全国でもトップレベル! 北海道の回転寿司

北海道の回転寿司が全国でもトップレベルにあるのは疑いようがない。北海道ならではの海の幸を求めて観光客が旅の目的のひとつに挙げるほど人気が高く、東京に進出した店舗も繁盛している。その礎を作ったのが、北海道回転寿司御三家の一角「トリトン」であり、他の回転寿司店がトリトンに追いつけ追い越せと切磋琢磨した結果、全体的なレベルが上がったように思う。

卑弥呼RC 雅
「回転寿し トリトン 豊平店」   出典:卑弥呼RC 雅さん

100円寿司大手チェーンがごく最近まで北海道に進出してこなかったのは地理的な問題ももちろんあるが、地元の回転寿司の人気が高かった、というのも一因ではないだろうか。とにかく価格帯が抑えめで大手チェーンの優位性が霞んでしまうほどなのだ。今回は「トリトン」「根室花まる」「なごやか亭」という御三家が集う札幌市の厳選5店舗を紹介したい。

1. 北海道回転寿司のパイオニア「回転寿し トリトン」

トリトン1号店がオープンしたのは平成元年のこと。御三家の中でいち早く開業し、以来「北海道回転寿司の王様」として不動の人気を築いたパイオニア的存在である。親会社が水産卸業を営んでいるため、仕入れのネットワークが道内随一。こちらから食材を購入している回転寿司企業も多いほどだ。

地場の食材を使った旬の寿司がもちろんおすすめだが、グランドメニューの安さにも注目している。その9割が税抜価格だと300円以下であり、その半数以上が200円以下といううれしい値段設定。以前、他の回転寿司店の社長に話を聞いた時にも「トリトンさんが値上げをしないからうちも上げられない」とこぼしていたのを思い出す。

くるのすけ
「ヤリイカ山わさび」264円(税込)   出典:くるのすけさん

山わさび(ホースラディッシュ)で寿司を食べるのは北海道独特の文化。特にイカとの相性がよく、つんとした辛味がクセになる。ソイやこまい、さめがれいなど道外ではほとんど目にすることができない魚と共に北海道を実感できる一皿である。

「北貝道三種盛り」645円(税込)

活つぶ、活ほっき、活ほたてと北海道を代表する三大人気の貝の共演が楽しめる一皿。貝の鮮度の良さは歯応えで確かめられるが、これは抜群。噛めば噛むほど磯の香りが口腔内いっぱいに広がるのも鮮度が良い証拠だ。

saiworld
「でっかいボタンエビ」715円(税込)   出典:saiworldさん

「でっかいボタンエビ」はトリトンを代表する一皿。このサイズながら味は濃厚で弾けるような身質が素晴らしい。「これが本当のエビのプリプリ感というものか」と改めて思い知らされるほどの味わいだ。

北海道の人気回転寿司店は若さと活気がどこも素晴らしいが、その原点がここにあるのは間違いないだろう。

2. 抜群の演出力で楽しさMAX! 「回転寿司 根室花まる」

根室に1号店がオープンしたのは平成6年と御三家の中では一番遅いが、今やその人気は首都圏でも絶大なものがあり、JR札幌駅にあるステラプレイス店は北海道イチ行列の絶えない回転寿司店として君臨している。その根室花まるで真っ先に思い浮かぶのが北海道らしいお碗の数々だ。

「たら頭の三平汁」198円(税込)

他にも「かじか汁」「さんまのつみれ汁」に「花咲がにの鉄砲汁」など凝ったお碗が多数揃っている。なんでも社長の幼少期、味噌汁の具になる魚を家族のために毎朝釣っていたとのことで、味噌汁に特別な思い入れがあると聞いた。これだけのお碗を揃えている回転寿司店は全国にも数えるほど。具沢山でがっつりとした食べ応えがあり、しかもこの価格設定は花まるの大きな魅力のひとつだ。

二階建て生ほたて462円(税込)
二階建て生ほたて462円(税込)   写真:お店から

最近話題の「二階建て」シリーズは商標登録を取ったオリジナルの寿司。寿司ダネを2枚重ねた寿司はなんと普通の寿司と変わらぬ価格というのが驚き。もともとは魚が売れなくなり漁業支援の一環として始まった企画だが、根室花まるらしいインパクトのある寿司になった。口からはみ出る寿司を驚きながら頬張るお客さんを見ていると、こういう楽しさも回転寿司ならではだなとうれしくなる。

「紅鮭筋子の醤油漬け」352円(税込)
「紅鮭筋子の醤油漬け」352円(税込)   写真:お店から

根室花まるにはタッチパネルがないのだが、こんな素敵な寿司ばかり回っているのだから、ついついレーンに手が伸びてしまう。タッチパネルとにらめっこしているより、レーンに流れる寿司を食い入るように見ながらどれにしようかと悩む方がどれだけ楽しいか。

そんな回転寿司の原点を思い出させてくれる根室花まるの演出力は本当に素晴らしい。コロナが収束すればまたレーン一杯に楽しげな寿司が流れる光景が見られることだろう。元気がありすぎるくらいの活気が一日も早く戻ることを切に願う。

3. 活気もおいしさ! パフォーマンスも抜群!「なごやか亭」

1号店が釧路にオープンしたのが平成3年のこと。広々とした空間づくりと様々なパフォーマンスがなごやか亭の持ち味である。寿司のバラエティ感では御三家随一。「この寿司がここで食べられるんだ!」と驚いたことが何度もあるくらい全国の人気店を研究しており、その熱心さには敬服する。

「自家製こぼれいくら」748円(税込)

なごやか亭の代名詞とも言えるのが「こぼれいくら」。注文が入ると希望者には太鼓が打ち鳴らされ、職人さんの掛け声と共にどんどんといくらが盛られていくという演出が人気だ。コロナ禍ではこういったパフォーマンスもままならないが、回転寿司では活気もおいしさの一因なんだなと気づかされる。

94yuri
「翼乃鯖」506円(税込)   出典:94yuriさん

「翼乃鯖(つばさのさば)」は鹿児島の専用契約漁場で「なごやか亭」のためだけに育成されたオリジナルのブランド鯖。九州にはブランド鯖がいくつもあるが、専用というのはこれだけだろう。脂がのった生さばは大人気の商品で、じゅわっと浮き出てくる脂となめらかな味わいがたまらない。

北海道御三家はどこも明るく元気で楽しさに満ちており、サービスも満点。王道のトリトンか、商品演出力の根室花まるか、パフォーマンスのなごやか亭か、道民の皆さんは頭を悩ませていることだろう。最近「スシロー」「くら寿司」も初進出してきたが、この価格設定と商品力は大手チェーンにとっても脅威であると思う。