そばも懐石も堪能したいなら、ぜひ懐石料理コースの予約を

コースの最初に出される八寸は見た目も鮮やか。内容は旬のものを中心に仕入れの食材によって変わる

格式高い懐石料理を、そばと一緒にカジュアルに嗜むことができる懐石料理のコースは前日までの要予約だが、とても人気があるそうだ。こちらはひと品ひと品丁寧に仕込んで調理し、食材の持ち味を活かした日本食ならではの豊かな味わいに仕上げている。今回はコースの一つ「花懐石」に出される料理を紹介する。

 

千葉さん

懐石料理は3種類。花懐石6,100円、笹懐石5,000円、ミニ懐石3,900円があります。いずれもその時期にしか味わえない最高の旬の食材を贅沢に使っていて、クオリティ、ボリュームともに大満足! ハードルが高くて料亭に行きづらいという方も、本格的な日本料理を気兼ねなく堪能できるのでオススメですよ!

お椀の蓋を開けると、フワッと立ち上る優しい出汁の香りに心が躍る

この日のお椀は蛤(はまぐり)が主役。蛤のエキスと昆布だしの優しい味の汁に胡椒と木の芽(山椒の葉)をアクセントに添え、香り高い風味を演出している。

季節の花を添えて華やかなイメージに仕上げている

懐石料理には欠かせない造里(つくり)は、魚介の鮮度や脂のりもさることながら盛り付けのセンスも気になるところ。今回の造里は波をイメージした大根の飾り付けがポイント。かつらむきにした大根を巻いて薄く切って作り、幾重にも重ねている。

鮮度の良い魚介(取材日はマグロ、タイ、ぶり、サーモン、イカ)を繊細な手つきで盛り付けている。これぞまさに熟練の職人技
毎年、鮎を楽しみにしている常連客も多く、地元の観光ガイドにもオススメ料理として紹介されている。懐石料理では「季の物」で出すこともある 写真:お店から

豊かな自然が残る厚木は鮎の産地としても有名で、5月中旬〜10月中旬の期間限定で味わうことができる。絶妙な焼き加減で、皮はパリッと身はふっくらとした食感になっている。このおいしさの秘訣は、鮮度の良い生きた状態で仕入れ、生きたまま、焼く直前に串打ちをするから。

〆のそばは原材料からこだわった自信作

そばが〆で出された後、旬のフルーツがコースの最後に出る

そばは栃木の農家から直接仕入れている常陸秋そばというブランド品種のそばを精製して作る。このそばの実は氷温貯蔵しているので水分量が通常より高い16%で保たれるため、喉越しが良くみずみずしい食感のそばになるそう。いつ食べても新そばのように香り高く、風味も強いところが特長だ。

 

千葉さん

店内にはそばの実を引く石臼もあって、挽きたて打ちたてが食べられます! そばは懐石料理以外にも単品やランチセットでも注文ができますよ。

ほかのそば屋ではあまりお目にかかれない、すりたてわさびを賞味することができる

懐石料理のそばや単品のせいろそばには静岡県河津産の根わさびが付く。このすりたての生わさびを食べてみると驚くほど甘みと爽やかさが口に広がる。樽井さんのおすすめは、「そばの上にわさびをのせて、つゆには溶かさないで食べてみてほしい」とのこと。

※鴨せいろとランチセットにはつきません。

 

千葉さん

そばのみずみずしい食感と芳しい香りに、わさびのフルーティー(!?)な味わいと辛味がとても好相性でびっくり! わさびは産地にこだわってそばに合うものを厳選して仕入れているそう。

最後のデザートまで見逃せない名店

厳選した食材と繊細な職人技から生まれる逸品の日本料理と打ち立てのそばを食べに、大御所の芸能人もお忍びで度々訪れていたほどの実力を持つ「十日えびす」。季節ごとに旬の料理を楽しめるとあって、常連が多いのも納得である。ここでは紹介していないが、わらび餅などの手作り和菓子にもこだわっており、飲んだ後に甘味を食べる人も多いのだとか。お得なランチセットも良いけれど、ぜひ懐石料理、そば、一品料理、デザートと一通りを味わってみて欲しい。

※価格は税込

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認ください。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

取材・文・撮影:千葉英里