【TOKYOオシャレ業界人の食図鑑】
FILE No.005
株式会社R・B・K代表
飯嶋 薫さん
Kaoru Iijima
【人物プロファイル】
全国から相談者が絶えない
ファッションビジネスを支える影の重鎮
グレイヘアーとイタリア人のような色彩感覚のファッションがダンディな飯嶋 薫さん。小売業のコンサルティング&マーケティングを行なう飯嶋さんの会社R・B・Kには、全国からひっきりなしに相談者が訪れる。「新オープンする商業施設に入れるテナントのアドバイスを」「うちのブランド、どうやったら売れますか?」「販売員の教育をどうしたら」など…ファッション業界のお偉方たちが“HELP!”の声を上げて連日のように彼のもとに駆け込んでくる。
現在70歳の飯嶋さんのモットーは「自分の足で歩いて実際に店を見る」。新オープンのファッションブティックや話題の店を常にリサーチし、時にはNYやパリ、関西エリアの市場調査も精力的にこなすバイタリティの持ち主だ。ゴルフや会食仲間はさまざまなファッションブランドをもつTSIホールディングスの三宅会長、服飾専門学校・エスモードジャポンの仁野理事長、セレクトショップ・BEAMSの設楽 洋社長など錚々たる顔ぶれだ。また飯嶋さんが委員長を務める日本ショッピングセンター全国大会を通じて、明日の業界の担い手である若手経営者との信頼関係も厚い。グルメで知られるアパレル会社JUNグループの佐々木社長、アパレル企業マッシュホールディングスの近藤社長やカフェカンパニーの楠本社長など多彩なネットワークを持っている。
【食の傾向】
おしゃれ過ぎず奇をてらわない
やさしくて上品な味を求めて
飯嶋さんは、めったに「うまい」「いい店だ」と褒めない。いくら有名でも、流行っていても、知り合いの店であっても、まずいものはまずいと言う姿には清々しささえある。だから飯嶋さんに連れて行ってもらった店はハズレがない。奇をてらった料理でなく、かといって古くて退屈というわけでもなく、アレンジの仕方が新鮮でいい塩梅の店を知っているのだ。
会社のメンバーと毎日のように行くランチの定番は、中華(上品なヌーベルシノワの礼華)、寿司(隠れ家的名店のすし泉)、和食(魚料理が美味しい菜遊)。居心地が良く、変におしゃれぶっていなくて、味は上品なところ。お出汁や、体にやさしい食材を使った、味がわかる大人の店ばかりだ。
さて、そんな飯嶋さんの会食仲間はワインにもすいぶんと詳しい。200万円以上もするロマネコンチを、最高のコンディションで会食前日にレストランに搬入するご友人がいたり…。グルマンな60代、70代の男性たちはどこまでも豪快なのである。
グルマンな飯嶋さんが信頼する、予約の取れない大人気レストラン
鮨よしたけ
おいしいお店を知り尽くしたグルマンが通う人気の寿司店。「イタリアンも経営していて料理のプレゼンテーションが上手。ウニとアワビが最高。シャリに独特の美味しさがある」と大絶賛。
四谷 三谷
日本一予約の取れない鮨屋と称される店。「サックスバーの木山社長が2年前に予約し、先日行ったそうだ。その場で次回の予約をすると何と2019年の2月27日。いかに予約困難かが分かります」。
かわむら
絶品ステーキが有名なお店。「肉の産地、銘柄にこだわらず最高の肉を仕入れるステーキはもちろんのこと、ここのカツサンドは極上。なじみ客にはカレーも振舞われます」
【ファッションテイスト】
上品なジャケパンスタイルに
鮮やかな差し色をプラス
普段はシャツ、ジャケット、パンツのスタイルでどこかにオレンジやサーモンピンクなど鮮やかな差し色を入れるのが飯嶋流。ジャケットがギンガムチェックだったり、パンツの色が派手だったりとどこか日本人離れした印象だ。ジャケットピンやスカーフ使いもこなれている。ちょいワルではない方の、イタリア人風スタイルだ。ブランドの有名有無にかかわらず、いいなと思った服はどんどん着る飯嶋さん。オーダーメードのジャケットも着れば、知り合いのセレクトショップのオリジナルアイテムも着る。レストランには必ずジャケット着用で行くという。きちんとしているのに華やか、これで三ツ星レストランの味もリラックスして堪能できる。
大手アパレル企業の社長を退任し、独立したての頃は「毎月必ず80万円はファッションにお金を使うノルマを自分に課して、頑張って買い物をしていた」という飯嶋さん。実際に店に行って試着して、買う。それを繰り返さなければ本当のファッションビジネスなど分からない!というのが彼の持論だ。現在も服好き&買い物好きは変わらない。一緒に市場リサーチをしていても、街歩きが終了すると彼の両手はショッピングバッグでいっぱいになっている。
イラスト:Sho Miyata