緊急事態宣言発令に伴う営業時間短縮の要請を受け、テイクアウトに注力する店が急増している。そこで、フードライター・森脇慶子が「お店さながらのクオリティの高さに注目!」と舌を巻く、テイクアウト特化編をお届け。今回は、焼肉界のレジェンド的名店「スタミナ苑」の特製「魯肉飯」をご堪能あれ。
【森脇慶子のココに注目 テイクアウト特化編】「スタミナ苑」の魯肉飯
台湾の伝統食のひとつ「魯肉飯」。現地の食堂や屋台には必ずあると言っても過言ではないほど愛されている、いわば台湾のソウルフードだ。甘辛味に煮込んだそぼろ状の肉を白飯にかけて食べるそのスタイルは、日本の丼ものと同様に思われがちだが、台湾では、普通の飯碗ぐらいのサイズが一般的で、単独で食べるものではなく、複数のお惣菜と一緒に定食スタイルで食べるのが常套だそうだ。
「台湾の人は、みんな(魯肉飯が)大好き。家でも作りますよ。各家庭にそれぞれの味があって、微妙に味が違うんです」。こう語るのは、台湾・台北生まれの戴三妹(タイサンメイ)さん。「The Tabelog Award」「食べログ 焼肉 TOKYO 百名店」受賞・選出店としてもお馴染み、あの焼肉界のレジェンド、足立区・鹿浜「スタミナ苑」のご主人、豊島久博さんの奥様だ。
その戴さん手作りの魯肉飯が、店内のみならず、なんとテイクアウトメニューとしても登場したらしい!? そんな噂を耳にして来店してみれば、早速発見! 壁に貼られた「魯肉飯」のポスター。
戴さん手作りの料理は、これまでも、春のタケノコ、夏の冬瓜などの旬の野菜を使ったスープや煮卵、杏仁豆腐などが、珠玉の焼肉メニューの箸休め的存在?として店内メニューのラインアップにされてきた。いずれも隠れたファンも多い人気メニューだけに、この魯肉飯にも期待大。しかも、魯肉飯自体が、最近巷でジワジワと人気上昇中とあれば、注目度が高まるのも当然だろう。
魯肉飯といえば、通常は豚バラ肉で作ることが多いが、戴さんは、そこに豚肩ロースの挽き肉をプラス。その一方で、豚バラ肉は手切りにしてやや粗挽き感を出し、肉を噛み締める食感を楽しめるようにとひと工夫。定番の甘辛味のベースは、精製された上白糖ではなく三温糖と台湾醤油を使用。そこに濃厚でとろみのある台湾のたまり醤油を少し加えて、コクと味の深みを補っている。
ちなみにご飯は付かず、タッパーに入った肉そぼろと香菜、たくあんがセットで700円。これに煮卵をつけるとプラス100円となる。食べる際には、電子レンジなどで温めて。熱が入ると、豚肉の脂が溶けて表面に浮いてくる。その予想外の多さに、一瞬たじろぐかもしれないが、見た目ほどは脂っこくないのでご安心あれ。むしろ、甘辛味は、比較的あっさりとしていて他所でいただくそれよりも食後感は重くない。
スパイスには五香粉を使っているそうだが、豚肉の歯応えや旨味とのバランスが良いのだろう。スパイシー感も程よく、ほのかに鼻腔を抜ける五香粉の風味が食欲を優しく刺激する。なるほどこの味なら、副菜と一緒に食べるというのも頷けよう。ご飯にのっていない分、自分で好きな量をトッピングできる自由さも重宝では?
ご飯のほかにも、うどんや素麺とあえてもおいしそう。また、オムライスやカレー、ラーメンにトッピングするなど、アイデア次第で如何様にもアレンジできそうだ。冷蔵庫に入れておけば、2、3日は保存が可能。そのまま冷凍してもいいだろう。
※価格はすべて税込