地元を盛り上げるべく登場している新作にも注目!
「おじいさんのアイデアにはなかなかかないませんが、初代、二代目の想いを受け継ぎ、地元を盛り上げられるようなパンを作ろうと、社長・従業員一丸となって奮闘しています」と中塩さん。ロングセラー商品に負けない、近年話題を呼んでいるいくつかのパンを紹介してもらいました。
プルコギバーガーとがんすバーガー
まずは甘辛味噌の牛肉がふわふわパンにマッチした「プルコギバーガー」。ほんのり甘いバンズを使っていて、菓子パンと総菜パンをミックスしたような味が楽しめます。
「呉海自がんすバーガー」は、呉市内の複数の飲食店で食べられるご当地グルメ。魚のすり身にパン粉をつけて揚げた「がんす」と、海上自衛隊呉地方総監部が監修したカレー風味のソース「愚直たれ」を入れるのが決まり。お店ごとに少しずつ内容が違いますが、同店ではチーズやベーコンを一緒に挟み、食べ応えのあるバーガーに仕上げています。
呉氏のコッペパン
そしてこちらは、地元のゆるキャラ「呉氏」とコラボした「呉氏のコッペパン」。パンの中には、見た目に涼しげな水色のバタークリームを挟んでいます。パッケージの裏には「懐かしさ溢れるご当地パンをみんなで楽しんでクレ」という呉氏からのメッセージも載っていて、思わずクスッと笑ってしまう愛らしいパンです。オリジナルのエコバッグと一緒に手土産にしても喜ばれますよ。
孤狼のパン
2022年2月で残念ながら製造中止になっていますが、今でも問い合わせが多いのが映画『孤狼の血 LEVEL2』とコラボした「孤狼のパン」。松坂桃李さん主演のこちらの映画はオール広島ロケで行われ、とくに呉市内で主要なシーンが複数撮影されています。ロケ地マップ片手に“聖地”を巡るファンの姿も見受けられ、地元の酒やお菓子などとのコラボ商品がいくつも誕生しました。
メロンパン本店では「なんもかんもぶっ壊れりゃええんじゃ味」と銘打ち、呉「スグル食品」のイカ天と尾道「川原食品」の昆布佃煮を挟むという斬新すぎるパンを発売。この組み合わせは、2代目が賄いで食べていた昆布をのせたパンに着想を得たのだとか。お客様に喜んでもらいたい、楽しい驚きを届けたいという気持ちが伝わってきます。
まちに生かされてきた店だからこそ、まちの魅力のひとつとして在り続けたい
同店だけでなく、さまざまな店舗や市民団体が一丸となりまちを盛り上げようとしている呉市ですが、その背景には平成30年に起きた西日本豪雨災害があります。甚大な被害に遭った同市は、その後の復興に決して短くはない時間を要しました。やっと日常が戻りつつあったところに新型コロナウイルスが蔓延。再び停滞したムードが漂っていると言います。
「今はどこも賑わいづくりに苦戦していると思いますが、呉市も例外ではありません。穏やかな日常が戻ってきたら、また多くの皆さんに呉へと足を運んでもらいたい。もともと呉は“海軍さんのまち”として知られ、魅力的な観光コンテンツがたくさんある土地です。弊社の店も、そんなまちの魅力のひとつになれたらなと思うんです」
広島県在住の人は、本店のみならず県内各地の百貨店や商業施設でも商品を購入することが可能。県外の人ならば、公式サイトを利用してお取り寄せを楽しむのもおすすめです。誰かの役に立ちたいと一歩ずつ歩みを進めてきたメロンパンの味は、まさに広島人の心を支えるソウルフード。店の志や歴史、そして呉というまちに思いを馳せて、じっくりと味わってみてはいかがでしょうか。