【第4週のカレーとスパイス】求めていたスパイシーさ! ガツンとくるスリランカカレーが食べたい人は錦糸町に行くべし「パハンギラ スリランカン レストラン」

東京の東側に展開する「加真呂」というステーキをメニューの中心としたチェーン店があるのをご存じでしょうか? 加真呂にはなぜかスリランカ系の店員さんも多く、中にはスリランカカレーを味わえる店舗も存在します。錦糸町の加真呂もその一つだったのですが、2022年6月に正式にスリランカ料理専門店「パハンギラ スリランカン レストラン」として生まれ変わりました。

外観は変わりましたが内観はほぼそのままの雰囲気。夜に行ったのですがメニューはランチメニューの「スリランカカレープレート」1,500円(税込)があるのみ。

メニューの裏を見ると加真呂の名残を感じるステーキもあったのですが、聞いてみるとこちらは今出していないとのこと。

「スリランカカレープレート」

スリランカ料理を色々と出したいものの、なかなかお客さんが増えておらずカレープレートのワンメニューを基本とし、時間帯によっては「カトレット」など軽食のテイクアウトも準備しているのだそうです。ならばスリランカカレープレートで行きましょう。もともとこれが一番食べたかったので問題ありません。

チキンカレー、パリップ(豆カレー)、ナスのモージュ(揚げたナスのあえ物)、ポルサンボル(ココナッツふりかけ)、パパダン(豆せんべい)などがワンプレートに盛り付けられた王道のスリランカカレープレート。一口食べてみるとガツンとくる辛さとスパイスの香り、濃いめの味付けのカレーはじめ様々な副菜と、それを受け止めるご飯はスリランカのキーリサンバライス。これはおいしい!

都内にもスリランカ料理のお店は増えましたが、どちらかというと優しい味や上品な味のお店が多く、大阪「ロッダグループ」や茨城「バナナリーフ」のようなガツンとくる強い味のスリランカ料理店はまだまだ少ないと感じています。そんな中、こちらのお店はまさにその方向。先述したお店の味が好きな方にはしっかりとはまるのではないでしょうか。

カレーも副菜もワイルドなおいしさで、キーリサンバライスもポロポロとした食感で、カレーや副菜を混ぜていくのにとても良い米であり、混ぜながら食べていくと味のグラデーションを楽しめます。

紅茶とワタラッパン

食後には紅茶とワタラッパンもついてくるサービス。ワタラッパンとはスリランカのココナッツプリン。現地系のお店に行くといわゆる鬆(す)が入っていることが少なからずあり、元々はそのようなスタイルなのだそうですが、こちらはしっとりと滑らかな食感で今時のワタラッパン。ストレートティーも香り高く、最高のデザートです。

スリランカ人女性が一人で切り盛りしており、僕が行った時には他にお客さんもいなかったので色々と聞いてみると「全部お母さんの味。私の家の味。スリランカの味のままで出したい。他にも色々出したいけど、お客さん増えないと」とのことでした。

なんともったいない! 都内のスリランカカレー好きはこちらのお店に集結してください。繰り返しますがガツンとしたスリランカカレーが好きならわざわざ行っても損はないと太鼓判を押しましょう。せっかく良いお店でも知られていないというだけで閉店を余儀なくされることが少なくないご時世です。この記事を読んで気になった方はすぐにでも足を運んでください。

【第5週のカレーとスパイス】カレーの〆はチーズケーキ! 高円寺の人気間借りカレー店が千駄ヶ谷へ移転&独立オープン「チーズケーキと彩りカレー Luna piena」

間借りカレー激戦区である高円寺の中でも新進気鋭の人気店としてファンが増えていた「チーズケーキと彩りカレー Luna piena」が2022年9月に千駄ヶ谷へ移転、独立オープンしました。

こちらの移転先、カレー好きなら誰もが知る撮影禁止の名店「ディルセ」の跡地。実はディルセも9月に静岡へ移転したのです。ちなみにディルセは移転後も相変わらず撮影禁止を貫いておりますが、ルナピエナは他のお客さんへの配慮をした形であれば撮影可能となっています。

新生ルナピエナ、店内は重厚で高級感があったディルセ時代と変わり、明るくライトなカフェ風の雰囲気になりました。カレーライスとチーズケーキのお店ですから、この空気感の方が合っていますね。

「3種カレー」

「3種カレー」1,600円を注文。この日のカレーは店名を冠したルナカレー、ポークビンダルー、フィッシュカレーの3種。これに副菜がつくのですがこの日は、くたくた茄子のタルカリ、アルゴビ、高菜のアチャールという3種でした。

ルナカレー

ルナカレーはネパール料理のククラコマスを思わせるサラッとしたグレイビーで滋味深い味わい。ポークビンダルーはインド・ゴア地方の名物料理で酸味が特徴のポークカレーですが、辛さは控えめで優しい仕上がり。

ポークビンダルー

この日のフィッシュは鯖。南インドのミーンモーレー的なココナッツの自然な甘さと鯖のうま味がおいしさの相乗効果を生んでいました。

フィッシュカレー

こちらのカレーはそれぞれが単体で完成したおいしさなので、混ぜるよりも一つずつ別々に食べるのがおすすめ。そこに副菜を混ぜていくのが楽しいです。特に高菜のアチャールはネパール料理のグンドゥルック(青菜を発酵させた保存食)のようなテイストとなっていて、ルナカレーとの相性が抜群でした。

「バスクチーズケーキ」

ルナピエナはカレーとチーズケーキのお店です。と言ってもチーズケーキのみならず他のスイーツも充実しています。「バスクチーズケーキ」450円と「ピスタチオジェラート」350円もデザートにいただきました。スイーツはカレーと一緒ならお得なセット価格になるのもうれしいですね(上記はそれぞれセット価格)。

バスクチーズケーキにはメープルシロップと岩塩が添えられていて、それぞれで味変しながら食べていくのが楽しいです。

「ピスタチオジェラート」

ジェラートにはピスタチオが惜しげもなくたっぷりと使われていて、豪華な気分になるものでした。

既に地域の方にも人気のようで12時前には満席となり行列もできていました。僕は開店時刻に行ったのですが、その時点では待ち無しだったので確実に食べたい方は早めに行くのが良さそうです。

シェフは元々料理好きで、高円寺のお店も最初は友達の縁からカフェとしてスタートしたのだそうです。その中で個性を打ち出す為に、せっかく間借りカレー激戦区なのだからとカレーで勝負。それに得意としていたスイーツを合わせるという形にしたのがカレーファンの間でも好評となり、短期間で独立し、名店の跡地を引き継ぐことになったというシンデレラストーリー。

カレーを作るようになってからの経験は浅いそうですが、それでこのクオリティが出せるのはセンスがある証拠。ディルセの穴を埋める新たな名店に育っていくポテンシャルを持ったお店だと期待しています。

※価格はすべて税込です。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

※営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、最新の情報はお店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

文・写真:カレーおじさん\(^o^)/