予約困難な名店のシェフが集う美食のコラボレーションDREAM DUSKが、3年ぶりに開催される。同時に今回でファイナルとなる同イベントの仕掛け人に、見どころや主催者としての思いなどを聞いた。

「DREAM DUSK」とは

2016年からスタートしたDREAM DUSK(ドリームダスク)は、国内外で活躍する有名シェフが集結し、特別な食体験を供するという他に類を見ない食の祭典だ。そのコンセプトは「寿司・和食・中華・イタリアン・フレンチと、ジャンルを超えたトップシェフ達の料理を、それぞれのレストラン5軒をハシゴするがのごとく、一度のコースで食べられるという夢のようなコラボレーション」。

贅沢なディナーはもちろん、「お得で楽しくておいしい!」と大評判のランチも見逃せない。こちらでは地元福岡の大人気店が20軒以上集結し、青空の下で至福の食体験を叶えてくれる。

会場は「ザ・ルイガンズ.スパ&リゾート」。福岡空港から電車で約1時間の半島沿い「海の中道海浜公園」にあるリゾートホテルだ。回を増すごとに進化し続けてきたが、過去2年は新型コロナウイルスの影響により、やむなく延期となっていた。それが2022年、ついに復活開催。なおかつ今回でファイナルを迎える。

日程は7月9日(土)・10日(日)の2日間。ランチ・ディナーともに今回も充実の内容だが、各シェフの魅力や最終回の見どころは? また、ファイナルにかける主催者の思いとは? イベントをゼロから立ち上げ、総合プロデュースをする本田直之さんに話を聞いた。

本田直之さん

――今回でDREAM DUSKは5回目となりました。

本田さん(以下、H) 僕自身楽しみです。DREAM DUSKはもともと、僕が食べたい料理の夢を叶えたイベントですからね。各ジャンルのトップシェフ、それぞれのお店が予約困難ですから、普通なら一堂に会してコースを提供するなんてありえません。でもだからこそ、実現できたらすごく面白いことになるんじゃないかという発想からスタートしています。

――まさに、他のイベントにはない唯一無二の魅力ですね。

H キャスティングもそうですが、食材やお酒などに妥協をしていないこともこだわりです。ビジネス目線でやっていないと言いますか、「この価格の割には……」という思いは絶対させたくないし、感動していただきたかったので、採算度外視で作りあげています。

――期待をはるかに上回るイベントにしたかったと。

H そうですね。「ザ・ルイガンズ.スパ&リゾート」は福岡の中心部から車で20~30分、電車で1時間ぐらいの場所にあって、美しい景観とキッチンスタッフのクオリティやサービスのホスピタリティも素晴らしいホテルです。ただちょっと離れた場所にあるので、そこに人を呼ぶとなると、より多くの「驚き」を提供したいと思いました。それもあって、料理はもちろんお酒も存分に味わえます。

――乾杯は「ドン ペリニヨン」からスタートですよね。

H ドン ペリニヨンは第1回から提供していますが、ほかにも国内外の多彩な銘酒とのマリアージュを楽しめます。とにかく、この価格では絶対できないことを、さまざまな方の協力を得て今回も実現しました。

――3年ぶりの開催となりますが、その分凝縮した思いを教えてください。

H この2年間、飲食やホテル業界の方々は甚大なダメージを受けてきました。やっぱりそこを応援する意味は大きいです。DREAM DUSKの関係者も2020年と2021年が開催延期となっていますから、労力以上に悔しい思いがあったと思いますし、開催を楽しみにしていたお客様もそうですよね。コロナ禍で大変な苦労をした皆さんで、乗り越えて開催できた喜びを分かち合いたいとも思っています。

――一方で今回がファイナルとなることについても、思いを聞かせてください。

H 「まだまだやってよ」っていう声はたくさんいただくのですが、僕は惜しまれるぐらいのところでやめるのがいいと思うんです。そのほうが、楽しかったねって記憶にも残りますし。続けようと思えばできるんですけど、いったん区切りをつけて、「DREAM DUSKって最高だったよな」って思い出してもらえるようになれたら本望です。

――例えば、会場を変えたり別コンセプトで開催したりする可能性はありますか?

H それはあるかもしれません。例えばすでに、日本の高級旅館で美食体験と宿泊体験を楽しむイベントを、宿泊サイトReluxと組んで「Inspire by Relux」として開催しています。2022年は9月に、群馬の「別邸 仙寿庵」にパリの一つ星「Restaurant PAGES」の手島竜司シェフを招いて開催しますが、こういった派生系のイベントは今後もやっていきたいですね。

今年のDREAM DUSKの参加者たちはこちら

すし処めくみ」山口尚亨氏

「自他ともに認める、食の変態。食材から、その生かし方まで究極を求めるストイックさがすごいんです。そんな山口さんがDREAM DUSKで握ってくれるとは、とても貴重で僕自身ワクワクしています」

宮坂」宮坂展央氏

「宮坂は2021年11月に同じ南青山で移転して、さらにレベルアップしました。彼は京都の三つ星店『未在』出身で、現地の神髄を知る男。東京で表現しているリアルな京都の味を、福岡でも体験させてくれますよ」

Ristorante TOKUYOSHI/Alter Ego(アルテレーゴ)」徳吉洋二氏

「洋二は『世界のベストレストラン50』でナンバーワンになった『オステリア・フランチェスカーナ』でスーシェフを務めた超実力派。独立後も日本人で初めてイタリアにおける一つ星獲得という、そんな男がミラノから来てくれます。イタリアの最先端の味を体験できる、またとないチャンスですね」

ShinoiS(シノワ)」篠原裕幸氏

「ヒロは、唯一彼だけDREAM DUSK2回目なんです。前回は別のお店にいて、その後上海の名店でエグゼクティブシェフを務めて日本に帰国後、“現代における中国料理”をテーマにした『ShinoiS』をオープンしたんですけど、自身の店になったということもあって特別に再登場してもらうことになりました。ちょっと特別な存在です」

La Cime(ラシーム)」高田裕介氏

「裕介は2022年『アジアのベストレストラン50』で6位と、世界を代表するシェフのひとりなんですけど、『ラシーム』が大阪にあるので行ったことがないお客様もいるんじゃないかと。ぜひ今回、彼の素晴らしいフレンチを味わい、大阪のお店にも行っていただけたらと思います」

ドリンクディレクター:「An Di/An Com」大越基裕氏

「コッシーはJALのファーストクラスなどのワインをセレクトしてるソムリエであり、今回の料理との最高のマリアージュを体験させてくれます。加えて今回は地元九州から、福岡・白糸酒造の日本酒と、宮崎・尾鈴山蒸留所のクラフトジンも登場。存分に楽しんでいただきたいですね」

さらに今回は、2017年のDREAM DUSKにパリから来日して参加した、故関根拓シェフへの哀悼の意を表して当時のメニューを再現。担当するのは、パリで開いた「Sola paris」がわずか1年3か月で一つ星を獲得した「Restaurant Sola」(福岡)の吉武広樹シェフ。もう味わえないこのイベントならではの価値と思いを届けてくれる。ファイナルということで、伝説となること間違いなしのDREAM DUSK、足を運んでみては。

◆DREAM DUSK FINAL
7月9日(土)ディナー 150席
7月10日(日)ランチ 定員1,000名、ディナー 150席(SOLD OUT)
ディナー 54,450円(税・サービス料込)、ランチ3,630円~(6/30までの前売価格、税・サービス料込、ドリンク別)
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取材・文:中山秀明
写真:The Luigans