大規模な再開発にともない、しばらくこの地を離れていた大人たちから再びの注目を集める街・渋谷。だけど、いざ来てみたら食事処に迷ってしまうというケースもしばしば。そんな、“シブヤお久しぶり組”の迷える大人たちのため、「食べログ グルメ著名人」で渋谷区初のCEO(Chief Eat Officer)を務める小宮山雄飛さんに渋谷の新&定番グルメスポットを両方教えてもらっちゃおう! というこの連載。

[新]編11回目となる今回は、讃岐うどんの新店「うどん酒場 萬斎」をご案内します。

【大人の渋谷メシ・新編】第11回「うどん酒場 萬斎」

渋谷に新たな業態のお店が誕生したと聞いたので行ってきました。その名もずばり「うどん酒場 萬斎」。あえて「酒場」と名乗るところにポリシーを感じます。

場所は、道玄坂を上がったところにある、かつて渋谷の中心街だったエリア・百軒店(ひゃっけんだな)。1階のDJバーを通り抜けて2階がお店というのも実に渋谷らしい。

バーを抜け、奥の階段を登ると、そこには見事なまでに和風の空間が。これぞ隠れ家!

最近よくある、いかにも下町居酒屋風を装ったような雰囲気はなく、昔からの小料理屋さんのような落ち着ける空間になっています。

酒場というだけあって、日本酒の品揃えも豊富。燗酒のおすすめが多いのも個人的に好感を持てます。

カウンターには、おいしそうなその日のおばんざいが並びます。

「このご時世なので、売れ残って余らないように種類は減らしているんです」とのことで、状況次第でおばんざいの種類はさらに増える予定。

「素揚げレンコンの梅水晶和え」580円と「なす揚げ浸しなめこのせ」780円

そんなおばんざいの中から、「素揚げレンコンの梅水晶和え」と「なす揚げ浸しなめこのせ」をいただきます。素揚げレンコンの梅水晶和えは、サクっと歯応えの良い蓮根が梅の酸味と合って、これは日本酒がすすむ味。

そして茄子!

見てください、まるで料理本の中から飛び出してきたような、この照りと瑞々しさ!

大きめの茄子にかぶりつくと、中からコクのある旨味たっぷりの汁がじゅわっと出てきて、これは単なるオツマミというより和食の一品料理といった感じ。ますますうどんへの期待感が上がってきます。

ということで、メインのうどんへ。

「とり天うどん」950円

まずはシンプルな「とり天うどん」。本場香川の小豆島から直送しているという麺は、ほど良いコシで汁とよく絡みます。そしてなんといっても、その汁が絶品。

こちらも小豆島から直送しているそうですが、さらに東京の人の口に合うようにと、お店でもだしを取り、小豆島のだしと合わせているのだとか。なるほど、だからすっきりしているけど、実に奥深い旨味を感じるんですね。

「ネバネバうどん」900円

さらに呑んだ後の〆にもよさそうな「ネバネバうどん」。とろろ昆布・納豆・おくら・なめこ・わかめと、ヘルシーな具材で優しい味。

そしてやっぱり、黄金色の汁が絶品なのです。うどん酒場というだけあって、飲兵衛の胃袋にも優しい気遣いなのかも!

「かま玉カルボナーラうどん」900円

がっつりいきたい人には「かま玉カルボナーラうどん」もおすすめ。卵黄・ベーコン・揚げ玉・粉チーズ・青ネギに黒胡椒がアクセント。

がっつりと混ぜて。

はい、絶対うまいやつ! おいしいお酒とおばんざいを楽しんで、〆に本格うどん。めちゃ満足度の高いお店です。

さらにこの時期は持ち帰りにも対応。

持ち帰り用「おでん」

先ほどのおばんざいはもちろん、うどん、さらにうどんと並ぶ名物のおでんも持ち帰り可能。おでんも澄んだ汁で上品なおいしさ。若者の街渋谷で、大人も落ち着いて楽しめる、新しくも落ち着く酒場の誕生です。

※価格はすべて税抜

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※新型コロナウイルス感染拡大を受けて、一部地域で飲食店に営業自粛・時間短縮要請がでています。各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いします。

※本記事は取材日(2021年2月18日)時点の情報をもとに作成しています。

取材・文:小宮山雄飛

撮影:GENIUS AT WORK