〈食いしん坊が集う店〉

食べることが好きで好きで、四六時中食べ物のことを考えてしまう、愛すべき「食いしん坊」たち。おいしいものが食べたければ彼らに聞くのが間違い無し! 今お気に入りの、“とっておきのお店”を教えてもらった。

優しいスパイスの香りが組み合わせ次第で多彩に変化「BLOCK HOUSE 水曜カレー」

毎週水曜が待ち遠しくなる優しくも刺激的な味わい!

食べログの口コミ投稿数1,000件以上、宅配収納サービス「Sumally Pocket」などを運営するグルメな経営者、山本憲資さんに「本当は教えたくない、とっておきのお店はありませんか?」と訪ねたところ、水曜限定のカレー屋を紹介してくれた。食べログの点数も急上昇を続けており、取材前には3.5以下だったが現在はすでに3.61。カレー好きのレビュアーも軒並み高得点をつけている、そのおいしさの理由やいかに!?

※点数は2022年8月時点のものです。

教えてくれる人

山本憲資
株式会社サマリーFounder&CEO。一橋大学商学部でゲーム理論を専攻した後、電通に入社。その後、コンデナスト・ジャパン社へ転職し、雑誌『GQJAPAN』の編集者に。テック系からライフスタイル、ファッションまで幅広いジャンルの企画を担当。退職後は“モノ”を通じてユーザー同士が繋がるSNS「Sumally」を立ち上げ、スマート収納サービス「Sumally Pocket」をローンチ。食にも日々強い情熱を注いでおり、東京のみならず地方の店にも造詣が深い。

明治通りの裏路地、アーティスティックなビルに毎週水曜カレー好きが集う

ビルの玄関には水曜だけ看板が置かれる

アパレルショップやギャラリーからなる文化的複合型スペース「BLOCK HOUSE」。そのビルの3階で水曜だけしか営業しない、その名もずばりな「BLOCK HOUSE 水曜カレー」が登場したのは2015年だった。カレーファンの間でまたたく間に話題となるも、わずかな期間で営業は終了。2021年4月に約6年ぶりとなる復活を果たし、看板の(仮)マークが消されていることから「今後も営業が続きそう」とカレーファンたちが期待を寄せている。

 

山本さん

真心ブラザーズのYO-KINGさんに連れていっていただきました。水曜日限定というレア感も前段としておもしろいのですが、その期待を裏切らないおいしさです。原宿のど真ん中、洒落た雰囲気のカフェスペースで「こんな手のこんだスパイスカレーを食べられるとは!」と驚きました。

三浦半島の逗子にある自宅から原宿に通う店主の高木賢祐さん

カレーを手掛けるのは、食に関わる多彩な活動を続ける高木さん。大学時代、フレンチレストランでアルバイトをしたことがきっかけで、食の世界にのめり込んでいったが、もともとは芸術専攻という異色の経歴だ。普段はコンサルティングや店舗の立ち上げなどを行うほか、アートイベントにも料理人として積極的に参加している。

天窓から光が差し込む隠れ家。ギャラリーとしても機能する

「10年くらい前、南インドのカレーに感動して自分も作ってみようとテストキッチンを探していたら、たまたまこのテナントが水曜のお昼だけ空いていたんです。ほとんど独学なので、カレーの作り方も他とはちょっと違うかもしれません。最初は知り合いに試作品を振る舞うだけの予定だったのですが、気づけば大勢の方にお越しいただけるようになりまして……」と、お店誕生の経緯を教えてくれた高木さん。いったん水曜カレーを閉めてからは食に関わる管理業務を続けていたが「原点に立ち返り、今は個人で好きな仕事をしています」とのこと。

コラージュ作品のようなメニュー表。よく見ると魚体が「アジ」の文字の形に並んでいる

カレーに使用する食材の多くは、高木さんが住む逗子で仕入れたものだ。「本当はすべて逗子近郊の食材で統一したいのですが、なかなか手に入らないものも多くて。営業の前日までメニューが決まらないこともあります(笑)」と高木さん。取材当日はズッキーニ、ピーマン、キュウリなどが鎌倉産や葉山産だったほか、三浦半島の魚が集まる逗子駅前の魚屋で仕入れたというアジがレコメンドされていた。