目次
激戦続く大阪スパイスカレー界で、独自路線貫く「スパイスカレー43」
大阪を起点とし、今や全国に拡がった「スパイスカレーブーム」。明確な定義はないものの「スパイスを豊富に使用した創作カレー」をスパイスカレーとするならば、その味わいは、実にバラエティ豊か。
今回は激戦続くスパイスカレー発祥地・大阪において、ポップでゆる〜い雰囲気を醸しながらも、こだわり抜いたスパイスカレーが支持される「スパイスカレー43」へと足を運んだ。
同店を強く推すのが、国内外4,000軒以上のカレー店を食べ歩き、カレー文化を発信し続けるカレー細胞(松 宏彰)さん。そんなカレーキュレーターを驚愕させたスパイスカレーとは、いかに?
教えてくれる人
カレー細胞(松 宏彰)
兵庫・神戸生まれ。国内だけでなくインドから東南アジア、アフリカ南端、南米の砂漠まで4,000軒以上を食べ歩き、Web、雑誌、TVなど各メディアでカレー文化を発信し続ける。年2回、カレーにまつわるカルチャーを西武池袋本店に集結させる「東京カレーカルチャー」など、イベントプロデュースも多数。TBS「マツコの知らない世界」ではドライカレーを担当。Japanese Curry Awards選考委員。食べログアカウント:ropefish
店主の世界観が溢れる店構えに、いやが上にも期待は高まる
お店があるのは大阪市民の憩いの場「靱公園(うつぼこうえん)」のすぐ近く。周囲にはカレー店が点在するものの、こちらの店構えはその中でもひときわ異彩を放つ。緑、黄、ピンクといったラスタカラーを彷彿とさせる色彩ながら、地域やジャンルを特定できない多国籍無国籍なムードだ。
「店主のよっさん(店名の由来でもある)との出会いは、別の店で一緒にカレーを食べたこと。その後、イベントでよっさんのカレーを食べて正直ブッたまげました」と出会いを振り返る松さん。
「百花繚乱なる大阪のカレーシーンでは、ディテールや複雑なひねり、ワンプレートの多彩さを競っている傾向を感じますが、この店のカレーはその逆。明確なコンセプトと共にシンプルな驚きを与えてくれるのです」と松さんのこの店への思いは続く。
店を切り盛りするのが「よっさん」こと店主の平野栄秀さんと奥さんのあゆみさん。「何よりよっさんご夫妻の人柄が最高。みんなファンになってしまいますよ!」と松さんも推すだけに、人の良さがにじみ出るような笑顔で出迎えてくれた。
奇想天外にして緻密な計算と研究で生み出されたカレーの数々
「とにかくポップでアイコニックなビジュアルにびっくり! けれど食べるとそれが究極のデザインであることが分かります」と松さんが語る一品が「気まぐれドライカレーと彩りポタージュ」だ。
このメニューは「気まぐれ」とあるだけに、ポタージュ、ライス、ドライカレーという組み合わせを基本に、毎月1回ドライカレーとポタージュの内容が変更される。例えば今回はドライカレーポーク、ラム、合挽肉などへ、またポタージュはカボチャ、抹茶などへ、という具合だ。
食べ方は基本的には自由だが、おすすめな方法としては、まずドライカレーとライスのみで味わい、続いてドライカレーとポタージュと併せて、最後に半熟玉子を割って全てを混ぜ合わせていただく。それぞれの層の味わいを堪能するのが、最もこのカレーの魅力を満喫できる。
カレー細胞(松 宏彰)さん
ドライカレーの力強い味わいを、ポタージュや半熟玉子で変化させる仕掛けに驚きます。シンプルでありながら一度で何度も味変が楽しめますね。ビジュアルも含めて驚かされる、傑作カレーです!
瀬戸内の爽やかな風を感じるカレーEXPOグランプリ受賞カレー
「スパイスカレー43と言えばこのメニュー」と松さんが次におすすめするのが「瀬戸内レモンスプラッシュ」。カレーとレモンという組み合わせに意表を突かれるが、この一品は西日本最大のカレーイベント「カレーEXPO」で2年連続グランプリを受賞したほどの味わい。
「夏にさっぱりしたカレーを食べたい」という妻あゆみさんの思いを聞いた栄秀さんが試行錯誤を繰り返し完成。鶏胸の挽き肉を具材にしたルゥの上に、レモンの皮のみじん切りをトッピング。口に入れるとルゥのスパイシーさとレモンの爽やかな酸味が、まさに口の中で弾けるようだ。
カレー細胞(松 宏彰)さん
初めて食べてぶっ飛びました。品評会受賞の高品質な瀬戸内産レモンを使用するこだわり。肉とスパイスと柑橘がこれだけ絶妙なコラボを生み出すんだ!と驚くはず。