〈食べログ3.5以下のうまい店〉

巷では「おいしい店は食べログ3.5以上」なんて噂がまことしやかに流れているようだが、ちょっと待ったー！ 食べログ3.5以上の店は全体の3%。つまり97%は3.5以下だ。

食べログは口コミを独自の方法で集計して採点されるため、口コミ数が少なかったり、新しくオープンしたお店だったりすると「本当はおいしいのに点数は3.5に満たない」ことが十分あり得るのだ。

点数が上がってしまうと予約が取りにくくなることもあるので、むしろ食通こそ「3.5以下のうまい店」に注目し、今のうちにと楽しんでいるらしい。

そこで、グルメなあの人にお願いして、本当は教えたくない、とっておきの「3.5以下のうまい店」を紹介する本企画。今回は「食いしん坊弁護士」としてテレビ番組のコメンテーターなども務める弁護士の山岸久朗さんがおすすめする天ぷら店を紹介！

教えてくれる人

山岸久朗
弁護士、コメンテーター。ABC朝日放送（月）朝6:45〜8:00「おはよう朝日です」に、毎週レギュラー出演。Yahoo!ニュース公式コメンテーターも務める。趣味は食べること。

住宅街に佇む驚きに満ちた味わいと空間

「食いしん坊弁護士」の異名を持つ山岸久朗さんが魅せられた天ぷら店「天麩羅 くろさわ」があるのは豊中市桜塚。最寄り駅の阪急豊中駅からは徒歩20分。周囲は住宅街が広がり、飲食店が多いエリアではない。

「まさに『え！ こんなところにあるの⁉』と思う場所に開店されたと聞いて、驚きましたよ」と2018年の開店当時を振り返る山岸さん。

「自分一人でお店をするには、静かな場所の方が良かったですから」とその意図を語るのは、店主の黒澤新二さん。日本料理の修業を積み、名門リーガロイヤルホテルの料理長まで務めた正真正銘の職人だ。

「艶やかな空間とアイディア溢れる料理に『ここは北新地!?』と錯覚するほど。価格も大阪市内よりかなりリーズナブルです！」と山岸さんは絶賛する。

食べログ点数は3.07。決して良いとは言えないアクセスが原因なのかもしれない。ただ、わざわざ足を運んで通う客も数多いのも事実。ぜひじっくりと味わってみたい。

※点数は2022年6月時点のものです。

天ぷらだけではない和食の妙技で楽しませてくれるコース

こちらの料理を堪能できるのが、前菜、季節の天麩羅、小鍋料理、ご飯、赤出汁、デザートが付いた夜の「おまかせ天麩羅コース」（9,350円＋サービス料5％）だ。小さなお店で黒澤さん一人で調理しているため、前日までに予約をしておきたい。

「飽きが来ないように、天ぷらだけではなく、そのほかのお料理も楽しんでください」と黒澤さんが最初に出してきたのが前菜。季節により内容は変わるが、この日は左から「オバケ（クジラの尾）の辛子酢味噌かけ」「鹿児島産ウナギの棒寿司」「自家製胡麻豆腐」「ホタルイカ沖漬け」の4品が並んだ。

淡い薄衣をまとった旬の天ぷらの数々

まず登場したのが、初夏限定で提供されるさや付きコーン。若いトウモロコシをさやのまま仕入れ、中身を揚げた一品だ。提供されると同時に、香ばしくフレッシュな夏の香りが広がる。これらの野菜は、黒澤さんがホテル時代から取引のあった農家などから直接仕入れる新鮮なものばかり。

コースで提供される季節の天ぷらはおよそ10品。エビやアユなどの魚介類からアスパラ、レンコンなどの野菜までバランスの良い構成で楽しませてくれる。続いて出てきたのがアワビだ。