「北陸の回転寿司」と言うと金沢ばかりがクローズアップされているが、いやいやどうして、富山県のレベルも相当に高い。1990年代初頭には「氷見きときと寿し」が当時の全国ナンバー1回転寿司と言われていた時代もあった。そう、富山には全国でもトップクラスの魚種を誇る氷見漁港があり、実力店が集っているのだ。
今回は、きときと(富山弁で「新鮮」という意味)の魚が味わえる、寄り道してでも行きたい富山の回転寿司店を紹介したいと思う。
1. 毎日氷見の魚が10種類近く揃う名店「氷見回転寿司 粋鮨」
毎朝市場に買い付けに行く回転寿司店は数あれど、漁港に買い付けに行く回転寿司店は全国にも数えるほどだろう。「粋鮨」では氷見に揚がった魚を毎日10種類近くも仕入れており、ここまで地元の魚に誇りを持っていることにとにかく感服する。「粋鮨」に来れば富山の旬をすべて満喫できるのだ。
何を頼むか迷ったら「氷見づくし盛り」を召し上がれ。1日20食の限定品だが、氷見の魚を存分に堪能できる一皿だ。氷見牛、のどぐろが入った特上とどちらにしようか真剣に悩む。
富山の寿司文化で欠かせないのが昆布〆の寿司だ。富山では江戸時代より北前船で持ち込んだ北海道の昆布を大量に消費してきたという文化があり、昆布〆は県民食であり、土産物の定番でもある。昆布で〆ることで身が締まり、ほんのりと昆布の味ものってこれぞ富山の味。こちらでは「サスの昆布〆」として広く親しまれている。
氷見の魚も素晴らしいのだが、こちらのまぐろもかなりのものだ。どうしても地元の魚に目が行ってしまうのだが、まぐろへのこだわりをみるとやはりこちらの店の真摯な姿勢がうかがえる。おすすめの五貫盛りをはじめ、セットメニューも豊富に揃い、予算に合わせて氷見の旬を楽しめるのがなんともうれしい。
多種の鮮魚を毎日仕込み続けるのは本当に大変なことで、そのことだけでも頭が下がるが、寿司の味も天下一品。職人たちのプライドを感じる本当に粋な寿司である。氷見を丸ごと堪能できる、わざわざ行くにふさわしい店だ。