毎年、人気のレビュアーを決定する「Tabelog Reviewer Award」。受賞したレビュアーの方たちは、たくさんの飲食店を訪れ、その体験を投稿しています。そんなレビュアーの方たちが、過去に訪れた中からそれぞれの視点で選んだ料理やお店をご紹介。

レビュアーが厳選! 日々を彩る料理

“ハレとケ”という言葉をご存じですか? “ハレ”とはお祝いや結婚式、記念日など正式・特別であること、“ケ”とは正式ではない・日常的なことを指します。今回は“ハレの日”に行きたいお店と日常使いの“ケの日”に行きたいお店について「Tabelog Reviewer Award」受賞の「ガレットブルトンヌ」さんに聞いてみました。

Q1. “ハレの日”に行きたいお店はどこですか?

A1. 1軒目:「レ セゾン」です

ミトミえもん
黒トリュフのパイ包み焼き   出典:ミトミえもんさん

人生の思い出となるかなり長い話になるので、かいつまんで書きます。こちらのシェフ、ティエリー・ヴォワザン氏との顛末が感動的なものだったのです。今から25年ほど前、フランスはランスにある三つ星(当時)レストラン「レ クレイエール」で、私はウェディングパーティーを催しました。それから15年ほど経ったときのこと。友人たちとの会食で「レ セゾン」を訪れたとき、友人たちに見せるために結婚式の写真を持っていきました。それを見たメートルが「そこに写っているのはうちのシェフですよ」と言って、その写真をキッチンに持って行ったのです。そのとき、ティエリーがこちらにいるとはまったく知りませんでした。ティエリーも驚き「え、あのときの人が今ここにいるの?」と言って、席まで飛んできてくれました。劇的な再会でした。その後にまた食事に行った際、ティエリーは、私が当時送った写真を大事に持っていて見せてくれました。彼の人間性が表れる出来事でした。

「黒トリュフのパイ包み焼き」は、ティエリーの師匠であり、「レ クレイエール」のシェフだったジェラール・ボワイエ氏のスペシャリテで、ティエリーに受け継がれています。贅沢に丸ごと黒トリュフが使用された逸品で、トリュフは香りだけではないと実感します。

   

A1. 2軒目:「肉屋 田中」です

ガレットブルトンヌ
長期肥育の特産松阪牛   出典:ガレットブルトンヌさん

特産松阪牛の仕入れでは、こちらに勝るところはないと思います。肉への愛情あふれるオーナーシェフ、BOSSこと田中さん。自ら選んだ肉質には、100%の自信を持ち、最高の火入れで供してくれます。食事の前にプレゼンテーションされる巨大な肉の塊に、いやが上にも食欲が高まり、毎回期待以上のパフォーマンス。BOSSの優しい人間性も通いたくなる理由のひとつです。

Q2. “ケの日”に(気の置けない人や一人で)行きたいお店はどこですか?

A2. 「ビストロ バー ア ヴァン コダマ」です

Tokyo Rocks
根セロリのババロワ   出典:Tokyo Rocksさん

まさにパリのビストロをそのまま持ってきたかのような雰囲気とメニュー構成。ワンオペのシェフですが、アラカルトメニューのアイテムも多く、しかも、どれもとても美味。かなりの実力です。一人でふらりと寄るもよし、気の合った友人とワインを楽しみながら、料理をシェアするのもよし。CP抜群のランチは、内緒にしておきたいほど。

Q3. 1年以内に行った中で印象に残ったお店を教えてください 

A3. 1軒目:「レストラン ナズ」です

ガレットブルトンヌ
ダボス牧場産短角和牛の10か月熟成ささみ   出典:ガレットブルトンヌさん

弱冠26歳の鈴木夏暉シェフは、幼いころ学校から帰ると、ゲームなどには見向きもせず近くの川へ行って鮒を釣り、それを捌いていたというほどの料理好き。「noma」「kadeau」などで研修をしましたが「人と同じはダメ」というポリシーで、師匠もなくまったくのオリジナリティを築きあげています。発酵と熟成にこだわり抜き、その試作たるや半端ない量。確かに、唯一無二の世界を作り出しています。2度目にお邪魔したとき「この日のために用意しておきました」と言って出してくれた、10か月熟成の短角和牛のささみは、長年食べてきた経験の中でもありえない技を用いた料理でした。しかも、極小の部位を私のために用意しておいてくれたというそのホスピタリティに感動です。この若さで、この技とサービスのクオリティ。この先が楽しみで、仕方ありません。

A3. 2軒目:「パトゥ」です

ガレットブルトンヌ
桃とセロリの冷たいスープ   出典:ガレットブルトンヌさん

名店「コートドール」で長く修行した山口義照シェフは、「コートドール」のDNAを継承しながらもそこに自らの工夫を加え、かつきっちりとクラシックフレンチに着地させています。「桃とセロリの冷たいスープ」は、いただいた瞬間に目からうろこでした。まず、桃とセロリというマリアージュの妙。さらに、あとからいろいろ聞くとものすごく繊細な温度管理をされていて、その果てにこの一皿ができていることに感心。一皿のスープにここまで感動したのは珍しいです。お人柄も謙虚で、実直。長くお付き合いしたいフレンチです。    

※アンケート内容と「食べログ」に掲載されている情報をもとに、料理名・金額を掲載しています。最新の情報はお店にご確認ください。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※新型コロナウイルス感染拡大を受けて、一部地域で飲食店に営業自粛・時間短縮要請がでています。各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いします。

文:ガレットブルトンヌさん・食べログマガジン編集部