点心だけじゃない。さすが味坊集団と唸る多彩な料理
腸粉は、米粉を溶いてデンプンなどを加えて蒸したもので、このトゥルンとした舌触りで人気の料理ですが、こちらの腸粉は格別! 聞けば中国から取り寄せた腸粉の専用機械を使っているとのこと。蒸気が均等に出て、内側から外側に向かって空気が流れるのでこの食感が生まれるそうです。口内でトゥルントゥルンの皮の中からプリップリの海老が飛び出てピリッと辛さのあるタレが絡む、これはたまりません!
羊のおいしさを私たちに教えてくれた「味坊」ならではの「焼羊排(ラムのスペアリブ)」、添えてあるソースが秀逸なのです。どうやって作るかは企業秘密だそうですが、醤油、発酵豆腐などが入っているそう。甘じょっぱくて少しとろみのあるテクスチャーで、ネギにつけてみるとそれだけでもれっきとした一品料理に。これを白飯にのせてもおいしそう!
良い感じで焦げ目がついたラムは、外側はカリッとパリッと、肉はしっとりジューシー、クミンなど数種類のスパイスを振りかけて味よし、香りよしのスペアリブです。焼物は他に窯焼きの豚バラブロックやアヒル、チャーシューなどもあり、どれもお店の窯で焼いています。タイミングが良ければ焼きたてがいただけます!
そして、自家製の細麺を炒めて別添えのネギと生姜を混ぜて食べる「豉油皇炒麺」がおいしすぎました! 味付けは自家製ソースのみのいたってシンプルな料理ですが、なぜか箸が止まりません。これをただの焼きそばと侮るなかれ、只者ではありません!
根底に実力があるから型にとらわれずに自由に楽しめる!
なぜ点心のお店を作ろうと思ったのかと梁さんに伺うと、点心師の何 偉昌さんと出会ったからだと言います。広州市出身の何さんは代々木「CHINA GRILL XENLON」で19年点心師として、「亜細亜食品 点心工場」では5年間工場長としてキャリアを積んだ、この道25年の大ベテラン。1年ほど前に何さんと出会った梁さんは、その熟練の技に惚れ込み点心の店を作ろうと思ったそう。絶対の信頼があるから、メニューの考案は何さんにおまかせ。お店に出すかどうかは「おいしいか、おいしくないか、ただそれだけ」と梁さんは言います。
「味坊」が提案し、すっかり定着した中華×自然派ワイン。酸味のある爽やかなものや、焼物にぴったりの渋めの赤などリーズナブルで気軽に楽しめるワインが揃います。他にも「宝味八萬特製晩柑サワー」「羊香トマトハイ」などのオリジナルドリンクもオススメ!
「本場の雰囲気の中で本場の味を踏襲しながらも、既成概念にとらわれない自由さを持ち合わせた点心を楽しんでもらいたい」と梁さん。今後は定番だけでなくオリジナル点心も充実させていくそう。
広東では焼物が先でその後に点心という順に食べるそうですが、キュウリやキクラゲ、干し豆腐などの冷菜をつまみにワインを飲みながら、これから食べるものを決めるのも楽しい。テイクアウトも充実しているので、オーダーできなかった料理をお土産にしたり、おうちで点心パーティーをしたり。そんな様々な楽しさがこのお店にはあふれています。