ここでしか味わえないおいしさを堪能
トップレストランで磨いたBurges氏の料理を、単価6,000~7,000円という価格帯に落とし込み、カジュアルながら世界トップクラスのレストランを目指す「SMOKE DOOR」。扱いが難しい薪火をテーマにしながらこの価格帯は挑戦とも言える。ミシュラン三つ星店と比べて使える食材が限られる中、 野菜に合わせ、何時間もかけて焼いたり、数日間かけて火入れしたりと、驚くほど手間暇をかけおいしさを追求している。
Burges氏こだわりの、食材の魅力を最大限に引き出したメニューをいくつかご紹介。
ケールを48時間スモークした「ケールチップ」は、サクッとした食感とほろ苦さが癖になるおいしさ。食べる美容液と言われるケールを、これほど食べやすくおいしくいただけるのはうれしい限り。一晩スモークした芳香も良く、お酒との相性もバッチリ。
見た目も美しい「アボカドトースト」(748円)は、焦がしバターとたまり醤油を染み込ませ、表面をカリッと仕上げたトーストと、軽くスモークしたアボカドにミントのアクセントがい利いている。和と洋が融合した爽やかな一皿だ。
なんと三つ星レストランのスペシャリテだった料理の、ウニをアボカドに変えたという、驚きのアレンジ。
夏らしい「カニとトマトのガスパチョ」(1,518円)は、可愛らしいガラス瓶で冷やされたガスパチョを、ラディッシュで彩られた、たっぷりのカニに目の前で注いで提供。新鮮な演出がにくらしい。綺麗なグリーンのガスパチョだが、通常の赤いトマトではなくグリーントマトを使用している。ほんのり感じるハラペーニョがアクセント。
皮付きの豚バラ肉に24時間かけてゆっくり火入れし、表面をカリッとクリスピーに、身はホロリと柔らかく仕上げた「2日間火入れした 豚バラ肉のクリスピーグリル 三杯酢」(1,518円)は、自家製の三杯酢のほどよい酸味に肉のうま味が引き出され、食感、味ともに素晴らしい。豚バラなのに全く脂っぽくなく、サッパリと食べられる。
「24時間かけて炙ったカリフラワーの薪焼き」(968円)は、約3日間遠火で火入れしたカリフラワーに、3週間かけて作った自家製の澄ましバターをかけて仕上げている。薪の香ばしい香りとフライドエシャロットのシャクッとした食感も楽しい。カリフラワーもビックリしているのではないかと思うような、出会ったことのない面白味のある料理だ。
皮はパリッと、身はしっとりジューシーに焼き上げた「48時間調理したチキンの薪焼き」(2,508円)は、1日塩につけ焼く前に皮の部分を乾かし、よりパリッと仕上がるように手をかけている。噛む度に口の中に広がる肉汁が、素材そのものをしっかり味わっているという満足感をもたらす。
朝食でも食べられる薪で焼き上げる焼きたてパン「パーカーハウスロール」も是非味わって欲しい逸品。スモークしたわかめが入っているという2週間かけて作るバターをつけて食べると、思わず笑顔になってしまう。
デザートの「SMOKE DOOR サンデー」は、スモークマシュマロアイスにスモークナッツがのりスモークキャラメルをかけるという、正にスモークづくし。マシュマロを混ぜて作ったアイスのため、熱々のキャラメルソースをかけても瞬時には溶けず、燻香を楽しみながら食べられる。
ペアリングも充実
お酒好きの方には「SMOKE DOOR」の魅力が味わえる「ハーベストコース」(9,680円)に、コースに合わせた「ペアリング」(3,080円)もおすすめ。明るく爽やかなソムリエが、料理に合わせたお酒を提案してくれる。
レモンの皮の白い部分を丁寧に取り、何度も茹でて干したものと、果実だけにした部分をピューレにし、1日スモークしたウォッカで作る「SMOKE DOORレモンサワー」(968円)や、爽やかで一日の疲れをリフレッシュしてくれるような「ライムときゅうりのジントニック」(850円)などユニークなオリジナルカクテルも「SMOKE DOOR」の魅力のひとつ。
「ハーベストコース」は売上の8%を地域の子供達への食育や食の支援などに使用していて、活動内容はHPやSNSで発信するなど、社会貢献にも力を入れている。
再訪したくなる他にはない体験を
薪場を近くに感じる空間の演出から始まり、Burges氏ならではの視点で生み出される、想像を超える手間暇をかけた斬新な料理、その提供方法まで、おいしいだけでなく楽しさの詰まったレストラン。スタッフも皆笑顔でイキイキと働いている様子が気持ち良い。フレンドリーだが、丁寧で細やかな気遣いをしてくれる、そのホスピタリティの高さにも感動を覚える。一度来店すれば「あの人を連れてまた来たい」「みんなに教えたい」と思える笑顔になれるレストラン、是非訪れてみて欲しい。