駅から徒歩30秒で中国へトリップ!
代々木公園と代々木八幡、どちらの駅からも徒歩30秒という絶好の場所。オープンは9月28日なのにすでに連日賑わいを見せるお店があります。
「宝味八萬(ほうみはちまん)」という何だか縁起の良さそうな店名ですが、仕掛け人が神田「味坊」、御徒町「羊香味坊」、三軒茶屋「香辣里」など人気店を続々と誕生させた“味坊集団”のオーナー、梁 宝璋さんと聞けばこれだけ大入りなのも納得です。
こだわりは「中国を感じて欲しい。旅行に来たかのように本場の雰囲気を味わってほしい」。かつて画家だった梁さん、テーブルも壁も内装はほぼ手作り。中国から素材を持って帰り自分たちで店作りをしています。
お店に入ってまず目に入るのは、忙しく点心を作る光景。そのまま奥へ進むと、厨房では中国語が飛び交い、積み重なった蒸篭からはもうもうと湯気が立ち、鍋を振る音や人の声、流れるのは中国放送と、店内は様々な音で活気に満ち溢れ、まるで中国のフードコートにいるような錯覚に陥ります。
梁さんは故郷である中国の東北地方・黒龍江省の料理や、まだ日本に知られていない中国料理の魅力を、それぞれのお店に「鉄鍋」や「発酵」といった個性を持たせて伝えてきました。どちらかといえばディープな中国料理といった印象のお店で、中国料理マニアや羊肉好きからは大絶賛されています。
それなのに7店舗目となる「宝味八萬」は点心を中心とした広東料理のお店。ちょっと意外……ですが、点心はお馴染みの「小籠包」や「大根餅」から「春菊餃」のような変化球までと幅広く、「味坊」らしい「ラムのスペアリブ」や「揚げ鶏足のピリ辛蒸し」などの珍しいメニューのラインアップも。やはり一筋縄ではいかないのが味坊集団のお店です。
作れるものは自分たちで作る! このこだわりが“おいしい”につながる
味坊集団のお店はそれぞれにコンセプトがありますが、こちらは点心の魅力を伝えることがミッション。だから冷凍ものや前日に作ったものは絶対に使いません。その日に点心師が手作りし、オーダーが入ったら調理します。
おいしさの秘密はそれだけではありません。自社で工場を持ち、埼玉と茨城に農園を作り、作れるものは全部自分たちで作るという姿勢を貫いているのです。野菜は無農薬、梁さんとスタッフが朝から収穫して工場に送り、それを味坊集団全店に配達しています。味の要となる加工品や発酵商品も工場で作っており、可能な限り添加物を入れず“シンプルでおいしい”を追求しているのです。
そのようにして出来上がった点心のクオリティは言わずもがな。口いっぱいに春菊の香りが広がる「春菊餃」には椎茸と春雨が味に深みを出し、定番の海老餃子はシャッキシャキの刻みタケノコで格上げしています。「海鮮焼売」は海鮮だけでなく肉もたっぷり入っているので満足度120%。どれも食材のレベルが高く、何もつけなくても十分!