和食の名店「太月」出身の若き料理人が東麻布に「御料理 辻」をオープン

期待の新店、その3ヶ月後とは……?

麻布十番駅から徒歩3分、新しいマンションの地下にひっそりと佇む「御料理 辻」。2017年6月24日のオープンから3ヶ月、新たな感動体験を求める美食家が絶えない、期待の新店だ。

お店へと続く細く長い階段は、地下に潜るという暗いイメージはなく、明るい未知の世界へ進んでいくような、高揚感と期待が込み上げてくる。

辻 劇場、幕開け

玄関の戸を引けば、そこには洗練された風情ある空間が広がり、右側には凛とした6席のカウンターが目に留まる。

優しい穏やかな笑顔で出迎えてくれるのがご主人の辻さん。名だたる和食の有名店で修行を積み、表参道にある割烹の名店「太月」で3年間の経験を終え、34歳になる今年、満を持して独立を果たした。

女将であり板前でもある奥様は、このお店のオープン前に接客業を学ぶために、言わずと知れた日本料理の名店「松川」で、約2年間働かれていたそう。このふっくらとした大きなおしぼりや、さりげなくも心地の良いおもてなしは、そこから来ているのだろう。

四季の情景を映し出すコース料理

出典:サプレマシーさん

現在は「夜のお任せのコース料理 15,000円(税・サ 別)」のみで、ランチは前日までの予約が必要。伝統に忠実でありつつ、その中に新しさも感じられる多彩なメニューがいただける。

手前から、揚げ銀杏、〆秋刀魚を藁で燻したもの、むかごの白和え、海老の旨煮、石川小芋に柿ピーを纏わせた揚げ物、イチジクの田楽、長芋のそうめん。

 

名物は、四季の食材をふんだんに使った「八寸」。手間暇かけて創られた美しい一つ一つのお料理の盛り合わせは、その季節の情景を一皿に映し出したかのよう。目も心も奪われるほどの鮮やかさと美味しさだ。

蒸し物の真っ白な「甘鯛の蓮蒸し   松茸あんかけ」は、実山椒とマツタケも入った贅沢な一皿。ブータン産の松茸は裂くことで、より芳醇な香りが引き立つのだそう。太月仕込みの澄み切った味わい深い出汁とも絶妙にマッチしている。

出典:サプレマシーさん

 

お食事は、その日一押しの食材を土鍋で丁寧に炊き上げたもの。あまりの美味しさに思わずお代わりしたくなるが、男性でもお腹がいっぱいになる程のボリューム満点のコースなので、おむすびにしてお持ち帰りすることも可能。

出典:サプレマシーさん

 

最後に女性に嬉しい、上品な優しい甘さのデザートが出て、大満足のフルコースが終了。

緑豊かな開放感のある空間で大切な人と

カウンター席の他に、4人席と6人席の個室を完備。緑豊かな美しい庭園が見える、開放的な空間となっている。

風情ある6人部屋の個室は、接待やお祝い事など、ゆっくりとくつろぎながら悠久のときを過ごすにはぴったりのお部屋。

ご主人が生けたお花も、美食体験の一役として花を添える。

アイデアをカタチにしていきたい

「オープンして3ヶ月はまだ手探り状態で、日々試行錯誤の連続です。だからこそお客様と会話をして、味やボリュームなど率直なフィードバックをいただきながら、それをどんどんブラッシュアップして進化していきたい」という辻さん。

 

同年代の若い料理人が出す新しいお店と比較するのではなく、あくまでも直向きに、お客様と料理に向き合う姿勢が感じられる。

「今、色んなアイデアがどんどん浮かんでくるんですね。でもそれをカタチにするにはまず、一人でも多くのお客様に一度足を運んで料理を味わっていただきたい。そこからがこのお店のスタートだと思っています」。そう和やかかつ冷静に語る辻さんの眼は、しっかりと将来を見据えた、好奇心と情熱に満ち溢れている。

今後の進化が益々楽しみな「御料理 辻」。旬の食材を活かした日本料理を食べに、足を運んでみてはいかがだろうか。