焼く、煮る、揚げる、多彩な調理法を駆使してマッシュルームが千変万化

「マッシュルームのカルパッチョ」。モデナ産ホワイトバルサミコ酢のソースでいただく
「本日の前菜とスープ」。ローストマッシュルームの土台は、クミンが香る松の実のペースト
「マッシュルームと季節野菜のアヒージョ」。絶妙な火入れで素材それぞれの個性が際立つ

旨味が強くとも味は淡白なマッシュルーム。合わせる食材や調味料によって表情を豊かに変えます。例えば、ホワイトバルサミコ酢の穏やかな酸味、エダムチーズのコクをプラスしたカルパッチョは白身魚のように上品。香ばしくローストし、北アフリカ風のスパイスオイルをかけた前菜は、エキゾチックで刺激的です。また、ニンニクと塩だけのシンプルなアヒージョの場合は、スペイン産エクストラバージンオリーブオイルにマッシュルームの香りと旨味が染み渡り、野菜の引き立て役も担っています。

「ジャンボマッシュルームの肉詰め」。複雑な食感と一体感のある味わいが両立している

用途が多岐にわたるマッシュルーム。その最たる例が肉詰めです。乾燥マッシュルームで出汁を取るだけでなく、甘酢あんの具材にも小さなマッシュルームを使用。挽き肉にも挽きマッシュルームをブレンドし、ジャンボマッシュルームに詰め込んでいます。ここまで多用してもクドさはまるでありません。切り方や火入れ加減により食感も変わるため、どの料理も新鮮な気持ちで楽しめます。

「ジャンボマッシュルームのカツ 生ヨーグルトのソースで」。クミンとニンニクが優しく香る

カリッとした薄い衣に包まれたカツ。ナイフを入れると肉汁のようにたっぷりのエキスがあふれ出します。柔らかくも心地よい弾力があり、食べごたえは満点。生ヨーグルトのマイルドな酸味はアクセントにぴったりで、腸内にいる善玉菌たちまで喜びそう。これがメインディッシュなのかと思いきや、さらにダイナミックな料理が登場しました。

「GIGAマッシュステーキ」。ここまで大きなものは1万個に1個の割合しか育たないという

直径15cmオーバーという巨大なマッシュルームを、丸ごとオーブンで焼いたステーキです。笠の黒い部分に溜まっているのは、すべて素材から出た水分。コンソメスープのように上質で濃厚な味を湛えています。肉厚の身はジューシーで、まるでアワビのような歯ごたえ。オリーブオイルと塩で軽く味付けしただけとは思えないほど、印象に強く残る味わいでした。