〈食いしん坊が集う店〉

食べることが好きで好きで、四六時中食べ物のことを考えてしまう、愛すべき「食いしん坊」たち。おいしいものが食べたければ彼らに聞くのが間違いなし! お気に入りの“とっておきのお店”を教えてもらった。

教えてくれる人

森脇 慶子

「dancyu」や女性誌、グルメサイトなどで広く活躍するフードライター。感動の一皿との出合いを求めて、取材はもちろんプライベートでも食べ歩きを欠かさない。特に食指が動く料理はスープ。著書に「東京最高のレストラン(共著)」(ぴあ)、「行列レストランのまかないレシピ」(ぴあ)ほか。

溜池山王の知る人ぞ知る本格フレンチの新鋭「アマラントス」

ビルの2階の扉を開けば「アマラントス」の店内へ。高級感ある廊下の装飾も印象的だ

港区の街を歩くと、ついつい背筋がピンとするという方も多いのではないだろうか? ひとたび街を見渡せば、オシャレなファッションに身を包んだ人ばかり。どこかハイソな雰囲気を感じる街なだけに、見るものすべてがスタイリッシュに映る。当然、レストラン一つとっても洗練されたお店が軒を並べている。

そんな港区にある溜池山王駅から歩くことおよそ7分。六本木通りから赤坂福榎商店街へつながる小路を進むと、雰囲気のいいビルが立っている。そこの2階にあるのが「アマラントス」。オープンしてまだ1年が経ったばかりだが、早くも数多くの食通たちを虜にしている。

自身のキャリアの集大成となる店に

ライブ感を楽しめるカウンター席。ドレスコードもなく気軽に入店できるという

この店のオーナーシェフを務める宮崎慎太郎さんはフランスから帰国後、丸の内や六本木のレストランにて星を獲得し、さらにリッツ・カールトンなどで長年シェフを務めたという華々しい経歴を持つ。

そんな宮崎さんが「これまでの自分の集大成に」という思いを込めて2021年10月にオープン。ちなみに店名の「アマラントス」は想像上の花の名で、花言葉には「不滅、終わりのない愛、粘り強い精神」などの意味がある。この花のように後世に語り継がれるようなものにしたいという思いがこの店名に込められているという。

 

森脇さん

リッツ・カールトンのシェフ時代から、宮崎シェフのお料理はいただいていたので、独立されたと聞いて食べに行きました!

素材の味を引き出し、美しい一皿に仕上げる

オーナーシェフの宮崎慎太郎さん。パティシエからフレンチへ転向したという経歴の持ち主でもある
パティシエの経験がある宮崎さんらしく、ソースやピューレで絵を描くように盛り付けていく

「シェフとお客様との距離が近いお店にしたかった」という宮崎さんの思いもあり、店内は個室とカウンター8席のみ。オープンキッチンになっているため、カウンターからは宮崎さんがどんな料理を作っているかがよく見えるようになっている。

数々の料理をまるで芸術作品を創っていくように仕上げていく宮崎さんの姿を見ながら会話を楽しむ常連客が多数やって来るというのもうなずける。さらに「食に対して貪欲で興味が強い人が多い」というこの街の住人たちもオープン以来、リピーターになったという。