4. シンプルかつPOPに昇華させた「スパイスカレー43」
前述、スパイスカレー第4世代のくだりで「固定化されつつあった枠を飛び越えて自由な表現に挑む、本質的なスパイスカレーマインドをもった気鋭店」と書きましたが、次に紹介するのはその一軒。“カレーにせんほうがええのに”をテーマに越境料理を繰り出す「堕天使かっきー」や、和食とカレーの絶妙な落とし所を実現している「はぐ寧」といった奇才とともに肩を並べる「スパイスカレー43」です。
「名物は月替わりの『気まぐれドライカレーと彩りポタージュ』。ごちゃごちゃ盛られがちなスパイスカレーの要素を一切排除し、シンプルかつPOPに昇華させたのがこの逸品です。音楽でも映像でも、マニアックなものを突き詰めてマニアックに提示するよりも、突き詰めた上でわかりやすくキャッチーなPOPさに落とし込むほうが頭を使うし、アイデアとセンスと経験が必要になるんですよね。ここはそれを見事に実現しています」
カレー細胞さんは、この立体的なカレーを“タテ型ミールス(南インド式の定食)”と表現。崩した際に各層が重力により落ちることで味が混ざるという、レイヤー感のあるおいしさを楽しめます。
「ファーストアタックのキーマ、セカンドアタックのポタージュ、サードアタックの混ぜ合わせに、フォースアタックの卵崩し。最初別々に食べるからこそ味わえる、それぞれの個性の掛け算がたまりません。シンプルなカレーなのに4回楽しめるという、見事な“食のデザイン”がここにあります」
カレー細胞さんは以前「4,000軒以上食べ歩いたカレーマニアが絶賛。ポップを装いつつ凝りに凝った本格スパイスカレー!」という記事でも同店をプッシュ。カレーEXPOグランプリ受賞カレーの「瀬戸内レモンスプラッシュ」や「ネパールカレーまぜまぜごはん」に「スパイスわっぱめし」といった個性派メニューも紹介しているので、ぜひこちらも参考に。