他店ではまずお目にかかれない本場イサーン料理のおすすめはこれ

「クァクンティム」で味わえるのは、他のタイ料理店ではまずお目にかかれないガチなイサーン料理ばかり。人気のソムタムやグリーンカレー、鍋料理など、カレー細胞さんおすすめのお酒も進む4品をご紹介。

ソムタムを主役におかずが並ぶ大皿料理「ダムター」

青いパパイヤのサラダ「ソムタム」はイサーン料理の代表格。タイや日本で食べたことがある人もいるかもしれないが、こちらの店では、本場イサーンの「ソムタムプーパーラー」として提供してくれる。「プー」はタイ語でカニ、「パーラー」はソムタムに欠かせない発酵調味料(プラーラー)を意味する。

クロックの中で、サークと呼ばれる棒を使って具材をたたきながら混ぜる

ソムタムに不可欠なのが、クロックと呼ばれる臼。この中に刻んだ青パパイヤ、ニンジン、インゲン、トマト、唐辛子などの食材を入れて調味、カニの甲羅をくずさない程度に軽くタムタム(たたく)したらできあがりだ。新鮮なイソガニが使われている。この「ソムタムプーパーラー」を食べるために、毎週東京から来る常連さんもいるという。

「ダムター」3,000円(2~3人用)。中央の黒いものがイソガニ

「ソムタムプーパーラー」を中心に、そうめん、豚皮揚げ、豚で作られたタイソーセージ2種、ゆで卵などをワンプレートに盛りつけたものが「ダムター」だ。ちなみに「ター」にはお盆という意味があり、イサーン地方の一般家庭で複数のおかずをシェアして食べるスタイルに基づくという。

 

カレー細胞さん

現地式の辛いタイ料理が好きなら、ぜひこの店のソムタムを頼んでみてください。いい感じの辛さ、塩漬けカニのいい感じのクサ旨さ、セットで付いてくるそうめんなどと一緒に食べればもう、イサーン地方へトリップできちゃいます。

ハーブだしのスープでしゃぶしゃぶする「チムチュム鍋」

「チムチュム鍋」2人前5,000円から。「チムチュム」には浸す、タレに漬けるなどの意味がある

イサーン地方の名物、タイハーブをたっぷり使った鍋料理が「チムチュム鍋」だ。素焼きの壺のような鍋の中には、こぶみかんの葉、レモングラスなど、タイハーブのだしスープが、大皿には牛タン、牛ハラミがどっさり、シメジ、タイバジル、白菜など季節の野菜が付いている。

「鍋料理というと冬のイメージですが、レモングラスやタイバジルなど、タイハーブにはデトックス効果などさまざまな効能が期待できるとされているので、通年おすすめです。野菜が元気に育つ夏は、収穫したばかりのタイバジルと空心菜を山盛りにしてお出しします」(テンクワさん)

あっさりヘルシーなハーブだしの中で牛タンをしゃぶしゃぶ

スープに浸してしゃぶしゃぶしたお肉や野菜は、そのまま味わうもよし、イサーンスタイルのつけダレに付けるほか、スープでタレを割って味わうもよし。スープそのものは激辛でも苦くもないので、タイ料理にあまり慣れていなくても食べやすい、やさしい味わいだ。

 

カレー細胞さん

ピリッとスパイシーで複雑な旨みがあふれるスープが最高! レモングラスなど綾瀬の畑で取れたハーブを用いているので、香りの質が違います。寒い日は特におすすめ!

日本人が知らない「グリーンカレー」がここに

濃い緑はキレッの葉。粒々したものは「ドックカジョーン」と呼ばれるイエライシャン(夜来香)のつぼみ

こちらは「クァクンティム」のグリーンカレー「ゲーン・キレッ」。タイ料理でグリーンカレーと言うと、ココナッツミルクや青唐辛子が使われた黄緑色のカレーを思い浮べるが、こちらイサーン地方のグリーンカレーは全くの別物。日本人で知っている人は、ほぼいないと思われる。

「薬草のようなキレッという葉やこぶみかんの葉、レモングラス、プラーラーなどで作った、『ゲーン・キレッ』というグリーンカレーで、現地では汁物として味わいます」とテンクワさん。ちなみに「ゲーン」は汁物という意味だ。

 

カレー細胞さん

ココナッツミルクを用いず、これでもか!ってくらい葉っぱ系のハーブを詰め込んだ、食物繊維たっぷりのカレーです。こんなの食べたことない!けどおいしい! これこそ食のテーマパーク「クァクンティム」の楽しみ方です。

サラダ感覚のスパイシーな一皿「川海老のダンクン」

「川海老のダンクン」1,000円。「クン」は海老のこと

ソムタムと並ぶイサーン料理に、タイハーブと調味料で味付けしたスパイシーな挽き肉サラダ「ラープ」という料理があるのだが、この挽き肉を川海老に置き換えたのがこちら。新鮮な川海老だけでなく、香りが強いフレッシュなタイパクチー、パクチーファラン、サラネなどのタイハーブもたっぷり使われている。

「豚肉や鶏肉のラープはポピュラーですが、当店では川海老以外にもイノシシ、鹿、牛肉など、本場イサーンならではのラープもお出ししています」(テンクワさん)

 

カレー細胞さん

ディープなイサーン料理が味わえるこの店ならではの珍品。ビシッとした辛さと酸味でお酒が進みます。カリッとした食感のカオクア(煎り米)もたっぷり、こうでなくっちゃ!

家庭的な雰囲気を大切に驚きあふれる本場の味を

インスタやフェイスブックなどSNSでの発信にも力を注ぐ

カレー細胞さんもその一人だが「クァクンティム」では、お店が積極的に発信するSNSが来店のきっかけという人が少なくない。動画や写真を見て、この料理は食べられますかと問い合わせをして来店する客も多いそう。

 

カレー細胞さん

その日どんな食材が揃っているのかによって、次々と面白いメニューが出てくるのがこのお店の楽しいところ。お店のSNSをチェックしつつ、予約時に希望を伝え、どんな料理ができるか確認するのが確実です。電話でもよいのですが、お店のフェイスブックページからメッセージでやりとりすれば、より好みに合った料理を用意してくれると思います。

「家庭的な雰囲気を大切に本場の味をお届けします」とテンクワさん

日本人向けにアレンジされたタイ料理風のタイ料理ではなく、タイ東北部イサーン地方の現地の味が楽しめる「クァクンティム」は、横浜の、いな、日本の中でも非常に希有なタイレストランと言ってよい。「本格的でマニアック」「ディープでクレイジー」などの言葉は、この店を評する最高の褒め言葉だ。

今回4品紹介したが「その季節、その日にしか食べられない旬のイサーン料理こそ、一番のおすすめ」とカレー細胞さん。

驚きに満ちた未知なるイサーン料理の一大エンターテインメント。その目と舌で味わいに、ぜひ訪れてみてほしい。

※価格は税込です。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認ください。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

撮影:井原淳一
取材・文:池田実香(フリート)