「食べログ グルメ著名人」で渋谷区初のCEO(Chief Eat Officer)を務める小宮山雄飛さんに、デイリー使いできて満足度も高い、東京の“料理がおいしい酒場”を教えてもらう連載! 第3回は、最寄駅から約2kmという立地にありながら、連日満席のレジェンド的居酒屋「中村屋」のおいしいポイントを教えてもらいます。
【東京メシうま酒場 vol.3】「中村屋」
今回はかなりディープなお店に向かいました。
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驚くのはその場所。JR新小岩駅からも、都営新宿線一之江駅あるいは瑞江駅からも、とにかくどこの駅からも歩いて30分近くかかる完全な住宅街の中。そんな場所に、酒場通たちが夜な夜な通う名酒場があるのです。
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ちょっと一見さんには入りづらい、明らかな老舗感が漂ってますが、そこは勇気を出して飛び込んでいきましょう。
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見事な細長いコの字カウンターに並んだ丸椅子。
思わず「こういうとこで飲みたかったんだよ!」と心の中でガッツポーズを取りたくなるような、レトロ酒場です。
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お酒もツマミも、すべて壁の短冊メニューに書かれています。「何を頼もうか……」とキョロキョロ壁を見渡す時間もまた楽しいのです(一切壁を見ずにすらすら頼めるようになったら、もう常連です)。
ということでまずはお酒から。
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名物のハイボールは焼酎ベースのオリジナルリキュールと炭酸が1本。この魅惑的な色!
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配合は企業秘密という謎の原液、瓶ごと冷やしてあるのも特徴です。
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原液も炭酸もしっかり冷えているので、氷を入れないとぴったり炭酸1本が収まるようになっています。
頼めば氷ももらえるそうですが、ここは昔ながらの氷なしのストロングスタイルでいただきます! うん、めっちゃ飲みやすい!
予想以上に甘さは少なく、それでいてすっきりした風味で、おそらく焼酎はかなり濃いめに入っているはずなのに、焼酎っぽさを全然感じさせない、これは危険な飲み物です(笑)。
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こちらに来たら誰もが頼むのが「マグロのぶつ切り」。見るからにおいしそうなマグロの赤身が、豪快に盛り付けられています。
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さっぱりした赤身なのに、とろける軟らかさ。酒場の刺身はこうあってほしいという、お手本のような見事なマグロぶつです。
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続いて、こちらもおすすめメニューの「あげだしどうふ」。丸々一丁分の絹ごし豆腐を油で揚げて、甘めのだしにたっぷりの鰹節とネギ。さらに素揚げのナス・ピーマンにホタテまで添えられた、これまた豪華な一皿。
一人で来たら、これだけでお腹一杯になっちゃうんでは?というくらいの量ですが、フワフワの豆腐の食感と濃いめの味付けが最高で、すぐにペロッと食べてしまいます。
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せっかくなので焼酎ハイボールと角ハイボール(ウイスキー)を飲み比べ。「これ、ダブルだから気をつけてね」というお店の方の言葉どおり、通常よりかなり濃いめのハイボール。
これもグビグビいっちゃうと大変ですが、400円でダブルのサービス。呑兵衛にはうれしい限りです。
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そしていよいよ登場、こちらの名物「エビふらい」。極太のエビフライが3本、見事にそそり立っています! こちらのお店で一番高い料理ですが、この堂々とした姿を見れば納得。
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1本の重量がハンパないのです。これ、普通の居酒屋さんではお目にかかれない、エビフライ専門店で出てくるようなやつです。
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タルタルソースも好きなんですが、酒場でのおすすめは醤油とカラシ。ぐっと酒のツマミ感が増します。
カリカリサクサクに揚げられたエビふらいは、とにかく身が厚く引き締まっていて、食べ応えあり。
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口いっぱいにエビふらいを頬張って、しっかり味わったところで、すかさず生ビールで流し込む。最高の瞬間です。
最後は、これまた名物。お客さんが「ブタショー」「ブタショー」と呪文のように注文している、豚しょうが焼きを。
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タレたっぷり、見るからに酒の当てにぴったりな豚しょうが焼き。
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濃いめのタレと豚肉の脂の甘さがあいまって、これまたビールにもハイボールにも合う。ご飯のおかずで飲むというのが、いかにも下町の食堂っぽくてまた良いんですよ!ということで、お酒もツマミもすっかり満足。
どの駅からも行きづらい場所にありながら、連日開店時間から常連さんが通い詰めるのもよく分かる、これぞ下町居酒屋という名店でした。
※価格はすべて税込