【3軒め】「ピュイサンス」
食べログマガジン編集部
そして前編最後は「ピュイサンス」! 甘党の間では超有名店ですよね! こんな住宅街にあるお店だったんですね。
猫井先生
こちらは一言で言えば、フランス伝統菓子のお店ですね。オーナーシェフの井上佳哉さんは「メゾン・ド・プティ・フール」で修行をされ、渡仏。フランスではローヌ、ノルマンディー、バスクで修行を重ねられ、帰国後、「オーボンヴュータン 尾山台店」で修行。2001年に「ピュイサンス」を開店。2012年に現在の場所へ移転されました。
食べログマガジン編集部
オーボンヴュータン! フランス菓子の巨匠、河田シェフのお店ですね! ところで、店名のピュイサンスってどういう意味なんですか?
猫井先生
フランス語で「力」という意味ですね。名前の通り本場フランスのように生菓子も、焼き菓子も、力強い味わいですよ。お店に入ると正面に生菓子、その右側には伝統的な焼き菓子が数多く並びます。さらにその右にはチョコレートもあります。
食べログマガジン編集部
確かにこちらのケーキはガツンと濃いイメージがあります。猫井先生が特に好きなのはどのケーキですか?
猫井先生
全部です!! 中でもピスタチオ系が最高です。
食べログマガジン編集部
ではせっかくなのでピスタチオ系縛りでおすすめを教えてください!
猫井先生
では、同じピスタチオ系で食べ比べをしてみましょう。「カノ」と「ムッシュ トヨダ」の2種類でいきましょうか。
食べログマガジン編集部
「カノ」は丸くてお洒落なビジュアルですね。中身はどうなっているのでしょう?
猫井先生
ピスタチオとグリオット(さくらんぼ)のタルトを土台に、苺ムースで包んだピスタチオのブリュレがのせられています。しっかりと焼き込まれ、生地本来の味わいが楽しめるタルトを土台にしながらも、ピスタチオをブリュレに、つまり生クリームや卵を加えることで丸みのある味わいにし、さらに優しい味わいの苺のムースで包むことで全体的に柔和で女性的な雰囲気に仕上げられています。
食べログマガジン編集部
さくらんぼに苺とは、これからの季節にピッタリのケーキですね。「ムッシュ トヨダ」についても知りたいです!
猫井先生
「ムッシュ トヨダ」は、ピスタチオのダコワーズの土台に濃厚なピスタチオムースの組み合わせで、ピスタチオの味わいがガッツリと感じられる男性的な作品です。濃いピスタチオの味わいだけだと単調でしつこい味わいになるので、グロゼイユ(赤スグリ)で酸味を利かせるとともに、ミルクチョコレートのムースを合わせ、またザクザクとしたフィヤンティーヌで食感にもアクセントを与えた、まさに計算しつくされた逸品と言えるでしょう。
食べログマガジン編集部
同じピスタチオのケーキでも、女性的、男性的な味わいのものを作り分けられているということですね。確かに名前も色合いもそうなっていますね。
猫井先生
デコレーションもルール通りになされていて、「カノ」には苺がのせられ、このケーキには苺が使われていますよ! と。「ムッシュ トヨダ」の方も、テントウムシをモチーフにしたホワイトチョコとグロゼイユで、それらが素材として使われていることが示されています。
食べログマガジン編集部
味わいだけでなく、デコレーションにも意味合いが! フランス菓子の奥深さを垣間見た気がします。
※価格はすべて税込