチャイが苦手だった人がインド料理店でチャイを飲んだらとてもおいしくて好きになったという話もよく聞くくらい。
こちらのお店はカレーパンとチャイでカフェ的な利用もできつつ、そのカレーもチャイも本格的なインド仕様という稀有なお店なのです。インドにはカレーパンという料理はないのですが、だからこそインドと日本の架け橋になるのではと、チャンドラニさんが監修を引き受けてくれたのだそうです。
基本的にはカレーパンとチャイのお店なのですが、あくまでお店のスローガンはスパイスを広めたいというもの。スパイス料理を気軽に幅広い世代に食べてほしいという思いがあり、場所を選ばず食べられるカレーパンのお店にしたとのこと。そんな思いもあってカレーパンのみならず新展開も準備中。

とある日には限定メニューで「キーマまぜそば」888円を提供していたのですが、こちらもまた非常に面白い逸品でした。スープにもガラムマサラを使用。麺にのったキーマは完全にインド料理のキーマであり、スパイス好きにはたまらない香りと辛さのまぜそば。近隣にはバーなどお酒を飲むお店が非常に多いのですが、そのシメにちょうど良い料理でした。
今後は朝にキーマトーストのモーニング営業を考えていたりと、さらなる新展開のアイディアも色々とあるそうです。
テイクアウトするも良し、カフェ使いするも良し。日程が合えば飲んだ後のシメだったりモーニング利用だったり(通常の営業時間は11:30から18:30なのでイベント営業についてはお店のSNSをご覧ください)と、さまざまなシーンで使える本格的インドカレーを使用したカレーパンとチャイのお店。いや、それを超えたさまざまな可能性を秘めたスパイス料理のお店です。要チェックですよ。
※価格はすべて税込