2. 手を掛けた江戸前寿司を良心的な価格で味わう「鮨 まつうら」(白金)

清楚なカウンターに凛と立つ若き大将の松浦修さんは、魚屋から寿司職人の道へと転身した経歴を持ちます。

大衆寿司店で基礎を積み、「鮨 銀座 おのでら」では海外の新店立ち上げを任され、帰国後は表参道の「鮨 ます田」や恵比寿の「鮨 来主」などを経て独立。酢飯は、山形のこしひかりとあきたこまちを調合し、数種類をブレンドした赤酢と塩のみで味を調えています。

天草のコハダ 撮影:外山温子

柚子を忍ばせた塩で味わう穴子をはじめ、一晩漬け汁に浸したホタテ、ペースト状にしたあん肝巻きなど職人技が光り、庶民派と高級店のイイトコドリができる一軒。

大木「コース2万円超が当たり前の時代にあって、税抜1万5千円で高級店と全く遜色のないクオリティと、高いホスピタリティ。あん肝巻きと貴醸酒のペアリングは忘れ難いおいしさです。通いたくなること必至の寿司店と言えるでしょう」

すっきりして清潔感のある店内 撮影:外山温子

3. オーナー兄弟がもてなすカジュアルイタリアン「オステリア トレ パッツィ」(西荻窪)

西荻窪という町の空気を反映した、地元密着型のオステリア(居酒屋)。吉祥寺の人気店「ビストロハッチ」と「トラットリアチッチョ」で腕を磨いたシェフの兄・松原達志さんと、ソムリエでありサーバーの弟・松原憲作さんが阿吽の呼吸で店を切り盛りします。

「牛タンのカツレツ〜サルサヴェルデ」 撮影:佐藤潮

スペシャリテのパルミジャーノチーズを隠し味にした「トンナレッリ カチョ・エ・ペペ」や約7時間煮込んでから揚げる「牛タンのカツレツ〜サルサヴェルデ」など、オリジナリティあふれる料理はアラカルトのみで構成。ワインバーのような利用もOKという懐の深さもうれしい限り。

兄・松原達志さん(写真左)、弟・松原憲作さん(写真右) 撮影:佐藤潮

大木「シェフの兄とサービスの弟、松原兄弟のコンビネーションが抜群のイタリアンです。肩ひじ張らず、客の誰もが笑顔になる。味、サービス、設え、その3つのハーモニーが素晴らしい、レストランの原点ともいえる楽しさが溢れるお店ですね」