住宅街に佇む、注目のイタリアパン専門店

パスタにピッツァ。イタリア料理は一般家庭の食卓にも並ぶほど、日本では大人も子どもも大好きな料理。けれどイタリアパンとなると、まだまだ知名度は低い。

2021年秋に誕生した「パニフィーチョ ヴィヴィアーニ」は東京でもめずらしいイタリアパンの専門店。渋谷・神泉の人気イタリアン「オルランド」が手掛けたとあって、毎日でも食べたくなるイタリアパンにハマる人が続出だ。

明るいレモンイエローの看板が目印

京王井の頭線「永福町」駅から徒歩5分。大通りから道を入ってすぐの住宅街の中に店がある。レンガ色のタイルのアプローチに白い壁、木製のドア。ベーカリーというよりレストランのような佇まいだ。

店頭には27種類ほどのパンが並ぶ。ほとんどが定番商品だ

ドアを開けると、フワッと香る焼きたてのパンの匂いに顔がほころぶ。アンティーク風の家具や、床のくすんだ赤色のタイルなど、イタリアの田舎町にあるパン屋さんのような雰囲気。

クラシカルな家具の棚にぎっしり並べられているのは、厨房から焼き上がったばかりのパンの数々。その横には愛らしい形のイタリア菓子も飾られている。

人気イタリアンシェフと名ベーカリー出身の実力派職人との出会い

イタリアパンに取り組むのは、今回が初めてだという布施シェフ

「パニフィーチョ ヴィヴィアーニ」の仕掛け人は、渋谷・神泉の人気イタリアン「オルランド」の小串貴昌シェフ。イタリアに渡り、現地で料理を学んだ後、東京の数々の名イタリア料理店で活躍。独立して渋谷に開いた「オルランド」は、いつもおいしい料理とお酒を楽しむ人たちで賑わいが絶えない。

小串シェフ厳選のパンに合わせたいイタリア食材も販売

以前からイタリアパンの店をオープンし、もっとイタリアの食文化を伝えたいと考えていた小串シェフ。自らがパンを手掛けるには限界があると考えていたところ、出会ったのが布施優希シェフだ。布施さんは、パン業界の巨匠、志賀勝栄シェフの下で修業し、同氏がオーナーを務める「シニフィアン シニフィエ」で活躍していた実力派。二人の出会いから「パニフィーチョ ヴィヴィアーニ」は生まれた。

テーブルの名脇役、シンプルだけど毎日食べたいイタリアパンの魅力

手前が「パーネトスカーノ」。この大きさのまま食卓に置かれ、好きなだけ切り取って食べるのだそう

南北に長いイタリアはその土地ならではの個性豊かなパンがある。共通している魅力は料理をよりおいしく、楽しくしてくれる名脇役であること。例えば、バゲットのようなパン「パーネトスカーノ」には塩が使われていない。このため、濃厚な味の煮込み料理や、塩味が強めの生ハムなどと相性がぴったりと合う。

惣菜パンからスイーツパンまで多彩なバリエーションが楽しめる

「パニフィーチョ ヴィヴィアーニ」では、イタリアの地方にこだわることなく、今、出会えるおいしい素材を生かしたパンを提供している。「フォカッチャ」や「パーネトスカーノ」「コルネッティ」。棚にズラリと並んだパンを見ると、イタリアパンはこんなにもバリエーションが豊富なのかと驚かされる。

ふわふわ生地にクリームたっぷり! 大人も子どもも大好きボンボローニ

「ボンボローニ クレマ」440円(税込)

イタリアの朝の定番と言えば、バールでエスプレッソやカプチーノと共に食べる甘いスイーツパン。代表的なボンボローニは同店の人気ナンバーワンだ。

ボンボローニは小麦や卵、牛乳で作った生地を揚げて、砂糖をまぶし、クリームをたっぷり詰めたイタリア版揚げパン。同店ではイーストを使い、時間をかけてゆっくりと生地を発酵。できあがった生地はフワフワでムチッとしつつ、口当たりが滑らか。しっかり小麦の味わいも感じられる。

「ボンボローニ チョコラート」440円(税込)

「ヴィヴィアーニ」では「ボンボローニ クレマ」と「ボンボローニ チョコラート」の2種類を用意。「クレマ」はカスタードクリームにバニラビーンズで香りを付け、さらに少量のレモンピールをプラス。甘い香りと甘酸っぱいフルーティさがイタリアの爽やかな風を感じさせる。

「チョコラート」はチョコレートクリームに、芳醇な香りのカカオをプラス。甘さ控えめ、コクのあるほろ苦さが大人の味わいだ。

「コルネッティ」320円(税込)

こちらもバール定番のパン、イタリア版クロワッサン「コルネッティ」。「コルネッティ」はフランスのクロワッサンより巻きが少なく、生地の密度が高いのが特徴。バターたっぷりのリッチな味わいのパンに生クリームなどを挟んで食べられている。

同店の「コルネッティ」は、よりフランスのクロワッサンに近い。外側はサクサク、パリパリとし、密度高めの生地はモッチリとした食感で、甘くミルキーなバターがジュワッとにじむ。ほろ苦いエスプレッソと共に楽しんでみたい。