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目にも美しい珠玉の4品を紹介!
「アマラントス」の魅力は宮崎さんが腕を振るうフレンチ料理。通常は19,800円からのコースで提供しているというが、今回は森脇さんが特に気に入っている3品と宮崎さんのこだわりが詰まった1品を紹介。いずれも宮崎さんの料理に対する思いやお客様に喜んでほしいというホスピタリティが込められている。
見た目も美しい「野菜の一皿」
見た目にも美しい一皿は森脇さんも大のお気に入り。石川県のNOTO高農園という農家から取り寄せた新鮮な季節の野菜を、フリットやお浸しなど野菜それぞれの味が最も生きるように仕立てたものが10種類以上も皿の上に飾られる。
取材したのは2022年11月上旬ということもあり、この時期は大根などの根菜類が多くなっていて、季節に合わせて最もおいしい野菜を使用しているという。
皿の真ん中にはカボチャのピューレにスパイスを加えたものを添えてあるので、それに付けながら食べると野菜本来の旨味、甘みが存分に伝わってくることだろう。
森脇さん
野菜を一つ一つ異なる調理法、味付けで仕上げて一皿にまとめているのが印象的です。
食通が思わずうなる「ドーバーソール」
ドーバーソールとはドーバー海峡で取れる舌平目のこと。「アマラントス」で使用する魚介類は主に神奈川・小田原や山口県、北海道などから仕入れるというが、2週間に1度のペースで海外から上等な魚が手に入ると、この料理を提供するという。
日本で舌平目を使った料理というとムニエルの印象が強いが、ドーバーソールは日本の舌平目と比べるとはるかに大きく、さらに筋肉質な身が特徴。そのためムニエルよりもポワレやソテーにした方がドーバーソール本来の持ち味が生き、さらにフランス料理のソースともマッチする。
「いろいろな魚を食べつくした食通の方も思わずうなってしまう」と宮崎さんが語るように、ナイフを入れただけでもその肉質の違いが分かるほど。魚介のエキスを泡立てたソースと合わせて楽しみたい。
森脇さん
ドーバーソールは宮崎シェフのシグネチャーとも言える一品。他ではなかなかお目にかかれません。
仔豚の魅力が最大限に引き出された「花愁仔豚の一皿」
「もともとスポット商品として提供していた」という花愁仔豚(かしゅうこぶた)。フレンチやイタリアンの世界ではなじみ深い仔豚という食材を日本人にフィットするように宮崎さんが考案したのがこの一皿。
仔豚の一番の魅力である皮のパリパリ感と脂身の甘みを堪能できるように皮付きのバラ肉部分はカリッと揚げ焼き、腿の肉はジューシーにローストした。さらに調理の際に出た端切れの肉もミンチに加工し、テリーヌにして、仔豚の魅力を最大限に堪能できる仕立てが施されている。
森脇さん
仔豚の各部位の特徴を生かした調理法を施していて、いろいろな味わいを楽しめるのがポイント高いですね!
カブの甘みがギュッと凝縮された「カブのコンソメ」
これぞ宮崎さんの真骨頂と言えるのがコースの序盤に提供しているというカブのコンソメ。近江蕪という通常のカブよりも大きなサイズのものをすりおろして絞り、さらに火にかけて沸かしながらあくを取りコンソメ仕立てにしてカブの持ち味を存分に引き出している。
美しく透き通ったスープにはカブの甘みが凝縮。一口飲めば、カブの魅力が最大限に楽しめることだろう。ちなみにすりおろした部分はフリットに。カブのモチモチとした食感を楽しめるのはもちろん、すべてを無駄なく使うという宮崎さんの思いが込められている。
この店から生まれる新たな出会いを楽しみに
「食に対して貪欲で関心が高い人が多い」という港区に店を構えて早1年、「アマラントス」には宮崎さんの腕前に絶大な信頼を寄せ、古くから知る常連客が中心となって宮崎さんのふるまう料理に舌鼓を打っているという。「フランス料理をやる人間にとってはやりがいのある場所」と語るこの町で宮崎さんは今日も最高の料理を提供している。
「オープンして1年、常連のお客様に支えられてここまでやってきましたが、この店でまた新しい出会いがあると僕もうれしい。夜はちょっと遅めの時間まで営業してアラカルトメニューにも対応しているので、ぜひお店にお越しいただければと思います」
食に強いこだわりを持つ食通たちがこぞって足を運ぶ「アマラントス」。近い将来、溜池山王を代表するお店になるのは間違いないだろう。
※価格は税込、サービス料(10%)別